エバール:EVOH樹脂・フィルム


<エバール>は、クラレが1972年以来製造販売しているエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂の登録商標名です。<エバール>はポリビニルアルコールの特長である優れたガスバリアー性、耐有機溶剤性とポリエチレンの特長である熱溶融成形性、耐水性を合わせ持つ結晶性ポリマーで次の様な分子構造を持っています。



<エバール>は、共重合比率及び重合度を適切に選択することにより、ハイガスバリアー性と同時に、いくつもの高機能を合わせもっており、食品を中心とした、広い用途に用いられています。


ハイガスバリアー性
酸素をはじめ、気体をほとんど通しません。

保香性
商品の香りを保持し、いやな臭いを寄せつけません。

耐油性、耐有機溶剤性
油類、有機溶剤を含む薬品類の包装や、防汚染性目的の壁紙用途に適しています。

透明性
黄変もなく、すばらしい光沢と透明度で商品の美観をひきたてます。

印刷適正
特別な表面処理を施すことなく、良好な印刷ができます。

成形加工性
押出成形性が優れていますので、次の用途に適しています。
 ・フィルム成形・共押出フィルム成形・共押出シート成形・共押出ボトル成形
 ・共押出チューブ成形・共押出コート・共押出ラミネート
熱成形性に優れています。共押出フィルム、共押出シートの真空成形、圧空成形が容易に行えます。


<エバール>レジン・フィルムには、可塑剤その他有害物質はまったく含まれていません。

日本厚生省告示20号(昭和57年)の規格基準のテストに合格しています。

ポリオレフィン等衛生協議会自主規制基準(PL)に適合しており確認登録済です。

<エバール>は、USFDAおよびUSDAで食品包装材料としての使用が認められております。
 またレトルト食品包材としての使用についても認可が与えられております。



ガスバリヤー性 その1(各種ガス、共重合比率)


エバールは各種プラスチックの中で最高の酸素ガスバリヤー性を有しています。(表-4)
エバールの厚みと酸素透過量とは完全に反比例の関係にあります。
エバールは、その厚みに応じたバリヤー性を保持していますので、必要に応じて、厚みを選ぶことが可能です。(図-7)
エバールは酸素以外の例えば炭酸ガス、窒素ガス、ヘリウムガスに対しても優れたガスバリヤー性を有しています。(表-5)
エチレン・ビニールアルコール共重合体の酸素ガスバイリヤー性は、エチレンと、ビニルアルコールの共重合比率により変わります。エバールの銘柄は広い範囲の共重合比率をカバーしていますので目的に応じて、最適なバリヤー性の共重合比率の銘柄を選択することができます。(図-8)

表-4 各種プラスチックの酸素透過量 (dry)

フィルム名
酸素透過量(cc・20m2・24hrs・atm)
5
20
23
35
エバール-F-タイプ
エバール-E-タイプ
0.03
0.2
0.15
0.8
0.2
1.3
0.4
3.2
押出用高バリヤーPVDC
0.74
2.6
3.2
8.1
ニトリルバリヤー
3
-
15.5
-
二軸延伸ナイロン6
9.7
28
33
65
未延伸ナイロン6
-
-
100
-
二軸延伸ポリエステル
13
40
46
100
硬質ポリ塩化ビニル
-
240
260
370
二軸延伸ポリプロピレン
-
2900
3200
-
低密度ポリエチレン
-
10000
10900
-
PVDC2コートポリプロピレン
2.2
10
13
32

図-7 エバールの厚みと酸素透過量の関係 図-8 エチレン・ビニルアルコールの酸素透過量と
共重合比率の関係

表-5
窒素ガス、炭酸ガス、ヘリウムガスの透過量(25,dry)

フィルム名
ガス透過量(cc・20m2・24hrs・atm)
N2
O2
CO2
He
エバール-F-タイプ
エバール-E-タイプ
0.017
0.13
0.21
1.5
0.81
7.1
160
410
二軸延伸ナイロン6
12
38
205
2000
二軸延伸ポリエステル
8
54
110
3100
二軸延伸ポリプロピレン
730
3400
9100
-
低密度ポリエチレン
3100
12000
42000
28000


ガスバリヤー性 その2(外気条件の影響

エバールの酸素ガス透過量は温度とともに増加します。
温度が20から35に増加した場合の酸素ガス透過量の増加率はおよそ3.3倍です。(図-9、図-10)

エバールの酸素透過量は相対湿度の増加とともに増加します。
エバールの酸素透過量はエバールの吸湿量と大きく関係しています。
吸湿量が多くなるほど酸素透過量は増大します。
高湿度下でエバールの酸素透過度が大きくなるのは、この吸湿量の増加が原因です。(図-12)
サンドイッチ構造のエバール複合フィルムを用いて、内部の相対湿度としてRH100%(高含水食品相当)とRH10%(乾燥食品相当)の2ケースを想定し、一方外部の相対湿度としてRH65%(通常の外気湿度)とRH85%(外気高湿度下)の2ケースを想定し、これらの全部の組合わせ(合計4ケース)について、中間のエバール層の相当%RHを算出し、その%RHに対応した酸素透過量を求めてみました。(表-6)
この結果から明らかなように、高含水食品を包装する場合は、ポリアミド(PA)のように水蒸気透過量の大きいフィルムを外側に用いるとエバールのバリヤー性を高く保てます。一方乾燥食品の場合には、ポリプロピレン(PP)のように水蒸気透過量の小さいフィルムを外側に用いる方がエバールのバリヤー性を高く保てます。



図-9 エバールフィルムの酸素透過量と
温度の関係
図-10 吸湿したエバールフィルムの
酸素透過量と温度の関係


図-11
エバールフィルムの酸素透過量
と相対湿度の関係
図-12
エバールフィルムの
酸素透過量と吸湿量の関係
図-13
エバールフィルムにおける
酸素透過量の変化速度


表-6 エバール複合フィルムの酸素透過量

酸素透過量(cc・20m2・24hrs・atm)
フィルム構成
内部100%RH
内部10%RH
外層
バリヤー層
内層
外部65%RH
外部80%RH
外部65%RH
外部80%RH
バリヤー層
%RH
酸素透過量
バリヤー層
%RH
酸素透過量
バリヤー層
%RH
酸素透過量
バリヤー層
%RH
酸素透過量
OPP20
EF-F15
LDPE50
84
1.7
91
3.8
34
0.2
40
0.3
OPP20
EF-F15
CPP50
80
1.2
89
3.0
41
0.3
49
0.3
PET12
EF-F15
LDPE50
70
0.7
83
1.6
57
0.4
69
0.7
ON15
EF-F15
LDPE50
66
0.6
81
1.3
63
0.5
77
1.0
CN20
EF-F20
LDPE50
65
1.5
80
2.5
64
1.5
78
2.3
-
EF-XL15
LDPE50
65
0.3
80
0.7
65
0.3
80
0.7


株式会社クラレのホームページ

http://www.kuraray.co.jp/

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