刊行にあたって
塗料による塗装とは、被塗物(金属、プラスチック、木材、コンクリートなど)に数100μm以下の薄膜を形成することによって、被塗物表面の外観や性質(防錆、潤滑、導電、親水、撥水など)を自在に調整できる最も経済的な簡便な方法である。
近年、塗料や塗膜から大気中に放散される揮発性有機化合物(VOC)が人体の健康阻害の原因物質であることが分かり、問題視されるに至った。国内ではVOC排出規制として平成16年に改正大気汚染防止法が制定され、平成18年から施行されている。それによると平成22年度までに、平成12年度の基準値の30%(法的10%、自主的20%)削減の目標値が設けられている。この対策として、関連業界では、塗料種の変更[水性塗料化、無溶剤塗料化(粉体)、ハイソリッド塗料化]、塗装仕様の変更(塗膜の厚さ、塗装方法、硬化方法など)、塗装設備の変更(塗装機、排水設備、塗料リサイクル方法など)などの技術開発および展開を進めている。
このような社会的背景をふまえ、本書は2004年に刊行された前書「水性コーティング材料の開発と応用」を、この6年間の技術的進歩を踏まえて全面的に改訂し、最新の技術情報をまとめた。
関係各位のご参考となれば幸いである。
(「はじめに」を一部抜粋・改変)
2009年1月 三代澤良明