刊行にあたって
自動車の軽量化は、燃費の向上だけでなく、資源の節減という点でも社会的意義が深い課題である。軽量化には自動車の構造の改善、構造部材の最適化とそれを実現するための加工技術の開発、そして材料開発が必要である。その中で、軽量化の起点とも言える材料開発は重要な役割を負っている。しかし、材料開発を取り巻く環境は、それほど容易なものではない。それは、地球環境との調和が、材料技術にも求められているからである。例えば単に軽く、強いだけでなく、リサイクルが容易であることが必要とされつつある。このことは、金属系材料であれば合金元素を自由に活用した材料開発から単純な合金系への転換を要請することになる。また材料の製造過程でのCO2排出量などの環境負荷についても配慮が求められる。軽量化のためには、鉄鋼材料、非鉄金属材料、非金属材料を、それぞれの特性を適切に組み合わせて、軽量化をはかるマルチマテリアル化が必要になるが、そのためには接合などの周辺技術も含めて材料を開発せねばならない。このように、自動車の軽量化のための材料開発はまさに今日的課題であるが、克服すべき課題も山積している。本書はこのような状況を踏まえた材料開発の現状と将来へ向けての検討状況をまとめたものである。執筆者はいずれも自動車用材料の分野の第一線で活躍されている方々ばかりであり、多くの貴重な知見を公開していただいた。厚く御礼申し上げる。
2006年9月 横浜国立大学大学院 福富洋志(本書「はじめに」より抜粋)