刊行にあたって
高性能・高機能高分子材料開発の基盤構築を目指して(財)化学技術戦略推進機構会員化学企業/大学/産業技術総合研究所の研究者からなる産学官共同のNEDOプロジェクト「精密高分子技術」が2001年からスタートし、その中間時点までに得た成果をまとめて「精密高分子技術」(シーエムシー出版 2004年)として発刊した。プロジェクトの後半は、研究内容を基盤技術と材料開発を目指した実用化技術に分け、目標を絞り込み基盤技術チームと実用化技術チームが連携して研究開発を行い2007年に終了した。本書ではその成果を基盤技術編と材料開発編としてとりまとめた。基盤技術として高分子合成における配列制御技術、リアクティブブレンドによる多相構造制御技術、紡糸における溶融構造制御技術、ミクロ相分離・結晶化による三次元構造制御技術、ナノ構造解析・評価技術を取り上げ、東工大、山形大、九州大に設けた集中研において研究開発をおこなってきた。主なものを挙げると、配列制御技術では光学・電子材料の開発につながる新規高分子合成法を開発、リアクティブブレンド技術では世界初の非粘弾性特性を実現、溶融構造制御技術では繊維の高強度化に必要な種々の解析法を開発、三次元構造制御技術ではミクロ相分離構造により低線膨張率材料を開発、構造解析・評価技術では元素識別三次元電顕、プローブ顕微鏡によるナノ力学物性マッピングや表面・界面物性解析法など世界をリードする多くの手法を開発して来た。これらの成果を基にして基盤技術チームと企業が主導的に進めた実用化技術チームの研究者が連携することにより、多くの有用な材料を実現することが出来た。材料開発編ではプロジェクトでおこなった実用化技術15チームの材料開発事例を、第1章から第5章までそれぞれの材料開発の背景となる基盤技術グループごとにまとめて紹介した。
最後に、7年間の長いプロジェクト期間中熱心に研究開発に打ち込み、多くの連携研究に誠実に対応していただいた研究者の皆さんに心から感謝します。
(「刊行にあたって」より抜粋)
2008年11月 中濱精一