刊行にあたって
2008年に全国でFiber To The Home(FTTH)の普及率がADSLを上回り、家電量販店では大型の液晶ディスプレーやプラズマディスプレーが売り場面積の大部分を占める状況になった。近い将来、遠く離れた地点とも大画面のディスプレーを介して、リアルタイムで情報のやりとりができるようになるであろう。このような現代社会における情報通信、情報表示、情報記録技術を支えているキーマテリアルが光学材料である。
この光学材料の開発には電磁気学、光学、物理学、有機化学、無機化学、高分子科学、機械工学等幅広い分野の知識が要求される。本書では、光学材料を扱うさまざまな分野の方が読まれることを想定して、基礎編(第1編から第3編)として基礎理論、光学特性計測方法、屈折率精密制御という光学材料開発の土台になる部分と、その応用編(第4編)として、光学材料の開発状況に関するトピックスをそれぞれの分野で著名な研究者の方々にご執筆いただいた。
基礎編の部分はできるだけ長期に渡って、教科書的に使用できるような題材をピックアップした。この分野の著書としては1998年に刊行された季刊化学総説「透明ポリマーの屈折率制御」(日本化学会編、企画・編集:井手文雄ら)が有名であるが、それ以降明らかになった材料設計の考え方を多数盛り込むようにした。
特に、光学材料の実装技術と関連する、屈折率精密制御に関する実例は本書でも力を入れて執筆していただいた部分である。
また、光学材料の将来像として、光学材料の発展を担っていく新しい概念を第5編に組み入れた。
本書がこれから光学材料を扱う研究者の参考になれば幸いである。
(「まえがき」より抜粋)
2009年4月 渡辺敏行、魚津吉弘