高分子の表面改質・解析の新展開New Development of Surface Treatments for Polymers |
| 株式会社シーエムシー出版 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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高分子は金属やセラミックスに比べれば極く新しい材料で、わが国では1960年代から本格的に生産が開始され急速に普及した。今日では米国に次いで世界第二の生産国であり、また消費国になっている。多種多様な樹脂が開発され、学会で新しく発表される新しい高分子も枚挙に暇がない。しかし、現実の産業において使用される高分子は決して多くなく、5大汎用樹脂、すなわち、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、およびポリスチレンに生産が集中しつつある。これはこれら高分子が生産量拡大とともに廉価となり、また物性的にもかなりの領域をカバーできるからに他ならないからである。他の高分子では機能は満足できても経済的に不都合が生ずると、上記5大汎用樹脂を共重合体やポリマーアロイといった方法で改質し、要求特性を満足させる方策が取られてきている。表面改質もその一環といえるもので、バルクの性質は満足できても、表面の接着性、撥水性、電気伝導性などが満足できない場合に表面を改質して目的を達成する。表面改質法の種類については過去10年ほど基本的に大きな変化はない。すなわち、化学的処理に代わってほとんどが物理的処理であり、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、グラフト化などである。これらの最近の進歩について第1章で各分野の専門家に執筆して頂いた
表面改質を行うに当たっていろいろな手法が考えられるが、改質状況を把握しなければ、改質が適切かどうか判断するのは難しい。接着性、バリアー性、撥水性などの性質を知ることは無論であるが、それら性質の改善策や最終製品の信頼性を評価するには、改質された表面の解析が不可欠である。従来から、あるいは最近盛んに利用されているX線光電子分光法、原子間力顕微鏡法などに加えて、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)などの発展著しい方法や赤外反射吸収分光法のような今後一般の表面・界面問題に使用できそうな方法も第2章で専門の方々に執筆して頂いている。 表面改質の本来の目的は、学問として表面を調べることではなくて、あくまでも産業のニーズに答えるためである。その意味では表面改質がどのような分野で利用され発展しているかを知ることが極めて重要である。表面改質に伴う応用分野はかなり広いものと思われ、なかなか部外者には想像がつかない。特に生体材料などの、わが国が米国に比べれば遅れている分野や、超撥水性などいろいろな進展が見られる分野について第3章で専門家に執筆して頂いている。 書は高分子の表面改質に関して専門の研究者によって最新の情報を提供して頂いているものと信ずる。高分子に新しい機能を加えようとする方々、既存製品の新たな改良を行おうとする技術者にとって本書が大いに役立つことを期待する。 「発刊にあたって」より
2006年12月 小川俊夫 |
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