刊行にあたって
最近、超臨界流体の応用分野が急速に広がりつつある。溶媒、とりわけ人体や環境に悪影響のある従来の溶媒の代わりとして、あるいは性能が物足りない溶媒の代わりとして注目されている。例えばフロンやベンゼンといった有害な溶媒の代わりに使われたり、ダイオキシンのような通常の方法では壊れにくいものを完全に分解するために使われたり、ナノサイズの医薬品の微粒子を作るのに使われたり、半導体の数十ナノメートルの幅の隙間を洗浄するために使われたりと、その前途はかなり有望である。
「有害な有機溶媒の代わりの合成や材料製造用溶媒」、「強酸や強アルカリの代わりの分解試薬」、「一酸化炭素やホスゲンといった有害な原料ガスの代わり」、「フロンや有機塩素化合物の代わりの洗浄剤」・・・・今後、数多くの用途が見出されていくと期待される。
本書では、第一線で活躍しておられる研究者、技術者に、超臨界流体を用いる高性能で環境低負荷の微粒子・有機合成、材料加工、バイオテクノロジー、精密洗浄・乾燥、精密分析、廃棄物処理、リサイクル、バイオマスの有効利用、ヒートポンプシステム等の最新動向を紹介していただいた。本書が導火線となって、今後、超臨界流体技術のニューフロンティアを目指す基礎・基盤研究、実用化を目指す応用研究がますます活発になることを強く期待したい。
(「はじめに」より抜粋)
2008年9月 静岡大学 佐古 猛