2012 電池関連市場実態総調査 下巻

2012 電池関連市場実態総調査 下巻

価格 106,700円(税抜 97,000円) 出版社 富士経済
発刊日 2012年03月02日 体裁 A4版 316ページ

関連書籍
 ・2013電池関連市場実態総調査 上巻
 ・2013電池関連市場実態総調査 中巻
 ・2013電池関連市場実態総調査 下巻

はじめに

 従来まではノートブックPCや携帯電話端末の市場拡大にあわせ小型民生用リチウムイオン二次電池市場も大幅に拡大してきたが、2010年後半~2011年に入り状況が一転した。1台あたりの電池容量がノートブックPCと比べ少ないタブレットPCがノートブックPCの代替として台頭してきたのに加え、端末自体の飽和、欧州の債務危機、米国など海外経済の減速感、東日本大震災やタイの洪水などの自然災害によるサプライチェーンの混乱や消費の減退などの影響で、小型民生用リチウムイオン二次電池市場の成長にかげりが見えはじめた。

 30~50US$といった低価格が市場に受け入れられ、2010年の出荷台数が6億台とも報じられる山寨機(コピー製品、White Box)は中国電池メーカー/材料メーカーの実績拡大を一部牽引してきたが、2011年に入り失速した。[1]高い技術力を必要とするスマートフォンの市場拡大に加え、[2]政情不安などにより中東向けの輸出が減少したこと、[3]Nokiaをはじめとするブランド端末メーカーが対策を強化したこと、[4]第26回夏季ユニバーシアード(2011年深圳で開催)などを契機に中国当局が取り締まりを強化したこと、[5]中国における所得水準向上により本物を持つことに価値を見出すようになったことなどが、この失速の背景にある。

 暗い話題ばかりだけではなく、明るい話題も多い。
 電動自動車の販売とともに車載用リチウムイオン二次電池の生産も本格化した。車載用リチウムイオン二次電池の生産量はまだ少ないながらも歩留りが安定していないため、小型民生用リチウムイオン二次電池の大手メーカー1社の材料調達量に引けを取らないほどの量の材料が、2011年に車載用リチウムイオン二次電池向けとして供給されたと推定される。
 東日本大震災を契機に電力貯蔵(ESS)市場に注目が集まるようになり、蓄電池として従来から主流のNAS電池や鉛蓄電池のほか、アルカリ二次電池、リチウムイオン二次電池が脚光をあびた。多くの電池メーカーがESS市場への参入を明らかにし、リチウムイオン二次電池を使用したESSの発表もあいついだ。
 いまのところ自動車のスタータ用としては大きな影響はないものの、中国当局による鉛蓄電池規制が中国の電動自転車業界に多大な影響を与えている。中国では年間3,000万台の電動自転車が生産され、そのうち95%以上に鉛蓄電池が搭載されている。中国電動自転車メーカーの60%が鉛蓄電池の供給不安をかかえているとの報道もある。これに対し、中国リチウムイオン二次電池/電池材料メーカーは電動自転車バッテリが鉛蓄電池からリチウムイオン二次電池へシフトするのではないかと期待している。

電池材料の主戦場は中国に

 前回までは中国リチウムイオン二次電池主要4材料市場は本編とは別項目「特集編」で報告していたが、今回からは本編でレポートしている。
 これによりセパレータを除いた主要材料の主戦場が中国に移っていることがあらためて浮き彫りになった。
たとえば正極活物質はトップ争いをしている日亜化学工業とUmicoreの次に北京当昇材料科技[Easpring]がつけ、4番手・5番手も中国メーカーである。負極活物質は日立化成工業と貝特瑞[BTR]が同率でトップ、4番手に杉杉[Shanshan]がつけている。電解液は2011年には三菱化学の躍進で2番となるものの2010年は張家港国泰華栄[Guotai-Huarong]が宇部興産や三菱化学をおさえてトップである。
 日系材料メーカーにとって脅威なのは、中国メーカー製材料が中国メーカー製電池に採用され、中国ローカル端末や東南アジア、中東向けの端末に採用されているだけではなく、AppleやSamsung Electronicsなど世界的なブランド端末に採用されていることである。正極活物質の北京当昇材料科技[Easpring]や電解液の張家港国泰華栄[Guotai-Huarong]は日系・韓国系電池メーカーに供給しているほか、負極活物質の貝特瑞[BTR]は韓国系電池メーカーのファーストベンダーであり、2011年に入り日系メーカーにも積極的なサンプルワークを開始している。
 また、日系電池メーカーが生産を中国にシフトさせていることや円高を背景として、日系材料メーカーの中国進出の発表があいついでいる。非公式ながら「次の増設は海外で」といった声もきかれる。

韓国電池メーカーの躍進の背景には中国製材料/内製材料の採用の増加がある

 リチウムイオン二次電池市場は韓国系電池メーカーが一人勝ちの状況である。この背景として、設備増強によるコストダウンや国策、円高・ウォン安など様々な分析がされているが、このほかに比較的安価な中国製材料を有効に使用したり材料の内製比率を高めたりすることで価格競争力をつけていることがあげられる。日系電池メーカーも韓国メーカーにならい、中国製材料の採用を増加させていくことが予想される。今までは仕様をオープンにせず評価した結果使えるものだけ使うというスタンスだったと思われるが、韓国メーカーと同様に仕様をオープンにしてその仕様にあう材料を作らせるようになっていくのではないかと思われる。中国材料メーカーの中には韓国電池メーカーから数十人規模で人が入っているところもあり、韓国電池メーカーは中国材料メーカーを鍛えることで、両者ともに躍進していった。

車載用リチウムイオン二次電池の工程内スクラップのリサイクルが本格化

 車載用リチウムイオン二次電池スクラップは小型民生用とは異なりコバルトなど高価格な金属の含有量が少ないため、有価物としにくい。そのため電池メーカーもしくは自動車メーカーがリサイクル事業者に処理費用を支払うビジネスモデルが主流になるといわれている。しかしスクラップ排出事業者からスクラップを購入し、有価物を回収・販売するといった従来型のビジネスモデルの可能性が高まっている。高い還元技術とブレンド技術、非鉄部分の高付加価値化に加え、国の補助金活用により設備償却費を半分に低減した分加工費用を安くして、従来廃棄物扱いの低品位電池を有価値化しているリサイクル事業者が2011年のリチウムイオン二次電池スクラップ取扱量を大幅に増やしている。

 当該資料の作成にあたり、上記のような電池/電池材料業界のトレンドを正確に把握し、レポートすることをこころがけた。それ以外にもより使いやすい資料/レポートを目指して、以下の点に注意して情報収集・編集にあたった。

  1. 当該資料では、前々回より中国市場に注目し、国内調査会社としては初めて中国のリチウムイオン二次電池主要4材料市場を本格的に調査した。今回、メーカーの実績・シェア動向などを把握するため、入念な追跡取材を行った。
  2. 中国だけでなく電池材料市場が急成長をとげている韓国の材料メーカーについてもできるだけ情報収集につとめた。
  3. 従来から電池材料メーカーと電池メーカーの供給関係の整理につとめてきたが、より体系的に、より細かくデータを提供するべく、リチウムイオン二次電池主要材料について、綿密な業界ヒアリングを行った。

 当調査資料は、このような市場環境や業界動向を総合的に俯瞰するとともに、主要な日系電池材料メーカーや伸長が著しい海外電池材料メーカーの動向を踏まえ、電池材料の各品目ごとにワールドワイドの生産ベースで市場をとらえた最新データを提供している。
 一次電池・二次電池のワールドワイド市場をまとめた「2012 電池関連市場実態総調査 上巻」(2012年1月既刊)とあわせてご活用いただくことで、業界発展の一助となれば幸いです。


 末筆になりましたが、今回の資料作成にあたり、こころよく取材にご協力いただきました企業様、ご担当者様に深く感謝いたします。まことにありがとうございました。

 ご担当者様にご迷惑とならないよう付け加えますと、より体系的に、より細かく整理した電池材料メーカーと電池メーカーの供給関係については、該当企業様が公表されている一部例外を除いて、当然ながら当事者企業からの開示ではなく、競合他社を含めた幅広い業界ヒアリングによるものです。

2012年3月

株式会社 富士経済
大阪マーケティング本部 
プロジェクト

調査対象品目

1)一次電池材料 4品目

  • 電解二酸化マンガン
  • 亜鉛粉
  • 金属リチウム箔
  • アルカリマンガン乾電池用セパレータ

2)二次電池材料 16品目

  • アルカリ二次電池正極活物質(水酸化ニッケル、硝酸ニッケル)
  • 水素吸蔵合金
  • 水酸化カリウム
  • アルカリ二次電池セパレータ
  • アルカリ二次電池集電体(パンチングメタル、発泡ニッケル)
  • リチウムイオン二次電池正極活物質(Co系、Mn系、Ni系、三元系:NiMnCo、Fe系)
  • リチウムイオン二次電池負極活物質
  • リチウムイオン二次電池電解液
  • リチウムイオン二次電池セパレータ
  • リチウムイオン二次電池正極バインダ
  • リチウムイオン二次電池負極バインダ
  • リチウムイオン二次電池正極集電体
  • リチウムイオン二次電池負極集電体
  • 金属外装缶用ニッケルメッキ鋼板
  • リチウムイオン二次電池ケース用アルミ板 
  • アルミラミネートフィルム

調査期間

2011年11月~2012年2月

目次

Ⅰ.電池材料市場総括編

  • 1.電池材料市場展望
  • 1)電池材料市場の現状と将来展望 (1)
  • 2)全体市場動向 (3)
  • 3)一次電池材料市場動向 (4)
  • 4)二次電池材料市場動向
  • [1]二次電池材料全体 (5)
  • [2]アルカリ二次電池材料 (7)
  • [3]リチウムイオン二次電池材料 (8)
  • 2.電池市場と電池材料市場の連関動向
  • 1)一次電池
  • [1]全体市場動向 (10)
  • [2]アルカリマンガン乾電池市場動向 (11)
  • 2)二次電池
  • [1]全体市場動向 (12)
  • [2]-1. ニッケル水素電池(小型)/材料市場動向 (13)
  • [2]-2. ニッケル水素電池(大型)/材料市場動向 (14)
  • [3]-1. リチウムイオン二次電池(シリンダ)/材料市場動向 (15)
  • [3]-2. リチウムイオン二次電池(角)/材料市場動向 (16)
  • [3]-3. リチウムイオン二次電池(ラミネート)/材料市場動向 (17)
  • [3]-4. リチウムイオン二次電池(車載専用)/材料市場動向 (18)
  • [3]-5.リチウムイオン二次電池材料の1セルあたり使用量動向と市場トレンド (20)
  • -1-小型民生用LIBにおける材料使用量推定 (20)
  • -2-車載用LIBにおける材料使用量推定 (21)
  • 3.注目電池材料メーカーの戦略、取り組み
  • 1)複数材料を展開するメーカーの状況 (22)
  • 2)主要材料メーカーの動向 (25)
  • 3)リチウムイオン二次電池における主要材料メーカー
  • →電池メーカー供給関係マップ(2011年見込み) (39)
<品目>
○リチウムイオン二次電池正極活物質
○リチウムイオン二次電池セパレータ
○リチウムイオン二次電池負極活物質
○リチウムイオン二次電池正極集電体
○リチウムイオン二次電池電解液
○リチウムイオン二次電池負極集電体

<対象電池メーカー>
■三洋電機 ■ソニー ■パナソニック ■日立マクセルエナジー ■Samsung SDI ■LG Chemical  ■比亜迪[BYD] ■天津力神[Lishen] ■新能源[ATL] ■比克[BAK] ■光宇[Coslight] ■邦凱[B&K]  ■リチウムエナジージャパン ■オートモーティブエナジーサプライ ■三洋電機(車載用) ■日立ビークルエナジー  ■プライムアースEVエナジー ■ブルーエナジー ■東芝 ■三菱重工業 ■SB Limotive ■LG Chemical(車載用)  ■KD ABG MI[Dow-Kokam] ■JC-Saft ■A123Systems ■比亜迪[BYD](車載用)

  • 4.リチウムイオン二次電池の材料開発動向
  • 1)リチウムイオン二次電池の安全性確保 (43)
  • [1]材料面からのアプローチ(主要材料のみ)
  • [2]部品面からのアプローチ
  • [3]周辺機器からのアプローチ
  • 2)安全性を目的とした二次電池材料の開発動向 (44)
  • [1]セパレータ [2]電解液 [3]集電体 [4]正極活物質
  • 3)リチウムイオン二次電池の次世代材料開発トレンド (45)
  • [1]正極活物質<現行><次世代> [2]負極活物質<現行><次世代>
  • [3]セパレータ<現行><次世代> [4]電解液<現行><次世代>
  • 5.材料価格動向
  • 1)主な金属系電池材料の価格動向と使用金属
  • [1]一次電池材料 (48)
  • [2]二次電池材料 (49)
  • 2)メタル相場 (51)
  • 6.電池材料マテリアルフロー(材料製造フロー、リサイクルフロー)
  • 1)ニッケル水素電池正・負極活物質 (52)
  • [1]メタル市場概要 ○ニッケル ○レアアース (52)
  • [2]製造工程一例 (53)
  • [3]リサイクルフロー一例 (55)
  • 2)リチウムイオン二次電池正・負極活物質 (56)
  • [1]メタル市場概要
  • ○コバルト ○マンガン ○リチウム化成品(炭酸リチウムや水酸化リチウム) (56)
  • [2]製造工程一例 (58)
  • [3]リサイクルフロー一例 (60)
  • 3)リチウムイオン二次電池正極活物質バリューチェーンマップ (61)
  • 4)国内リサイクル市場 (63)
  • 1.市場概要 2.国内リサイクル取扱量 3.マーケットシェア 4.参入各社の特徴
  • 5.リサイクルフロー・流通概要 6.課題と今後の方向性 参考)海外の動向
  • 7.電池材料別集計
  • 1)一次電池材料
  • [1]市場規模推移、予測 (71)
  • [2]メーカーシェア(2010年ベース) (72)
  • 2)二次電池材料
  • [1]市場規模推移、予測 (73)
  • [2]メーカーシェア(2010年ベース) (76)
  • 8.電池材料別主要参入企業一覧 (79)
  • 9.中国主要電池材料メーカー一覧 (85)

II.電池材料市場編

  • 1)一次電池材料
  • 1.電解二酸化マンガン (105)
  • 2.亜鉛粉 (114)
  • 3.金属リチウム箔 (120)
  • 4.アルカリマンガン乾電池用セパレータ (127)
  • 2)二次電池材料
  • 1.アルカリ二次電池正極活物質(水酸化ニッケル、硝酸ニッケル) (133)
  • 2.水素吸蔵合金 (148)
  • 3.水酸化カリウム (154)
  • 4.アルカリ二次電池セパレータ (160)
  • 5.アルカリ二次電池集電体(パンチングメタル、発泡ニッケル) (168)
  • 6.リチウムイオン二次電池正極活物質 (183)
  • 7.リチウムイオン二次電池負極活物質 (214)
  • 8.リチウムイオン二次電池電解液 (229)
  • 9.リチウムイオン二次電池セパレータ (246)
  • 10.リチウムイオン二次電池正極バインダ (262)
  • 11.リチウムイオン二次電池負極バインダ (269)
  • 12.リチウムイオン二次電池正極集電体 (276)
  • 13.リチウムイオン二次電池負極集電体 (285)
  • 14.金属外装缶用ニッケルメッキ鋼板 (295)
  • 15.リチウムイオン二次電池ケース用アルミ板 (301)
  • 16.アルミラミネートフィルム (307)
共通調査項目
  • 1.製品特徴
  • 2.市場規模推移、予測
  • 3.メーカーシェア(各社の動向、供給関係)
  • 4.用途別構成
  • 5.価格動向(原料価格動向、平均価格推移、応用製品別価格動向)
  • 6.開発・生産拠点状況
  • 7.技術開発動向・材料特性比較 
  • 8.今後の市場展開予測
  • ※品目によって項目の変更あり