刊行にあたって
太陽光発電は、再生可能エネルギーの中でも特に潜在的な利用可能量が多く、エネルギー自給率の低い我が国の国産エネルギーとして重要な位置を占める可能性がある。
第一世代のシリコン太陽電池は他の電源コストに比べ太刀打ちできない高価格がネックになっている。現行のシリコン太陽電池に比べて効率はやや劣るが低コストの第二世代の無機薄膜太陽電池が市場に出始めている。第二世代並みの低コストで、40%の高効率の第三世代の太陽電池は現在、基礎研究の段階にある。有機薄膜太陽電池はこれに対応できる有力候補の一つである。有機薄膜太陽電池の特長は、現在市場に出ている太陽電池よりもはるかに軽量で低コスト、しかも加工性が良く、いかなる形状や用途にも対応可能である。資源的制約もなく材料的にもエネルギー的にも環境調和型となりうる。
本書は、2005年に刊行された「有機薄膜太陽電池の最新技術」(上原赫・吉川暹 監修、シーエムシー出版)以降の進歩と現時点での有機薄膜太陽電池の最前線を紹介し、将来を展望するため、有機薄膜太陽電池の各分野の第一線でご活躍中の研究者に執筆をお願いして実現したものである。前書が基礎理論と光合成、色素増感太陽電池および有機ELとの対比から、有機薄膜太陽電池の位置づけに力点が置かれていたのに対し、本書は内容を有機薄膜太陽電池に絞り込み、有機薄膜太陽電池の基礎データとその測定法、有機薄膜太陽電池用材料と素子構造の最近の進歩をふまえ、低分子系と高分子系の有機薄膜太陽電池の最新技術を詳述した。さらに、実用化を視野に入れ、市場動向や装置メーカー、材料メーカー、デバイスメーカーの動向にも注目した。本書が現時点におけるマイルストーンとしての役割を果たし、有機薄膜太陽電池の最新の研究開発動向の把握、そして新ビジネスへの進出の一助となれば誠に幸いである。
(「はじめに」より抜粋)
2009年1月 監修者を代表して 上原 赫