はじめに
2008年から2009年にかけてのコンパウンド世界市場は、全ての樹脂で軒並み大幅な縮小傾向を余儀なくされている。これは2008年10月の金融危機以降、2009年初頭まで自動車や家電製品、電子部品といった樹脂コンパウンド市場に関わりの深い製品において、その生産状況が急速に悪化したためである。
2009年中旬を過ぎる頃、各国政府の経済刺激策の効果もあり需要は回復傾向を取り戻しているが、市場全体の不安定感は続いている。その結果、各樹脂関連メーカーは現状と将来の動向を注意深く見定めている。
弊社ではこれまでも定期的に樹脂の市場レポートを刊行して来たが、このような状況は前例がなく、コンパウンド市場の全体像がここに来て一段と見え難くなっている。全ての関連メーカーでこれまで描いてきた成長シナリオに修正と再構築が不可欠となっている中、コンパウンドに関わる数多くのメーカー担当者から、最新の状況認識を求める声は日増しに強まっている。
本レポートは、上記の要望に可能な限り応えたいとの趣旨で作成したものである。
内容構成は、“樹脂・コンパウンドメーカー編”と“コンパウンド市場編”に区分することによって、メーカーと市場の両面から当該市場を分析するための基礎データを盛り込んでいる。これにより個別メーカー毎の事業内容や製品、今後の方針などを拠点別にミクロの視点で眺めることができ、それと同時に各樹脂コンパウンド別の市場動向についても現状と将来展望をマクロの視点で把握することを可能とした。
現在のコンパウンド市場を取り巻く環境は、一見すると中国・アジア市場の成長という観点で括ることができる。しかし、その中で具体的に各メーカーが取るべきオプションの幅は予想以上に広い。単純に考えても、現地コンパウンドメーカーが価格と量と種類で攻勢をかける中、自動車メーカー向けを志向するのか、家電・OA機器メーカーをターゲットとするのかで、今後注力すべきコンパウンドグレードも樹脂の種類も異なる。その上で同業他社の動き方や互いのポジショニングを俯瞰的に把握する必要もある。つまり今後自社製品の比較優位点を洗い出す際に、世界市場の現状と各社のポジショニングを精査分析しておくことの重要性が、かつてない程に高まっていると言っても過言ではない。
また、今回は特別調査項目として、バイオプラスチック市場と難燃剤市場についても追加レポートしている。この背景には、バイオプラスチックが近年最も注目されている市場のひとつであり、世界的にも需要が急増していること、そして難燃剤は環境規制の高まりと連動して密かに注目を集めるテーマとなっていることが挙げられる。
今後、各メーカーが自社の独自性や優位性を確立し、生産・販売・開発力を効果的に連携させる鍵として、どこに付加価値ポイントを見出すのか、現実を見つめ将来の事業体制を再度構想する上で、本書が有用な情報源足りうることを切に願う次第である。
尚、当資料の刊行に当たり、業界関係者の皆様方から多大なるご協力を頂きました。末筆ながら、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
2009年10月
株式会社 富士経済
東京マーケティング本部
ケミカルグループ