自動車軽量化のためのプラスチックおよび繊維強化複合材料

自動車軽量化のためのプラスチックおよび繊維強化複合材料

Plastics and FRCM as Lightweight Materials for Automobioles

  • 「材料技術先導性」の観点から、自動車軽量化について論述!
  • 自動車用プラスチックおよび繊維強化複合材料を徹底解説!
  • 革新温暖化対策プログラム「自動車軽量化炭素繊維複合材料の研究開発」の成果も収録!!
価格 71,500円(税抜 65,000円) 出版社 シーエムシー出版
監修 金原 勲、松井醇一 発行日 2010年9月
体裁 B5判、244ページ ISBNコード ISBN 978-4-7813-0201-0
Cコード C3043 商品コード T0725

発刊にあたって

2008年秋以降、米国の金融危機に端を発して、瞬く間に世界中に広がった大不況の直撃を受けた自動車業界の苦境は、いまだ出口が見えない状態が続いている。一方で、より安全で環境負荷の少ない持続可能な車社会実現のためのロードマップを明確に打ち出す要請は世界的にますます強まっている。自動車に対する社会的要請は環境面および安全面から多岐にわたり、「軽量化」ひとつをとっても、軽量材料を適材適所に使う最適設計が必要とされ、いわゆる「マルチマテリアル」戦略により、先を見据えた総合的な取り組みが必要とされる。

これまで自動車用軽量材料に対する総合書は数多く出版されているが、本書では、従来は「その他の材料」として紹介されることが多かった「プラスチックおよび繊維強化複合材料」を中心に据えて、「材料技術先導性」の観点から、自動車軽量化のための材料技術開発の現状と将来を展望する。

とくに、2003~2007年に行なわれた革新温暖化対策プログラム「自動車軽量化炭素繊維複合材料の研究開発」の成果を詳しく紹介する。航空宇宙を中心に発展してきたキーマテリアルである炭素繊維複合材料(CFRP)を自動車のような量産型製品へ応用するには、補修、廃棄、再生、コストパフォーマンスを含めた「材料システム」としての最適化が必要であり、開発内容も異なるいくつかの要素技術を包含する多元的なものとなった。いずれも我が国の強みである材料技術として、世界に発信しうる基盤技術成果と考えられる。

本書の構成は、地球環境問題と自動車軽量化から、自動車と複合材料との関わり、プラスチック化が進む自動車部品の現状、CFRPの自動車への応用、自動車軽量化CFRP研究開発成果、自動車用複合材料の内外の事例紹介、次世代自動車への複合材料適用可能性について総合的な見地から論述したものである。

本書の出版が、21世紀の大転換期に生き残りをかけて日夜奮闘されている自動車・関連業界の方々および素材・化学メーカーの方々に、「材料技術先導性」という観点から次世代自動車を構想していただく一助となれば望外の幸せである。

(「巻頭言」より)
平成22年9月 金原 勲
松井醇一

著者一覧

金原 勲
金沢工業大学 副学長・教授;ものづくり研究所 所長;大学院工学研究科 高信頼ものづくり専攻主任
髙橋 淳
東京大学 大学院工学系研究科 システム創成学専攻 教授
松井醇一
金沢工業大学 客員教授
山中 亨
東レ(株) オートモーティブセンター 所長
大村昭洋
東レ(株) 樹脂技術部 部長
寺田 幹
東レ(株) 自動車材料戦略推進室 課長(研究・技術担当)
北野彰彦
東レ(株) 複合材料研究所 所長
山口晃司
東レ(株) オートモーティブセンター 課長代理
野間口兼政
金沢工業大学 大学院工学研究科 高信頼ものづくり専攻 客員教授;(社)強化プラスチック協会理事 樹脂ライニング工業会 会長
今泉洋行
三菱化学(株) コーポレートマーケティング部 自動車関連事業推進センター 開発グループ
大高 淳
BASFジャパン(株) ポリマー本部 ゼネラルマネージャー
阿部 徹
ディーフェンバッハー社 成形部門 コーディネーター
吉田智晃
クオドラント・プラスチック・コンポジット・ジャパン(株) 営業・市場開発部 ヘッド
鈴木繁生
日立化成工業(株) 自動車部品事業部 車体系樹脂コンポーネンツ部門 開発部 主任技師

目次

はじめに―自動車軽量化のマルチマテリアル戦略金原勲

  • 1. 自動車軽量化への取り組み
  • 2. 繊維強化複合材料としてのFRP
  • 3. 本書の構成

第1章 地球環境問題と自動車軽量化髙橋淳

  • 1. はじめに
  • 2. LCAとマクロ分析
  • 3. 自動車燃料の脱化石資源化と車体軽量化
  • 4. CFRPによる車体軽量化ポテンシャル
  • 5. 自動車のLCAとCFRP技術開発の方向性
  • 5.1 内燃機関自動車と電気自動車での違い
  • 5.2 リサイクルの効果
  • 6. 炭素繊維需要とCFRP技術開発の方向性
  • 7. おわりに

第2章 自動車と複合材料との関わり松井醇一

  • 1. 自動車の黎明期(1769年から1895年)
  • 2. ヘンリー・フォードの大豆自動車(1941年)
  • 3. ウイリアム・スタウトのGFRP自動車スカラベ(1946年)
  • 4. コンヴェアカー空飛ぶ自動車(1946年)
  • 5. ビル・トゥリットのGFRP自動車グラスパーG2(1951年)
  • 6. GM社シボレー・コルベット
  • 7. レーシングカー
  • 8. フォード社のCFRP実験車(1987年)
  • 9. 高級スポーツカー
  • 10. 自動車軽量化と燃費
  • 11. 複合材料による自動車省エネ研究の状況-米国・EU・日本

第3章 プラスチック化が進む自動車部品

  • 1. プラスチックによる自動車の軽量化山中亨
  • 1.1 プラスチックとその特性
  • 1.2 プラスチックの生産量、使用量
  • 1.3 プラスチックと自動車の軽量化
  • 1.4 新しいプラスチックの開発
  • 2. 自動車に使用されるプラスチックと軽量化への取り組み事例大村昭洋
  • 2.1 ポリアミド樹脂
  • 2.1.1 はじめに
  • 2.1.2 材料特性
  • 2.1.3 最近の開発事例
  • 2.1.4 工法
  • 2.1.5 用途例
  • 2.2 ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂
  • 2.2.1 はじめに
  • 2.2.2 PBT樹脂の開発事例
  • 2.3 ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂
  • 2.3.1 はじめに
  • 2.3.2 PPS樹脂の特性(射出成形用途主体)
  • 2.3.3 フィルム
  • 2.3.4 繊維
  • 2.3.5 自動車用PPS樹脂の開発事例
  • 2.4 部品設計による軽量化
  • 2.4.1 軽量化設計の考え方
  • 2.4.2 樹脂製品のモジュール化
  • 2.4.3 CAEを活用した樹脂製品設計
  • 3. 素材融合による次世代自動車軽量化への取り組み寺田幹
  • 3.1 はじめに
  • 3.2 接合による素材融合
  • 3.3 発泡体による複合構造
  • 3.4 特殊フィルムの活用
  • 3.5 素材融合を進めるために

第4章 炭素繊維複合材料の自動車への適用北野彰彦

  • 1. はじめに
  • 2. 海外の適用状況
  • 2.1 欧州車での適用状況
  • 2.2 米国車での適用状況
  • 3. 国内の適用状況
  • 4. まとめと今後の展望

第5章 革新温暖化対策プログラム「自動車軽量化炭素繊維複合材料の研究開発」山口晃司

  • 1. はじめに
  • 1.1 プロジェクトの背景と目的
  • 1.2 研究開発の目標と体制
  • 1.3 実施内容とスケジュール
  • 2. ハイサイクル一体成形
  • 2.1 超高速硬化型成形樹脂の開発
  • 2.1.1 ハイサイクル樹脂のメカニズム解明
  • 2.1.2 耐熱ハイサイクル樹脂の開発
  • 2.1.3 まとめ
  • 2.2 立体成形賦形技術の開発
  • 2.2.1 プリフォームについて
  • 2.2.2 賦形性について
  • 2.2.3 ドアインナーパネルの賦形シミュレーション結果
  • 2.2.4 まとめ
  • 2.3 高速樹脂注入技術の開発
  • 2.3.1 樹脂含浸係数の取得と含浸シミュレーション
  • 2.3.2 多点注入方式による三次元構造体の成形(ドアインナーパネル)
  • 2.3.3 多点注入方式による大型自動車構造部材の成形(フロントフロア)
  • 2.4 まとめ
  • 3. 異種材料との接合技術の開発
  • 3.1 構造用接着剤のスクリーニング
  • 3.1.1 要求仕様
  • 3.1.2 候補接着剤
  • 3.1.3 単純重ね合わせ試験片の応力解析および試験片形状決定
  • 3.1.4 試験結果
  • 3.2 接着接合部の衝撃強度評価
  • 3.2.1 シャルピー試験機による接合部強度評価
  • 3.2.2 回転円盤式衝撃試験装置の試作
  • 3.3 シート取付部およびシートベルトアンカー部の接合構造設計
  • 3.3.1 設計、解析
  • 3.3.2 供試体
  • 3.3.3 試験方法
  • 3.3.4 試験結果
  • 3.4 まとめ
  • 4. 安全設計技術の開発
  • 4.1 CFRPの動的解析技術の開発
  • 4.1.1 CFRP材料の物性取得
  • 4.2 圧縮型エネルギー吸収部材の解析技術の開発
  • 4.2.1 圧縮型エネルギー吸収部材の衝撃実験
  • 4.2.2 圧縮型エネルギー吸収部材の解析
  • 4.3 スチール、アルミ等とのハイブリッド構造体の設計・解析技術
  • 4.3.1 ハイブリッドガードビーム
  • 4.3.2 ハイブリッドガードビームの有限要素法による衝撃解析
  • 4.4 エネルギー吸収技術の開発
  • 4.4.1 圧縮型エネルギー吸収部材の開発
  • 4.5 エネルギー吸収自動車部品の開発
  • 4.5.1 ハイブリッドセンターピラーの構造立案
  • 4.5.2 CFRPセンターピラーの実形状の設計および評価
  • 4.5.3 CFRP製フロントサイドメンバーの開発
  • 4.5.4 CFRP製プラットフォームの開発
  • 5. リサイクル技術の開発
  • 5.1 スチール、アルミと樹脂との分離技術
  • 5.1.1 解体性接着剤の試験(スクリーニング)
  • 5.1.2 膨張剤のスクリーニング
  • 5.1.3 耐熱接着性を有する構造用解体性接着剤の設計思想
  • 5.1.4 硬化樹脂粘弾性への単官能エポキシ添加効果
  • 5.1.5 解体試験
  • 5.1.6 まとめ
  • 5.2 再加工性技術の開発
  • 5.2.1 再加工樹脂材料の検討
  • 5.2.2 リサイクル自動車部材モデルの選定と評価
  • 5.3 まとめ
  • 6. まとめ
  • 6.1 ハイサイクル一体成形技術の開発
  • 6.2 異種材料との接合技術の開発
  • 6.3 安全設計技術の開発
  • 6.4 リサイクル技術の開発

第6章 材料技術先導性から見た自動車用複合材料の諸問題野間口兼政

  • 1. ポリカーボネート樹脂を用いた自動車用ガラスの樹脂化~要求規格と樹脂化における課題~今泉洋行
  • 1.1 はじめに
  • 1.2 プラスチックグレージングに対する要求規格
  • 1.3 プラスチックグレージングの技術的課題
  • 1.3.1 成形加工と予測技術
  • 1.3.2 ハードコート技術
  • 1.3.3 熱線遮蔽技術
  • 1.4 おわりに
  • 2. BASFのエンプラを用いた自動車部品軽量化への開発支援の取り組み大高淳
  • 2.1 背景
  • 2.2 採用事例
  • 2.3 BASFの開発支援
  • 2.4 おわりに
  • 3. LFT-D(ダイレクト方式)による長繊維強化プラスチック部材の製造設備阿部徹
  • 3.1 はじめに
  • 3.2 LFT-D方式
  • 3.3 繊維の長さ
  • 3.4 Tailored LFT-D
  • 3.5 設備の性能
  • 3.6 おわりに
  • 4. GMT技術の現況と用途展開の可能性吉田智晃
  • 4.1 はじめに
  • 4.2 GMT
  • 4.3 GMTex
  • 4.4 SymaLITE
  • 4.5 GMTによる用途展開の可能性と課題点
  • 5. 樹脂バックドアモジュールの現状と展望鈴木繁生
  • 5.1 はじめに
  • 5.2 樹脂バックドアモジュールにおけるプラスチック材料の構成
  • 5.2.1 第一世代樹脂バックドアモジュール
  • 5.2.2 第二世代樹脂バックドアモジュール
  • 5.3 今後の展開