調査概要
調査テーマ
2021 年版 ESG 投資を促すSDGs 先進企業の未来戦略と関連分野・業界の展望
~大変革が求められる「アフターコロナ時代」に於いてのサステナビリティ(持続可能性)な企業経営戦略の方向性~
調査目的
国内に於ける企業経営の歴史は、「環境経営」に始まっている。これは1960年代以降の経済成長とともに公害を始めとする環境問題が社会的課題として注目され、環境問題の解決と予防を経営課題として掲げた環境重視の経営スタイルが1996年の国際環境マネジメント規格ISO14001発行とともに一大ブームとなった。1998年には世界一のISO14001認証取得国となっている。
一方、欧米では社会的課題として「収入格差」の是正や「失業」が大きな問題となっていた。
又、2000年以降、企業が抱える問題である「企業不祥事」の問題が多発し、国内企業に於いても多発する「企業不祥事」に対して自戒と反省を繰り返すとともに、CSR(Corporate Social Responsibility…企業の社会的責任)の論議が活発化していた。2003年、既存の「環境」問題の解決を始めとして、欧米の「収入格差」の是正や「失業」問題解決、更には「企業不祥事」の防止までを含めた「CSR経営」が本格的に開始され、本年が『CSR経営元年』と言われている。
その後、2006年には国連責任投資原則でESG(Environment環境、Social社会、Governanceガバナンス)が取り上げられ、更に2011年には著名な経済学者(マイケル・E・ポーター)によってCSV(Creating Shared Value…共有価値の創造)が提唱された。
ESG投資は、欧米で行われていたSRI(Socially Responsible Investment…社会的責任投資)を超える投資概念として注目されたわけであるが、その背景は社会全般の課題すべてに対応していこうとするSRIは金銭的収益の最大化を目指す資本主義経済に於いて別次元の投資概念であるという考え方が定着化してきていた。そのような時、国連が機関投資家の意思決定プロセスや株式の保有方針決定に、「環境」、「社会」、「ガバナンス(企業統治)」を視点とした投資基準を提唱したことにより、全世界的な投資行動原則として多くの国の投資機関が署名した。
一方、CSR経営は企業が関わっている事業とは関係のない活動に対しても含めていくが、それに対してCSV経営は事業活動を通して「社会価値」と「企業価値」を両立させて社会的課題を解決していこうというものである。謂わば社会的課題のビジネス化である。このような経営戦略の変遷を経て、現在は『サステナビリティ経営』の時代と言われている。『サステナビリティ経営』とは、「環境経営」、「CSR経営」の社会的課題や企業課題に加え、ESG投資の視点、CSV経営を踏まえた『持続可能な経営(企業としても・社会としても)』を標榜していくものである。
それに加え、2015年9月、国連総会において持続可能な開発のために必要不可欠な2030年までの行動計画として『SDGs(Sustainable Development Goals)』が採択された。SDGsが国連で採択されたことにより、CSR経営やCSV経営、ESG投資の考え方を更に高め、より具体的な『サステナビリティ経営』が可能となった。
当企画では、経済活動のベースとなる「食料品」、「資源・エネルギー」、「デバイス・セット機器」分野及び業界にフォーカスし、その中で積極的にSDGs戦略(未来戦略)を展開している企業を調査・分析して、『サステナビリティ経営』の経営・事業・研究開発戦略を展望するものである。
調査ポイント
★主要3分野15業界100社のSDGs展開戦略の実態!
★業界別マテリアリティと関連するSDGsの特徴!
★業界別研究開発に於けるSDGsの位置付け!
★業界別SDGsによる新商品・サービスの新展開!
調査対象分野及び調査対象業界・調査対象企業数
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調査対象分野 (3分野) | 調査対象業界 (15業界) | 調査対象企業(SDGsに積極的な企業を対象)(100社) |
食料品 (19社) | 飲料(4社) | アサヒグループHD、キリンHD、サントリーHD、サッポロHD |
調味料 (7社) | 味の素、キユーピー、キッコーマン、ハウス食品グループ本社、カゴメ、エスビー食品、理研ビタミン |
加工食品(8社) | 日本ハム、伊藤ハム米久HD、マルハニチロ、日本水産、ニチレイ、日清食品HD、明治HD、カルビー |
資源・ エネルギー (53社) | 鉄鋼(5社) | 日本製鉄、JFEHD、神戸製鋼所、日立金属、愛知製鋼 |
非鉄金属 (7社) | 住友電気工業、三菱マテリアル、古河電気工業、住友金属鉱山、フジクラ、UACJ、日本軽金属HD |
ケミカル (8社) | 三菱ケミカルHD、富士フイルムHD、住友化学、旭化成、三井化学、積水化学工業、東レ、花王 |
ゴム(7社) | ブリヂストン、住友ゴム工業、横浜ゴム、住友理工、TOYO TIRE、ニッタ、バンドー化学 |
ガラス(4社) | AGC、日本板硝子、日本電気硝子、石塚硝子 |
パルプ(7社) | 王子HD、日本製紙、大王製紙、三菱製紙、レンゴー、北越コーポレーション、 中越パルプ工業 |
電力(7社) | 東京電力HD、関西電力、中部電力、東北電力、九州電力、中国電力、北海道電力 |
ガス(5社) | 東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガス、広島ガス |
石油(3社) | ENEOSHD、出光興産(出光昭和シェル)、コスモエネルギーHD |
デバイス・ セット機器 (28社) | 自動車 (8社) | トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、スズキ、マツダ、三菱自動車工業、SUBARU、デンソー |
電機・電子 (12社) | 日立製作所、パナソニック、ソニー、三菱電機、日本電気、富士通、キヤノン、 セイコーエプソン、リコー、コニカミノルタ、オムロン、TDK |
機械・他 (8社) | 三菱重工業、IHI、小松製作所、豊田自動織機、ダイキン工業、クボタ、 ジェイテクト、ヤマハ |
*HD…ホールディングス
未来戦略・企業事例編/調査項目
1.過去3ヵ年の事業分野(セグメント区分)別売上と収益状況(連結)
2.中・長期事業戦略
3.コーポレート・メッセージ
4.サステナビリティの基本方針及びビジョン
5.サステナビリティ推進組織
6.マテリアリティ(重要課題)と取組テーマ及び関連するSDGs
7.研究開発部門に於けるSDGsの位置付け
8.SDGsによるイノベーション及び新規事業創出の方向性(新商品・サービスの新展開)
調査方法
企業情報の調査・分析
調査期間
2020年9月~2021年2月
調査担当
株式会社富士経済ネットワークス ビジネスソリューション課