刊行にあたって
ナノテクノロジーが普遍化した現在ほとんどの製品に何らかの形で粉体がかかわっている。したがって粉体をいかに利用するかについての諸技術を持つかが、特徴的な製品やそのための製造技術の開発に有効な鍵となる。
粉体微粒子はバルクの容積に比較して表面積が大きい物質形態のため、表面を構成している原子や分子あるいはイオンなどの粒子は非対称なポテンシャルの場に置かれているため表面構造は内部構造から推定される以上のいろいろな“みだれ̶がある。さらに粉体は、製造する工程でたとえば粉砕などによりかなりの機械力が加わり、そのために結晶構造の不規則化、各種の欠陥、化学組成の変化などが起きている。あるいは、粉砕などの機械力が化学的なエネルギーの形で表面にたくわえられ、その結果表面の活性が大きくなるというメカノケミカル効果なども考えられる。
微粒子の集合体である粉体は系として大きな表面積を持っている。したがって系全体としては大きな表面自由エネルギーを持っている。そのために微粒子が凝集した系の表面積を減少させることにより、表面自由エネルギーをなるべく小さくしようとする傾向がある。つまり微粒子同士凝集してかたまりやすくなっている。微粒子の凝集を防ぎ微粒子を一次粒子の形で利用することが望ましい。
粉体をうまく使いこなすためには、粉体を構成する微粒子の表面を制御する技術や微粒子表面の改質技術は非常に重要である。さらにいろいろな機能を付与する技術の活用は極めて効果的な材料技術である。このような視点で本書は構成されている。
(「はじめに」より)
2009年5月
文化女子大学 名誉教授 角田光雄