| ● |
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は結晶性で淡茶灰色のスーパーエンプラである。芳香族系熱可塑性樹脂であり耐熱性が極めて高い。PEEKは1978年にICI社によって開発され1981年に上市された。現状では、英国Victrex社が世界で唯一、製造・販売を行っている。
|
| ● |
主な材料特性は以下の通りである。
耐熱性(連続使用温度が240℃以上、融点343℃、Tg143℃)、耐摩耗性、耐薬品性、耐疲労性、成形加工性、寸法安定性などが優れている。
|
|
| ■自動車分野におけるケミカル材料の特徴 |
| ● |
自動車・輸送機器分野において、PEEKは特に耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性などのバランスが良好な材料として高く評価されている。高信頼性材料としてエンジン周辺部品、機構部品などに採用され、他のエンプラ製品や金属部品を代替している。
|
|
| ■用途別需要構成 2005年世界販売数量 |
| 用途 |
構成比(%) |
具体的用途例 |
| 機構部品 |
87 |
シールリング材、ABSブレーキ、ギアなど |
| 電装部品、その他 |
13 |
アクチュエーター、シフト、ボルト、ファスナーなど |
| 合計 |
100 |
|
|
| ● |
自動車用途ではエンジン周りに使用される機構部品向けが圧倒的に多い。
|
| ● |
PEEKは高温環境下で耐摩耗性、摺動特性などが優れており、エンジン周辺部品への適用が可能である。信頼性の高さから他の樹脂からの代替や金属部品を代替する形で需要量が拡大している。
|
| ● |
ABS(アンチ・ロック・ブレーキシステム)分野では、PEEK製部品で軽量化することにより、慣性モーメントが低減するなどレスポンス性能が大幅に改善している。
|
|
| ■市場規模推移及び予測(2005~2009年世界需要) |
|
|
| 年次 |
2005 |
2006見込 |
2007予測 |
2008予測 |
2009予測 |
| 世界販売数量 |
830 |
990 |
1,155 |
1,265 |
1,375 |
| 前年比 |
― |
119.3 |
116.7 |
109.5 |
108.7 |
|
| ● |
2005年の自動車用PEEK樹脂の世界販売数量は830t、金額では106億円(メーカー出荷ベース)である。2009年には170億円(2005年比1.60倍)に拡大すると予測される。その中で国内販売数量は前年比125%の75tと好調に伸びており、同販売金額は10億円弱と推定される。
|
| ● |
日本市場では、ビクトレックス・エムシー(本社:東京都港区)が英国Victrex社から「PEEK」の標準品を調達し、日本向けに独自グレードを開発し販売している。
|
| ● |
欧米市場ではPEEKの知名度は浸透しており、日本市場においても近年は採用例が増えつつある。
|
|
| ■参入企業とメーカーシェア(2005年世界需要) |
| メーカー名 |
販売量ウェイト(%) |
| Victrex |
100 |
| 合計 |
100 |
|
| ● |
Victrexは英国ランカシャー州に本社と製造プラント、テクニカルセンターを置き、世界30ヶ国以上に製品「VICTREX PEEK」を供給している。
|
| ● |
同社は2007年に第二プラント(1,450t/年産)を建設し、生産能力を年産4,250t体制に拡大する計画である。
|
|
| ■今後の動向 |
| ● |
PEEKは欧米市場において、自動車向けの樹脂材料としてユーザーから高く支持されている。今後は日本市場においても需要拡大が見込まれる。
|
| ● |
例えば、ギアなどの金属部品用途ではPEEK樹脂の採用により軽量化を実現したり、ノイズ低減設計が可能であることから採用が進んでいる。特に高級車では、走行時に機構部品などから発生する騒音を低減している。
|
|
参考文献:「2006 自動車用ケミカル材料の現状と将来展望」 (2006年3月27日:富士キメラ総研) |
|