刊行にあたって
機能性微粒子を研究対象として、その設計・合成・応用を推し進めている者が、ときおり切歯扼腕する問題が、分散と凝集である。
例えば、研究室でしばしばこんなやり取りが交わされる。教授が、学生に「こういう粒子を作れば機能が出るでしょう」と言う。学生はわくわくし、気合を入れてそれを作る。しばらくして彼はこう言ってくる「先生、凝集してしまってダメです」。
本書は、三編からなる。第1編は、分散・凝集の教科書と位置づけたい。分散・凝集の基本を界面科学の見地から解説していただいた。第2編は、分散・凝集を操る手法をまとめた。特に、新奇性のある手法にスポットを当て、読者をインスパイアすることを目論んだ。第3編はトピックス集である。どこから何をどう読み取るか、読者のセンスの利かせどころかと思う。本書を通して、より多くの方々が、身の周りから宇宙の深淵までのさまざまな分散・凝集の現象に、たじろぐことなく付き合えるようになられることを期待したい。
(「刊行にあたって」より抜粋)
2008年8月 慶應義塾大学 川口春馬