刊行にあたって
ナノとは1mmの百万分の1という微小な物の単位であり、ナノテクノロジーは、ナノレベルもしくはそれ以下の領域において自在に制御する技術の総称である。ナノテクノロジーは、物質の機能・特性を向上させ、大幅な省エネルギー化や環境負荷低減に寄与することができるなどの理由から期待されており、広範囲にわたる産業技術分野に革新的な発展をもたらすとされている。
ナノマテリアルは、いうまでもなくナノテクノロジーの基盤技術であり、情報通信、環境・エネルギー、バイオテクノロジーなどの重要な産業技術分野を支える基盤技術として重要視されている。ナノマテリアルには、フラーレン、カーボンナノチューブ、ゼオライトなどがあり、グラファイトやダイヤモンドなどの従来の炭素材料にはない特徴的な性質から、多方面への応用が検討されている。
またナノテクノロジーは、トップダウン方式とボトムアップ方式という手法で分けてみることができる。
トップダウン方式は、物質を原子論的にみた集団的変化の方法論を利用して、微細にこれを再編成する技術である。トップダウン方式は、主に機械・電子系の分野で研究が行われており、目的が明確である場合が多く、研究対象もシリコンなど半導体が多い。
ボトムアップ方式は、原子や分子(0.1~10nm程度)を正確に1つ1つ組み合わせることによって新しい機能を持った材料を作っていく方法である。ボトムアップ方式は、主に化学系の分野で研究が行われており、多様な材料が使用されている。なかでも、様々なユニークな性質がされているフラーレンや、導電性・機械強度に優れているカーボンナノチューブやカーボンナノホーン、全く新しい発光材料である量子ドットなどが盛んに研究されている。
本書では、ナノマテリアルおよび周辺技術、応用製品についてピックアップし、概要、用途、市場規模、企業動向等について記しており、ナノテクノロジーにかかわる方々にとって有用なものになっていただければ幸いである。