ナノワイヤ最新技術の基礎と応用展開

ナノワイヤ最新技術の基礎と応用展開

Nanowires : Fundamentals and Applications

  • 最近大きな話題を集めている「ナノワイヤ」の最新研究を纏めた日本初の本格的成書!
  • 「ナノワイヤ」の基礎(成長、物性・理論)から、応用(デバイス)までを網羅!
  • 太陽電池をはじめ発光ダイオード、レーザー、センサー、光検出器などへの応用が期待されている!
価格64,000円+税 出版社シーエムシー出版
監修福井孝志 発行日2013年03月
体裁B5判、241ページ ISBNコードISBN 978-4-7813-0760-2
商品コードT0890   

発刊にあたって

ナノワイヤなどナノメートルスケールでトポロジカルに一次元構造を持つ材料は、古くはウィスカー(髭結晶)と呼ばれて、その結晶構造が克明に調べられてきた。材料は半導体を始め金属、酸化物などあらゆる分野に及んでいる。この一次元構造をデバイスに使おうと最初に試みたのは日立製作所の比留間らのグループで、1990年代にGaAsウイスカーで発光ダイオードを試作した。その後、21世紀に入ってからナノワイヤを用いてデバイスに応用しようとする研究が急速に拡大してきた。電子デバイスでは、ナノワイヤトランジスタ、ワイヤメモリー、光デバイスでは発光ダイオード、レーザなど、さらに太陽電池からセンサーまで、その特異な構造からくる性質を最大限生かすことで、これまでのデバイスの性能限界を突破しようという動きである。また、半導体ナノワイヤなどでは、その結晶構造を始め物理的性質が変化するものもあり、計算機物理と対比するような基礎的な物性への興味も広がっているとともに、作製方法もいわゆるコア-シェル構造など格段に進歩した。

2000年から2012年にかけて論文数も右肩上がりに伸びており、日本国内でも研究人口が近年大幅に増えている。この機会をとらえて、ナノワイヤ研究分野全体を捉えた著書が、今後の動向を予測するうえでも、重要であることが指摘されていた。そこで、今回ナノワイヤに関する研究を進めておられる方に分担をお願いして本書をまとめることとした。

執筆者の方々にはお忙しい中を短期間に原稿を仕上げていただき感謝を申し上げたい。ナノワイヤの研究が急展開する中、我が国のこの分野において第一線で研究を行っている多くのグループの方々に協力を得て刊行される本書が、研究遂行上の一助となれば、本書を企画し監修に携わったものとして望外の喜びである。

2012年12月
福井孝志

キーワード

ナノワイヤ/ナノロッド/III-V半導体ナノワイヤ/コア-シェル構造/ナノワイヤ発光ダイオード/ナノワイヤトランジスタ/ワイヤメモリー/太陽電池/量子ドットナノワイヤ

著者一覧

福井孝志
北海道大学 大学院情報科学研究科 教授
比留間健之
(株)日立製作所 中央研究所 通信エレクトロニクス研究部 主任研究員
竹田精治
大阪大学産業科学研究所 ナノテクノロジーセンター ナノ構造・機能評価研究分野 教授
清水智弘
関西大学 システム理工学部 助教
小田俊理
東京工業大学 量子ナノエレクトロニクス研究センター 教授
舘野功太
NTT物性科学基礎研究所 量子光物性研究部 量子デバイス研究グループ 主任研究員
池尻圭太郎
北海道大学 大学院情報科学研究科;(独)日本学術振興会 特別研究員
山口雅史
名古屋大学 大学院工学研究科 電子情報システム専攻 准教授
原真二郎
北海道大学 量子集積エレクトロニクス研究センター 准教授
岡田龍雄
九州大学 大学院システム情報科学研究院 教授
中村大輔
九州大学 大学院システム情報科学研究院 准教授
本久順一
北海道大学 大学院情報科学研究科 教授
深田直樹
(独)物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA) 無機ナノ構造物質ユニット 半導体ナノ構造物質グループ グループリーダー
河口研一
(株)富士通研究所 次世代ものづくり技術研究センター シニアリサーチャー
荒川泰彦
東京大学 ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構 機構長、生産技術研究所 教授、ナノエレクトロニクス連携研究センター センター長
有田宗貴
東京大学 ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構、生産技術研究所、ナノエレクトロニクス連携研究センター 特任准教授
舘林潤
東京大学 ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構、生産技術研究所、ナノエレクトロニクス連携研究センター 特任助教
八井崇
東京大学大学院 工学系研究科 電気系工学専攻 准教授
秋山亨
三重大学 大学院工学研究科 物理工学専攻 助教
広瀬賢二
日本電気(株) スマートエネルギー研究所 主任研究員
小林伸彦
筑波大学 数理物質系 物理工学域 准教授
岸野克巳
上智大学 理工学部 教授
和保孝夫
上智大学 理工学部 情報理工学科 教授
冨岡克広
北海道大学量子集積エレクトロニクス研究センター;(独)科学技術振興機構 さきがけ専任研究者
柳田剛
大阪大学 産業科学研究所 極微材料プロセス研究分野 准教授
吉村正利
北海道大学 大学院情報科学研究科;(独)日本学術振興会 特別研究員

目次

序章 ナノワイヤ研究の最新動向福井孝志

【第I編 成長】
第1章 ナノワイヤ成長の概論比留間健之

  • 1 はじめに―ナノワイヤのルーツ:ホイスカー―
  • 2 ホイスカーからナノワイヤへ
  • 3 ナノワイヤの成長機構
  • 3.1 中軸ラセン転位による成長
  • 3.2 気相-液相-固相(Vapor-Liquid-Solid)成長
  • 3.3 ナノワイヤの選択成長
  • 3.4 ナノワイヤ成長における原料原子の表面拡散効果
  • 3.5 異種材料接合におけるナノワイヤ成長
  • 4 まとめ

第2章 VLSシリコンナノワイヤー成長竹田精治

  • 1 はじめに
  • 2 VLS法によるシリコン・ナノワイヤー成長を決める因子
  • 3 VLS法によるシリコン・ナノワイヤー成長の実際
  • 4 触媒となる金シリコンナノ液滴
  • 5 シリコン・ナノワイヤーの核形成
  • 6 シリコン・ナノワイヤー成長過程の解析
  • 7 おわりに

第3章 テンプレート成長法について清水智弘

  • 1 はじめに
  • 2 テンプレートについて
  • 3 テンプレート中での成長方法について
  • 4 自己組織形成テンプレートを用いたナノワイヤの成長

第4章 VLS Geナノワイヤ成長小田俊理

  • 1 はじめに
  • 2 VLS成長
  • 3 種々の触媒金属
  • 4 垂直成長
  • 5 Ge-NW成長の精密制御
  • 6 Ge-NWの低温成長
  • 7 デバイス応用
  • 8 おわりに

第5章 VLS法によるIII-V族ナノワイヤ成長舘野功太

  • 1 はじめに
  • 2 長波長帯発光ナノワイヤ
  • 3 GaAs(311)B基板上横成長GaAsナノワイヤ
  • 4 自己触媒VLS法によるInPナノワイヤ
  • 5 InAsナノワイヤの超伝導量子デバイスへの応用展開
  • 6 まとめ

第6章 選択成長法によるIII-V族化合物半導体ナノワイヤ池尻圭太郎、福井孝志

  • 1 はじめに
  • 2 MOVPE選択成長法によるナノワイヤ形成プロセス
  • 3 選択成長によるナノワイヤの形状および結晶構造解析
  • 3.1 選択成長におけるファセッティング成長(GaAs選択成長基板面方位依存性)
  • 3.2 選択成長によるナノワイヤの成長特性
  • 3.3 ナノワイヤの形状制御技術 成長の縦・横方向制御
  • 3.4 ナノワイヤの結晶構造解析
  • 4 ナノワイヤにおける結晶構造の変化
  • 5 ナノワイヤの成長機構モデル
  • 6 Si基板上のナノワイヤ選択成長
  • 7 おわりに

第7章 III-Vナノワイヤon Si山口雅史

  • 1 はじめに
  • 2 Si基板上無触媒(自己触媒)VLS法による化合物半導体ナノワイヤ
  • 3 Ga供給量依存性
  • 4 As供給量依存性
  • 5 成長中断の効果
  • 6 GaAs/AlxGa1-xAsのコア・シェルヘテロ構造
  • 7 まとめ

第8章 強磁性体/半導体複合ナノワイヤ原真二郎

  • 1 はじめに
  • 2 作製プロセス
  • 3 強磁性体ナノクラスタの選択形成
  • 4 強磁性体/半導体複合ナノワイヤの選択形成
  • 5 電気特性
  • 6 おわりに

第9章 ZnOナノワイヤ成長岡田龍雄、中村大輔

  • 1 はじめに
  • 2 ZnOナノ結晶の成長
  • 2.1 CVD
  • 2.2 熱炭素CVD
  • 2.3 パルスレーザー堆積法
  • 2.4 水熱法
  • 2.5 電着法
  • 3 制御法
  • 3.1 成長方向制御
  • 3.2 結晶サイズの制御
  • 3.3 密度制御
  • 3.4 成長位置
  • 4 導電性制御
  • 5 まとめ

【第II編 物性・理論】
第1章 光物性本久順一

  • 1 はじめに
  • 2 ナノワイヤ光導波路と共振器効果
  • 3 光学異方性
  • 4 結晶構造転移と光学特性
  • 5 ナノワイヤアレイにおける光吸収
  • 6 ヘテロ構造半導体ナノワイヤの発光特性
  • 7 光励起による誘導放出およびレーザ発振
  • 8 ナノワイヤ発光素子
  • 9 おわりに

第2章 ドーピング深田直樹

  • 1 はじめに
  • 2 ドーピング方法
  • 2.1 成長時ドーピング
  • 2.2 イオン注入を利用したドーピング
  • 3 ドーピング評価
  • 3.1 結合・電子状態
  • 3.2 不純物分布
  • 3.3 不純物の挙動
  • 4 まとめ

第3章 径方向量子井戸・量子ドットナノワイヤ構造と光学特性河口研一

  • 1 はじめに
  • 2 ナノワイヤに形成可能な量子ヘテロ構造
  • 3 径方向量子井戸ナノワイヤの物性
  • 4 径方向量子ドットナノワイヤの物性
  • 5 まとめ

第4章 ナノワイヤ量子ドットの光学特性荒川泰彦、有田宗貴、舘林潤

  • 1 はじめに
  • 2 位置制御された単一GaN/AlGaNナノワイヤ量子ドットの結晶成長と光学特性
  • 3 InGaAs/GaAsナノワイヤ量子ドットの結晶成長と光学特性
  • 4 InGaAs/GaAsナノワイヤ積層量子ドットの結晶成長と光学特性
  • 5 おわりに

第5章 ZnOナノロッド量子井戸構造を用いたナノフォトニックデバイスの進展八井崇

  • 1 まえがき
  • 2 ZnOナノロッド量子井戸構造
  • 3 近接場エネルギー移動の制御
  • 4 近接場光の協調現象の観測
  • 5 むすび

第6章 形成機構計算秋山亨

  • 1 はじめに
  • 2 ナノワイヤの結晶構造
  • 3 ナノワイヤにおける閃亜鉛鉱-ウルツ鉱構造相対的安定性
  • 4 二次元核形成にもとづくナノワイヤ形成機構
  • 5 エピタキシャル成長条件を考慮したナノワイヤ形成機構
  • 6 ナノワイヤ形状の成長条件依存性
  • 7 まとめ

第7章 熱伝導、熱電性能広瀬賢二、小林伸彦

  • 1 ナノワイヤの熱伝導実験
  • 2 ナノワイヤの熱伝導計算
  • 3 低温での普遍的な熱伝導の振舞い
  • 4 熱電エネルギー変換と熱電性能指数
  • 4.1 熱電性能の物性・理論
  • 4.2 ナノワイヤの熱電性能増大の可能性
  • 4.3 シリコンナノワイヤの熱電性能実験
  • 4.4 シリコンナノワイヤの熱電性能計算
  • 5 まとめ

【第III編 デバイス】
第1章 GaN ナノコラム発光デバイス岸野克巳

  • 1 はじめに
  • 2 GaN系発光デバイスの直面する課題
  • 3 ナノコラムとナノ結晶効果
  • 4 規則配列ナノコラムとナノコラムLED
  • 5 発光色制御と集積型LED
  • 6 まとめ

第2章 回路応用和保孝夫

  • 1 はじめに
  • 2 デジタル回路
  • 3 アナログ回路
  • 4 ナノワイヤの配置制御技術
  • 5 むすび

第3章 ナノワイヤのトランジスタ応用冨岡克広

  • 1 はじめに
  • 2 ナノワイヤトランジスタの技術動向
  • 3 Si基板上のIII-Vナノワイヤ選択成長
  • 4 ナノワイヤ縦型トランジスタの作製
  • 5 InGaAs/InP/InAlAs/InGaAsコアマルチシェルナノワイヤチャネル
  • 6 まとめ

第4章 ナノワイヤを活用した不揮発性メモリ―ナノワイヤメモリスタ―柳田剛

  • 1 はじめに
  • 2 自己組織化酸化物ナノワイヤを用いたプレーナー型メモリスタ素子
  • 3 ナノワイヤメモリスタを用いた極微素子特性の解明
  • 4 ナノワイヤメモリスタ素子を用いた動作起源の解明
  • 5 おわりに

第5章 III-V族化合物半導体ナノワイヤ太陽電池福井孝志、吉村正利

  • 1 はじめに
  • 2 ナノワイヤの特長
  • 2.1 光トラッピング
  • 2.2 電子正孔対分離の改善
  • 2.3 格子不整合の緩和
  • 2.4 省資源化
  • 3 III-V族化合物半導体ナノワイヤ太陽電池の動向
  • 4 今後の展開
  • 4.1 高効率化
  • 4.2 低コスト化
  • 5 まとめ