2−1 AMOTECとは?
AMOTEC(Asahi Molding Technology with CO2)は、旭化成ケミカルズ株式会社殿が開発した成形加工技術である。当社は2001年1月1日より技術実施許諾契約を締結し、この用途技術開発を進めてきた。本技術は、溶融樹脂に炭酸ガスを溶解させ、良好な可塑剤として作用することを利用した技術で樹脂充填時の流動性改善が可能になる。また、射出前に金型キャビティ内を炭酸ガスで充填させ、その後、射出することで高転写性が得られる。AMOTECの設備は、ガス供給装置、専用可塑化シリンダ及び気密金型が必要である(図5)。
炭酸ガスが溶融樹脂に溶解すると、CO2分子が高分子の隙間に入り込む。この状態では、高分子同士の絡み合いが緩和し、分子が動きやすくなる。その結果、溶融樹脂の粘度を下げたり、樹脂の固化温度を下げることができる。
この原理から、炭酸ガスの圧力と成形機の成形条件を適切に設定すれば、通常成形よりも転写性を向上できる。ここでは、これを高アスペクト比射出成形に利用した例について紹介する。
2−2 成形実験
高アスペクト比のLIGAスタンパーを射出成形金型に搭載し、AMOTECの有無により、成形品の転写性を比較した。
(実験装置)
| 成形機 |
住友重機械工業(株)製 SE75DU C160S φ22 |
| 炭酸ガス供給装置 (AMOTEC) |
旭化成エンジニアリング(株)製 MAC−100 シリンダガス圧 6MPa,金型ガス圧 4MPa |
| 成形品 |
2.4インチ2個取り 微細パターン入りプレート(図6) |
| 金型 |
固定側にスタンパーを取付。可動側は鏡面。微細形状の加工深さ15μm。 |
| 樹脂 |
ポリカーボネード(PC) |
| 金型温度 |
スプル温調80℃ ボディ温調130℃ |
| 樹脂温度 |
300℃ |
(実験結果)
本実験では、通常成形とガス有り成形を行い、連続成形でサンプルを採取した。成形品の表面形状はキーエンス製レーザ顕微鏡VK8150を使って測定した。測定した場所を図7の丸印に示す。これらの微細形状について、倍率200倍まで拡大し、拡大部の高さをレーザにより測定し、数値を比較した。測定結果は、図7中の括弧内番号の図に示した。
図8は、測定するパターン形状の模式図である。十字パターンは図8(a)のような形状をしている。パターンの場所は図7に示すように、成形品凹凸両端に複数配置されている。なお、凹側がへこみ形状、凸側が成形品のでっぱり形状である。一般的には凸側のほうが、スタンパーの微細パターン部に樹脂を入れ込むため、転写高さが出にくい。転写高さ測定場所は、図8(a)の中で最も溝幅が狭い(5μm)、アスペクト比3(深さ15μm)の部分とした。レーザ走査範囲は、図の点線部に示すように、この付近を横切るようにとっている。同様に、ドットパターンと格子パターンの形状模式図、レーザ走査範囲を(b)、(c)に示す。
十字パターンにおいて、通常成形とAMOTECの転写高さを比較した結果を図9に示す。グラフの横軸はレーザ走査範囲、縦軸は転写高さの測定値である。グラフの脇には、顕微鏡の撮影写真を添付した。AMOTECを使用すると、写真同士を比較しても、転写高さが上がっているのがわかる。測定値を見ると、転写高さが0.38μmから9.2μmに向上している。
図10に、全ての凸側十字パターンの測定結果を示す。横軸は成形品のゲート側から末端までのパターン位置を意味し、縦軸はレーザによる測定高さを示す。グラフには、末端、中央、ゲートの3箇所について、凸側の転写高さを棒グラフで表記している。通常成形では、末端からゲートまで転写高さが低い。AMOTECを使用すると、全ての配置において転写高さが向上している。
この他、ドット形状、格子形状についても比較を行った。ドットの測定結果を図11、格子の測定結果を図12に示す。AMOTECの使用により、両形状とも転写高さが向上した。


また、微細転写形状の中でも比較的寸法の大きい数十μm以上のパターンについて成形品を観察したところ、通常成形でも転写高さは出るものの、側面部のエッジはダレて、コーナー部への充填率も悪い状態で成形されるが、AMOTECを使用することで、シャープなエッジを持った、充填率も高い微細転写が可能となることがわかった(図4)。
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