ポリアセタール
(POM): |
一般的な環境温度範囲では最も多く使用されている(自動車、事務器、AVなど)。
エンプラとしてバランスのとれた機械的性質を有し、自己潤滑性もある。 成形性もよく価格的にも安価で寸法精度も良い。
潤滑剤などの配合により摺動性は著しく向上している。 |
ポリアミド
(PA): |
ポリアセタール同様に利用されているナイロン11、12、4-6などの摺動性に優れた材料もあるが、ナイロン6、66に比べて値段が高い。 一方、ナイロン6、66はアブレッシブ摩耗に強いという特長があるが、スティックスリップ音を発生するという弱点がある。機械的強度はバランスがとれていて良い。 ただし、吸湿(水)変形して、寸法精度に問題を生ずることがある。
モノマーキャストナイロンは、大きなサイズもできる点が特長である。 |
ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE): |
ふっ素樹脂の系列の中では最もポピュラーな材料で広く利用されている。既存材料中最も摩擦係数が低く、耐薬品性にも優れていることから応用範囲も広い。 それ自体の耐摩耗性と機械的強度は充填剤の添加または金属材料との復層化によって使用される。 その改善効果は著しい。 材料コストはやや高く成形性も良い方ではないが、上記特長には補って余りあるものがある。 |
ポリフェニレンサルファイド
(PPS): |
現状では汎用材料として使用される段階に入ったと考えられるが、その特徴として事務機のヒートローラー程度の耐熱性は充分にあることと、非常に寸法精度(熱安定性)に優れていること、また個体潤滑剤などをうまく配合すれば良好な摺動特性を示すことが挙げられ、今後の発展性が期待されているスーパーエンプラである。
PPSは、配合によって導電性をもたせることができるので、たとえば自動車や農機具の部品にはメッキの必要なものがあるが、その電気メッキを行う製造ラインで導電性のあるPPS部品が使われている。 事務機でも静電気が通るようにしてほしいという要求が高く、多くの用途がある。 |
| エラストマー系: |
ポリエステル系およびウレタン系のものは弾性があり、相手軸の変形に対するなじみがよい。 また微振動を吸収する性質があるので自動車のステアリングシステムの軸受け類に用いられている。 潤滑性を改善するために潤滑剤の配合が必要であるが、成形性などには問題はない。 弾性的特性を利用するので、設計面での配慮が必要である。硬質ウレタンは高い衝撃荷重の加わるところや硬い異物が侵入するところでも使用できる。 |
| ポリオレフィン系: |
単体ではPTFEについで摩擦係数が低い点に特徴がある。価格も安価で成形も容易であるが、耐熱性と機械的強度が低いという難点がある。 他の高分子材料にPTFEのように添加するか軽負荷条件下で用いると、その特徴をよく発揮する。 超高分子ポリエチレンはアブレッシブ摩耗に強いという特徴があるので、相手材料の表面が荒い場合などに用いられるが、成形性および機械加工性に難がある。 |
| 熱硬化性樹脂: |
フェノール樹脂、ポリエステルなどは大型成形品に使用されている。 カーボン繊維やPTFEを配合して、ポンプや発電用水車の主軸受け等に用いられている。 |
| その他スーパーエンプラ: |
耐熱・耐薬品性に優れた一群のスーパーエンプラと称される高級なプラスチックは、摺動の点から非常に魅力的な材料である。 ポリイミド(PI)は黒鉛などの固体潤滑材を配合して、200 を超える高温でも使用できる。 問題は他のスーパーエンプラと同様材料コストと成形性で、特殊な用途を除いては小型の部品が多い。 ポリエーテルエーテルケトンや液晶樹脂は、トライボロジー研究家の間では注目されているが、射出成形も可能な割には摺動材料としての使用量は少ない。 これらのスーパーエンプラに対するトライボロジー面の開発は、全体的に優れたエンプラに対し潤滑性を付与するのにふっ素樹脂、黒鉛あるいは二硫化モリブデンなどの固体潤滑材を配合する程度の改良に止まっている(最近はポリマーアロイなども進められているようだが)ことによるためと、原料コスト、成形性に難点があるため、急激な進展が見られないのではないかと思われる。 |