2011年版 太陽電池関連技術・市場の現状と将来展望 (上巻)

2011年版 太陽電池関連技術・市場の現状と将来展望 (上巻)

価格 97,000円+税 出版社 富士経済
発刊日 2011年07月21日 体裁 A4版 362ページ

はじめに

 世界の電力需要は化石資源、原子力、そして再生可能エネルギーから賄われているが、経済性と電力供給の安定性を考慮して、化石資源あるいは原子力に比重が置かれているのが現状である。しかし、世界的なエネルギー需要の拡大は、最も利用しやすい化石資源を巡る争奪戦を刺激し、さらに地球温暖化の要因とされるCO2等温室効果ガスの排出に拍車をかける懸念を引き起こしている。そんな化石資源からの依存脱却に向けた機運は、COP3を契機にすでに高まっていたところであったが、先の東日本大震災に伴う原子力発電所事故の影響が、被災国である日本に留まらず世界中に飛び火したことから、世界のエネルギー事情は再び大きな転換期を迎えようとしている。このように脱化石資源・脱原子力の流れが加速する中、太陽光、風力、太陽熱、バイオマスといった再生可能エネルギーに寄せられる期待は益々大きなものとなっている。数ある再生可能エネルギーの中でも、太陽光発電はとりわけて成長が著しく、地球温暖化対策や各国のエネルギーセキュリティー、さらに様々な産業が絡み合うことから雇用創出などの経済的効果も相まって世界的に注目を集めている。

 太陽電池を取り巻く環境は変化が激しく、市場は非常にダイナミックかつスピーディーである。日本の太陽電池産業は技術的にも経済的にも長く世界を先導してきたが、2007年にドイツのQ-Cellsが日系を抜いてトップに躍進し、2009年にはCdTe太陽電池を展開する米国のFirst Solarがそれを塗り替え、さらに2010年はSuntechをはじめとする中国系メーカーがトップクラスに軒並み顔を並べるようになった。このように市場を巡る動きは非常に目まぐるしく、予断を許さない状況であるが、変動が激しい分商機が多く、部材等ではユーザーニーズにうまく合致すれば、それまでプレゼンスの低かったメーカーが一躍トップクラスへと躍進する動きが頻繁にみられる。太陽電池は様々な部材から構成されるが、単に安価、単に高品質なものではなく、品質と価格のバランス、さらに他の部材との相性が競争上大きな意味を持ち、部材に関する一つの取り組みが他に連鎖して全体へと影響を及ぼすことになる。そのため事業展開にあたっては、太陽電池のみに限らず、部材全般、さらに遡って部材の原材料といったバリューチェーン全体の俯瞰が重要視される。

 また、太陽電池ビジネスは各国の政策に大きく左右される一面を持ち、主要国の政策動向が常に注視されている。太陽光発電に限らず再生可能エネルギーは発電コストが高く、政策的支援がなければ普及は難しいとされるが、ドイツ等の欧州諸国では、FIT制度等の実効性のあるインセンティブを早くから導入して普及に成功している。その取り組みは欧州以外にも波及し、エネルギー需要の旺盛な米国や中国の一部の州・省にも導入されるようになった。日本でも2009年に補助金制度が復活し、さらに同年11月に導入された余剰電力買取制度と結びついて普及が促され、市場は再び活気を取り戻している。

 このように日本は積極的な政策支援からアジア最大の市場を形成しているが、世界の太陽電池の生産拠点は成長の著しい中国へと傾いている。日系企業は太陽電池の供給ボリューム/シェア面で勢いづくアジアの企業に後れを取っているが、収益性に配慮した堅実なビジネスモデルを示すとともに、技術開発では世界的に先行している。さらに日本には有力な部材メーカー、製造・加工装置メーカーが多く、材料開発や製造技術開発の分野で優位にあり、コモディティ化が進む太陽電池製品に対する差別化のポイントを打ち出しやすい環境にあると言える。

 太陽光発電は技術進展の他、コスト削減努力によって年々低価格化が進み、数年内には発電コストを電力系統並とするグリッドパリティを達成する地域が大幅に増加すると予想される。太陽光発電は現状でこそ世界の電力需要の1%も賄えていないが、将来的には主要なエネルギー源の一つとなる可能性を大いに秘めている。太陽電池関連市場の発展が、世界に健全なエネルギー消費を促すことになると期待される。

 本調査レポートの上巻では、川上から川下までの幅広い太陽電池関連品目の中で、太陽電池及び部材/原料を対象として、各品目の現在及び将来の技術・市場動向を分析した。下巻では、製造装置や周辺システム機器などの重電系の技術・市場に加えて、国別市場環境など需要側の動向を整理する。

 末筆ながら、本調査レポート作成にあたり、取材にご協力いただいたご担当者様はじめ関連各位に心よりお礼申し上げるとともに、本調査が業界発展の一助となることを願っている。

2011年7月
株式会社 富士経済
大阪マーケティング本部
第三事業部
太陽電池プロジェクト

調査目的

 太陽電池市場は、温室効果ガス削減の取り組みの流れを受けて、欧州地域の先進国や米国のカリフォルニア州、日本などで、普及促進を図る目的で設けられた優遇政策が実効性を発揮し、市場拡大が続いてきた。
 優遇政策は普及と共に進む価格低下を見込んで段階的にインセンティブが落とされる内容となっているが、優遇政策の扱いは難しく、過去にはスペインや韓国で財政悪化を理由に、インセンティブの低下や導入制限が設定され、それら地域の市場が冷え込んだ経験がある。
需要市況は、最大の需要地であるドイツ市場に先行きの不透明感が広がっており、需要をリードしてきた欧州市場に減速感が見受けられた一方で、米国や日本など、欧州以外での需要拡大が期待される状況である。
 供給側では、太陽電池の生産能力の拡大が続いており、現在の供給超過の状況が一層厳しい状況となることも予想され、政策的導入促進インセンティブが低下する中で供給超過を需要側で吸収するにはグリッドパリティの達成が期待される。事実、日照条件の良好な一部地域では、インセンティブが低下する状況下でも需要は堅調である。
 需要が旺盛であった時代は生産できた分だけ売れたが、今後は価格や技術で競う時代への転換期が到来し、また太陽電池の単一事業から、バリューチェーンを広げる動きが予想され、川上から川下までのバリューチェーン全体の動向を把握する必要性が高まっている。
 また、太陽電池市場は、FIT制度の導入状況や原油価格の上下、投機マネーの動きなどにより、市場環境の動きが激しく、定期的な市場把握を目的とする年次報告書として2011年版の企画を立案した。

調査対象品目

太陽電池市場編10 品目
部材/原料市場編29 品目
有力再生可能エネルギー比較分析編2 品目
合計41 品目

分類定義

(地域)

地域分類 地域名
日本 日本全土
中国 中国本土、香港・マカオ含む
他アジア 韓国・台湾・東南/南アジア
欧州 西欧・東欧・南欧・北欧
北米 米国・カナダ・メキシコ
その他 南米・アフリカ・オセアニア・中東

(バリューチェーン)

バリューチェーン分類 品目名
太陽電池 結晶シリコン太陽電池、薄膜シリコン太陽電池、CI(G)S/CZTS太陽電池、CdTe太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池、球状シリコン太陽電池、カーボン太陽電池、集光型太陽光発電システム、量子ドット太陽電池
部材 単結晶/多結晶シリコンインゴット・ウエハ、表面保護材、反射防止/防汚/波長変換材料、透明導電膜付き基板、基板材、バックシート、封止材、拡散剤、反射防止膜、電極ペースト、インターコネクタ、ターゲット材、透明電極材料、太陽電池向けガス、CIGS粒子、テルル、シーラント、アルミフレーム、有機系太陽電池用透明導電膜付き基板、有機系太陽電池用裏面基板、DSC用電極ペースト、DSC用増感色素、DSC用電解質、DSC用シール材、DSC用対極触媒材料、OPV用有機半導体材料
原料 ポリシリコン、バックシート用原材料、封止材用原材料、電極ペースト用粉体

調査方法

対象品目及び関連市場・技術等の対象企業・団体等へのヒアリングにより個別情報を収集し、参入各社・団体が公表する情報等を含む既存情報の確認・要約とともに、レポートを取り纏めた。

調査期間

2011年4月~6月

目次

≪総括編≫

  • 1.太陽電池市場の現状と将来展望(短/中/長期予測) (1)
  • 2.太陽電池向け部材市場の現状と将来展望 (3)
  • 3.バリューチェーン別:世界市場規模推移
  • (2009年実績~2013年/2015年/2020年/2030年予測) (5)
  • 4.メーカーシェア:世界TOP25社ランキング(セル/モジュール別) (6)
  • 5.太陽電池種類別:世界市場規模及び構成比推移
  • (2009年実績~2013年/2015年/2020年/2030年予測) (10)
  • 6.本社所在地別シェア状況(太陽電池/部材)
  • (全体・日本企業・中国企業・他アジア企業・欧州企業・北米企業・その他企業) (14)
  • 6-1.全体(太陽電池/部材) (14)
  • 6-2.太陽電池 (18)
  • 6-3.部材 (25)
  • 7.地域別生産体制 (33)
  • 7-1.地域別生産量マップ (33)
  • 7-2.太陽電池種類別生産能力/構成比推移
  • 本社所在地別/モジュールベース(2009年実績~2012年/2015年予測) (34)
  • 7-3.太陽電池種類別生産能力/構成比推移:
  • 本社所在地別/セルベース(2009年実績~2012年/2015年予測) (40)
  • 7-4.太陽電池種類別生産能力/構成比推移:
  • 工場所在地別/モジュールベース(2009年実績~2012年/2015年予測) (43)
  • 7-5.太陽電池種類別生産能力/構成比推移:
  • 工場所在地別/セルベース(2009年実績~2012年/2015年予測) (46)
  • 8.国別動向(国別市場規模及び国別優遇政策導入状況) (49)
  • 9.アプリケーション分析 (50)
  • 9-1.用途別:世界市場規模推移
  • (2009年実績~2013年/2015年/2020年/2030年予測) (50)
  • 9-2.全体及び太陽電池種類別用途構成比 (52)
  • 9-3.主要用途における太陽電池種類別構成比 (55)
  • 9-4.BIPV・EIPV市場規模推移 (56)
  • 10.風力発電・太陽熱発電との競合/棲み分け分析 (58)
  • 10-1.世界市場規模推移 (58)
  • 10-2.需要地動向 (59)
  • 10-3.発電コスト比較 (61)
  • 10-4.セグメント別需要動向 (61)
  • 11.流通ルート (63)
  • 12.フレキシブル太陽電池関連市場の現状と将来展望 (64)
  • 12-1.フレキシブル太陽電池種類別:世界市場規模推移
  • (2009年実績~2013年/2015年/2020年/2030年予測) (64)
  • 12-2.参入企業数 (66)
  • 12-3.メーカーシェア (66)
  • 12-4.地域別生産構成比 (67)
  • 13.太陽電池種類別スペックベンチマーク及び特性比較一覧 (68)
  • 14.太陽電池技術の現状と将来展望 (70)
  • 14-1.太陽電池種類別製造コスト及び変換効率 (70)
  • 14-2.太陽電池種類別製造コスト低減及び高効率化へのロードマップ (71)
  • 14-3.太陽電池種類別モジュール製造コスト構成比
  • (部材・プロセス別/工程別/部材別) (73)
  • 15.部材別採用太陽電池種類一覧 (76)
  • 16.主要参入企業一覧 (77)

≪集計編≫

  • 1.品目別市場規模推移 (81)
  • 2.品目別メーカーシェア (86)

≪太陽電池市場編≫

  • 1.結晶シリコン太陽電池〔単結晶(HIT含む)・多結晶・シリコンリボン含む〕 (93)
  • 2.薄膜シリコン太陽電池 (119)
  • 3.CI(G)S/CZTS太陽電池 (133)
  • 4.CdTe太陽電池 (147)
  • 5.色素増感太陽電池 (155)
  • 6.有機薄膜太陽電池 (162)
  • 7.球状シリコン太陽電池 (168)
  • 8.カーボン太陽電池 (173)
  • 9.集光型太陽光発電システム (176)
  • 10.量子ドット太陽電池 (181)
<調査項目>
 1.製品/技術概要
 2.市場環境
 3.世界市場規模推移
  (2009年実績~2013年/2015年/2020年/2030年予測)
 4.フレキシブル太陽電池市場の動向
  (2009年実績~2013年/2015年/2020年/2030年予測)
 5.メーカー動向
  5-1.参入企業数
  5-2.メーカーシェア
  5-3.主要メーカーの製品構造/採用基板材料、
    及び生産能力増強計画とグローバル展開状況
  5-4.地域別主要企業一覧
 6.地域別生産動向
 7.用途動向
 8.価格動向
 9.製造工程及び技術開発ポイント
 10.変換効率改善/製造コスト低減ロードマップ

≪部材/原料市場編≫

  • 11.ポリシリコン (185)
  • 12.単結晶/多結晶シリコンインゴット・ウエハ(スライス加工事業者動向含む) (195)
  • 13.表面保護材(ガラス/フィルム) (206)
  • 14.反射防止/防汚/波長変換材料(表面ガラス用)
  • (シリカ/チタニア/フッ素材料/蛍光体) (214)
  • 15.透明導電膜付き基板 (221)
  • 16.基板材(青板ガラス/ステンレス箔/ポリイミド) (225)
  • 17.バックシート (232)
  • 18.バックシート用原材料
  • 〔フィルム(PET/PVF/PVDF等)、フッ素樹脂コーティング材、バリアフィルム、接着剤、着色剤〕 (238)
  • 19.封止材(EVA/PVB/アイオノマー等) (248)
  • 20.封止材用原材料
  • 〔原料樹脂(EVA/PVB/アイオノマー/オレフィン/シリコーン/TPU)、添加剤〕 (254)
  • 21.拡散剤(PoCl3) (259)
  • 22.反射防止膜(結晶シリコン太陽電池セル用)(CVD材料・スパッタ材料・蒸着材料) (263)
  • 23.電極ペースト(Agペースト・Alペースト)・粉体(銀粉・アルミ粉・ガラス粉末) (267)
  • 24.インターコネクタ(銅)(はんだ代替導電接着剤・異方性導電膜技術動向含む) (275)
  • 25.ターゲット材〔ZnO系(AZO/ZAO・GZO・IZO等)・Cu-Ga・In・Mo・Ag〕
  • (透明導電膜窓層/光吸収層/裏面電極層) (280)
  • 26.透明電極材料 (292)
  • 27.太陽電池向けガス(モノシラン・セレン化水素等) (297)
  • 28.CIGS粒子 (305)
  • 29.テルル (308)
  • 30.シーラント(シリコーン/粘着テープ/ブチルゴム) (312)
  • 31.アルミフレーム(フレームレス化動向含む) (318)
  • 32.有機系太陽電池用透明導電膜付き基板 (322)
  • 33.有機系太陽電池用裏面基板 (326)
  • 34.DSC用電極ペースト(TiO2、ZnO) (330)
  • 35.DSC用増感色素 (334)
  • 36.DSC用電解質 (338)
  • 37.DSC用シール材 (342)
  • 38.DSC用対極触媒材料(Pt/導電性ポリマー/カーボン系) (346)
  • 39.OPV用有機半導体材料(ドナー材、アクセプター材) (350)
<調査項目>
 1.製品概要及び技術開発ポイント
 2.市場環境
 3.市場規模推移
  (2009年実績~2013年/2015年/2020年/2030年予測)
 4.メーカー動向
  4-1.参入企業数
  4-2.メーカーシェア
  4-3.地域別主要企業一覧
 5.地域別販売動向
 6.用途動向(採用太陽電池構成比)
 7.価格動向
 8.流通マップ

≪有力再生可能エネルギー比較分析編≫

  • 40.風力発電 (355)
  • 41.太陽熱発電 (359)
<調査項目>
 1.製品/技術概要
 2.世界市場規模推移
  (2009年実績~2013年/2015年/2020年/2030年予測)
 3.需要地/用途分析
 4.メーカー動向
  4-1.参入企業数
  4-2.メーカーシェア
  4-3.地域別主要企業一覧
 5.発電コスト