炭素繊維複合材料の世界市場 市場動向1

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炭素繊維複合材料は、軽量・高強度といった基本特性の高さから、航空機や風力発電ブレード、圧力容器、スポーツ・レジャー用品等をはじめ、近年様々な用途で採用が拡大している。特に今後の採用拡大が予測される自動車分野では、他の競合材料と比較して圧倒的な軽量化が可能となるため、今後世界各国で燃費規制が強化されていく市場環境と相まって需要拡大が予測される。

しかし、炭素繊維複合材料は強度や弾性率等各種スペックを設計することが可能な設計材料であることから、成形加工品の均質化や適材適所に適量を使用する使いこなしの技術開発が必要となる。近年の採用形態として、金属代替のみではなく金属材料を補強する採用形態も注目されており、超高張力鋼板(ハイテン)とのハイブリッド成形技術も自動車用途で実用化しつつある。

炭素繊維複合材料は、熱硬化性樹脂ベースのCFRPと、熱可塑性樹脂ベースのCFRTPに大別される。今回は炭素繊維複合材料の成形加工品の世界市場と主要用途の今後の市場動向を解説する。


■CFRPの成形加工品世界市場規模予測
CFRP:炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸させて成形加工した炭素繊維複合材料
 2015年実績2020年予測2030年予測2030/2015
数量99,150t167,300t479,000t4.8倍
金額1兆1,850億円1兆9,100億円4兆4,900億円3.8倍

用途別世界市場規模予測
 2015年実績2030年予測2030/2015
合計1兆1,850億円4兆4,900億円3.8倍
自動車917億円3,950億円4.3倍
航空機5,030億円2兆730億円4.1倍
圧力容器(CNG)362億円1,300億円3.6倍
水素タンク12億円2,100億円175倍
風力発電ブレード1,826億円4,830億円2.6倍
建築・土木1,746億円8,380億円4.8倍
スポーツ・レジャー1,131億円1,890億円1.7倍
その他826億円1,720億円2.1倍
富士経済推定

自動車用途は、骨格・構造部品において採用が拡大すると想定される。CFRPは現状コスト高が課題であるが、現状主流のRTMに加えて、2020年前後からSMCやプリプレグプレス、ハイテン等とのハイブリッド成形など、短時間成形技術の改良が進むと見られ、成形コストが低下することで需要拡大が予測される。

航空機用途は、Boeing「787」やAirbus「A350 XWB」の増産計画が公表されており、2020年にかけてはBoeing「777X」の生産も開始される予定である。また2025年以降もAirbus「A320」やBoeing「737」の次期モデルの生産も開始される計画である。航空機は計画生産体制が組まれているためCFRPとしても安定的に市場が成長していくと見られる。

水素タンクや圧力容器(CNG)の用途は、F/W成形が一般的である。水素タンクは、FCVの市場に連動して成長が予測されるため、2030年にかけた長期スパンでの市場拡大が予測される。

風力発電ブレードは、今後市場拡大が予測される洋上風力発電プロジェクトにおいて、5MWクラス以上の大型ブレードが用いられることから軽量化対策としてCFRPの採用が有力視されている。スパーキャップの成形ではVaRTM成形が採用されており、成形時樹脂含浸加工品が需要の中心であるが、一部でプリプレグを使用したオーブン成形品なども採用されている。風力発電ブレードは、CFRPを採用した既存ブレードにおいて、持続的な開発による設計の改良が進んでおり、CFRPの採用には低コスト化が焦点となっている。

建築・土木用途は、シート加工された炭素繊維基材を施工現場に搬入し、マトリクス樹脂兼接着剤を塗工して成形加工を行う形式が多い。施工コストは人件費が大半を占めるため単価が高く、金額市場においては数量市場を大きく上回っている。今後、先進国に加えて中国・アジア市場においても建造物や橋脚などの補強用途で需要の拡大が予測される。


■CFRTPの成形加工品世界市場規模予測
CFRTP:マトリスク樹脂に熱可塑性樹脂を使用した炭素繊維複合材料
 2015年実績2020年予測2030年予測2030/2015
数量19,550t24,820t190,00t9.7倍
金額410億円553億円4,190億円10.2倍

用途別世界市場規模予測
 2015年実績2030年予測2030/2015
合計410億円4,190億円10.2倍
摺動部品117億円186億円159.0%
静電部品類75億円127億円169.3%
HDD部品41億円29億円70.7%
自動車30億円3,500億円116.7倍
航空機49億円173億円3.5倍
家電・OA機器52億円67億円128.8%
スポーツ・レジャー18億円24億円133.3%
その他28億円84億円3.0倍
富士経済推定

現状では、静電部品、摺動部品、HDD部品、家電製品や筐体部品等において、短/長繊維のペレット加工品が軽量・高強度化や静電対策部品として採用されている。航空機用途には、連続繊維のラミネート加工品が使用されている。ペレット加工品は、今後自動車用途における射出成形品、LFT-D成形品などで需要が拡大すると見られる。自動車用途が市場を牽引していく。

連続繊維のラミネート加工品は、2025年から2030年にかけて自動車用途における骨格・構造部品での採用が本格的に拡大していくと見られる。短/長繊維の加工品は2次構造材、ラミネート加工品は骨格部での採用が有望である。複雑形状部などでは、射出成形とラミネートプレスの一体成形や、熱可塑の特性を活かした溶着技術による金属とのハイブリッド成形等も研究開発が進められており、2025~2030年前後にかけて実用化が期待される。


参考文献:炭素繊維複合材料(CFRP/CFRTP)関連技術・用途市場の展望 2017
(2017年01月13日:富士経済)


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