はじめに
中国経済は、2008年秋以降の世界的不況の影響で減速傾向に至った。2008年の国民総生産(GDP)は、30兆670億元で前年比9.0%の伸びであった。2009年は8%前後の成長を目標としている。本年3月の全国人民代表大会で報告された2009年の経済活動報告は、大規模な財政出動、幅広い産業振興、科学技術の革新を通じ、経済減速を防止し、経済の安定成長を保つ決意を強調した。
中国の科学技術体系は、「国家中長期科学技術発展計画綱要(2006年~2020年)」および「国民経済・社会発展第十一次五ヵ年規画綱要(2006年~2010年)」の制定により、基礎科学と先端技術を重視した技術革新活動がすすめられている。数値目標として2010年のR&D経費支出がGDPに占める割合は2%以上とする中で、2008年は、R&D経費支出が4,570億元、GDP比1.52%となった。2009年の科学技術革新への中央財政投資は前年比25.6%増の1,461億元とされている。
中国の科学技術革新が進む中で、本研究機関要覧は、中国の科学技術研究機関の施設概要を明示している。2008年の実績をベースに、中国科学院、中国工程院、中国科学技術部に所属する研究所と教育部管轄の直轄重点大学、主要高等教育機関の研究施設の概要を取りまとめた。中国における研究機関把握のための基礎データとしてご活用いただけるものと確信しています。
2009年9月 株式会社 富士経済ネットワークス