刊行にあたって
フラットパネルディスプレイ(FPD)の生産は、21世紀に入ってからグローバル化が加速している。この実情に呼応して、FPDを支える多種多様な部材や化学材料の進歩および生産規模の増大も顕著である。液晶表示装置(LCD)用カラーフィルターもその例外ではない。その中で、LCD用カラーフィルターおよびそのための化学材料、さらには、関連装置類は、非常に大きな経済効果をもたらしている。およそ25年ほど前に顔料分散型カラーフィルターの提案および開発に参画する機会を得た当時の著者からすれば、想像を絶する膨大な規模となっているが、よりよいカラーフィルターを目指す研究開発が広大な技術的な裾野を形成するに至っている現状にとりわけ感慨が深い。
カラーフィルターおよびそのためのケミカルスについて、1998年にシーエムシー出版から「カラーフィルターの成膜技術とケミカルス」と題する成書が刊行されたが、21世紀に入ってから、LCDの生産拠点は日本から韓国、台湾へシフトし、カラーフィルター技術に関する研究開発もグローバル化が著しい。その意味で、1998年の出版から8年経過した今日の様相を把握することは、今後の技術およびビジネスの展望を図る上できわめてタイムリーと考える。
本書は、こうした背景のもとに、本間武、有原正彦、岩崎信吉の各氏とともに出版企画を進めた。三氏の熱意がなければ、本書の実現は困難であったことを記しておく。顔料分散型カラーフィルターがLCD用光学素子として主流をなすに至っている現状を考慮し、本書ではこの種のカラーフィルターに重心を置き、そのための素材のみならず、装置類なども取り上げた。本書に記載されていない新しいタイプのカラーフィルターの開発も活発であるが、以上のような現状重視の立場から構成されていることをお断りしておきたい。
本書の出版がカラーフィルター産業のさらなる飛躍に寄与することができれば、企画、編集を担当した者として望外の幸せである。
2006年1月 東邦大学 理学部 特任教授 市村國宏