発刊にあたって
マイクロナノ領域におけるモノづくりは付加加工、除去加工とから成る。付加加工では、蒸着、スパッタ、CVDなどの薄膜形成技術が、除去加工では、イオンビーム、エッチングなどが用いられる。半導体、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、太陽電池、フラットパネルなどの機能性デバイスを実現するには、デバイスに応じた構造体の形状定義が必要不可欠で、これを実現する手段がほかならぬ「エッチング技術」である。
本エッチング加工の最大の特徴は、「フォトリソグラフィー技術を組み入れることで、微細な構造体をバッチ処理で作製できる」ことである。すなわち、フォトリソグラフィーで加工形状を入力し、その後、エッチング加工で入力形状を深さ方向に展開することで、バッチ処理で微細構造体を実現できるようになる。本エッチング技術が、現在のマイクロナノ領域でのモノづくりを支える中心的な加工技術であると言っても過言ではない。
本書では、マイクロナノ領域でのモノづくりで、その中心的な役目を担っている「エッチング技術」に焦点を絞り、かつ、本技術を「基礎」から「応用」まで網羅的に捉えることに努めた。このために記載内容を大きく三つのカテゴリーに区分した。第一編と第二編では、それぞれ、ウエットエッチングとドライエッチングとにおける基礎的な事項を記載し、既に本加工技術を使用している研究者から、新たに本技術を使い始める研究者にも役立つことを目指した。また、エッチング技術を多方面に拡張できるようにと、紙面の許す限り半導体以外の材料も含めるよう努めた。第三編では、エッチング技術に+α追加することで、エッチング技術の更なる高機能化が図れるということを実例で示した。シンプルなエッチング技術に、スパイスを加えることで、いろいろなことが可能になるということを感じ取って頂きたい。最後に、本書がエッチング加工に携わる研究者にとって役立つことを願いつつ、本書を世に送る。
(「刊行にあたって」より)
2009年10月 名古屋大学 式田光宏