カーボンナノチューブ・グラフェン分散技術の工業化と機能展開

カーボンナノチューブ・グラフェン分散技術の工業化と機能展開

価格 50,000円+税 出版社 S&T出版
→メールマガジン登録会員価格:47,500円+税
発刊日 2014年2月26日 体裁 A4判ソフトカバー 132頁
ISBNコード 978-4-907002-34-3 Cコード 3058

趣旨

カーボン(炭素)はごくありふれた材料であり、人類は古くから用いてきました。そのカーボンに近年脚光が集まる一因として「ナノテクノロジー」の発展があります。「ナノテクノロジー」とは、ナノスケールの大きさの分子や原子を、「創る」、「組織的に並べる」、「観る」、「操作する」などの手法で、目的の機能を持つナノ物質やデバイス、あるいはシステムを創製制御する科学、技術です。ナノテクノロジーの世界で、21世紀の科学技術の鍵物質として期待されているスーパー物質の代表格が、カーボンナノチューブ(CNT)およびグラフェンです。

ナノカーボンは、´生まれながらに´金属の銅より電気をよく通す導電性高分子です。さらに、鋼鉄より強度が10~100倍強く、超弾性を示す、銀と同程度の高い熱伝導性を持つ、耐熱性が非常に高い(空気中でも500℃くらいまで、真空だと1000℃までは燃えない。)。高分子のようにしなやかで、フィルムを作ることができる、空気中でも安定で、多くの薬品を加えても構造や物性が変化しない(つまり取扱扱いやすい)など、これまでに存在する物質では考えられないような極限の機能をもった、まさに「夢」の化合物であり、これまでに存在する他の物質、材料を大きく凌駕しております。

CNTおよびグラフェンの分散技術は、CNT、グラフェンの応用展開を図る上でキーテクノロジーであり、現在、電池電極触媒や透明導電膜、電子デバイス、超軽量高性能複合材料など実用化が近付いてきています。また、より安定にそして大量生産に向けた分散技術や、半導体CNTと金属性CNTの分離/応用研究も進展しています。しかし、CNT・グラフェンの分散は、CNTの種類や実験条件によって大きく影響されることから、個別の技術解説に留まることが多かったり、科学的な理解が十分でないために必要となる性能・機能が引き出せていない現状にあります。

このような状況を踏まえ、この分野の現状ならびに進展をまとめることは意義あることと考え、「カーボンナノチューブ・グラフェン分散技術の工業化と機能展開-溶液・ポリマー・金属・セラミックスへの分散-」の出版を企画いたしました。本書では、基礎的な要素技術と応用技術ついてまとめ、課題抽出と共にCNT・グラフェンの本格応用展開についての取り組みをまとめたものです。

具体的には、第1章においてCNTの液相・固相への分散の基礎技術、第2章では、CNTの具体的な分散技術、第3章および4章では、グラフェン・酸化グラフェンの可溶・分散技術と応用展開、第5章では、実用化が迫るCNT、グラフェンのエネルギー・ディスプレイへの応用技術、について、基礎的な内容は、主に大学人が、またホットな応用展開については、主に企業研究者がまとめたものです。

本書は、この分野に関心がある企業研究者が対象ですが、大学院学生および若手研究者にも役に立つ内容となっております。本書が、化学、材料、エネルギー、環境、機械航空分野などの多彩な分野での「革新的な次世代ナノ材料創成」とその実用化の役に立てば幸いです。

「はじめに」より

著者

※敬称略

中嶋 直敏
九州大学
福丸 貴弘
九州大学
藤ヶ谷 剛彦
九州大学
佐野 正人
山形大学
重田 真宏
TASC(技術研究組合 単層CNT融合新材料研究開発機構)
今井 祐介
(独)産業技術総合研究所
新井 進
信州大学
近藤 勝義
大阪大学
今井 久志
大阪大学
梅田 純子
大阪大学
古月 文志
北海道大学
山本 剛
東北大学
白須 圭一
東北大学
野坂 陽
東北大学
Weili Wang
東北大学
橋田 俊之
東北大学
新谷 紀雄
(独)物質・材料研究機構
八名 拓実
(株)名城ナノカーボン
橋本 剛
(株)名城ナノカーボン
武内 正隆
昭和電工(株)
笘居 高明
東北大学
本間 格
東北大学
渡邊 修
東レ(株)

目次

第1章 CNTの液相・固相への分散の基礎技術

第1節 カーボンナノチューブの可溶化(分散)-その重要性と分散における要素-
  • 1. CNTの可溶(分散)化-可溶化の重要性
  • 2. 一般的な溶媒による分散
  • 3. 化学修飾可溶化(共有結合による分散/可溶化処理)
  • 4. 物理修飾可溶化(非共有結合による可溶化処理)
  • 4.1 低分子系可溶化剤
  • 4.2 高分子系可溶化剤
  • 4.3 DNA可溶化剤
  • 5. CNT分散の評価方法の要点
  • 6. カーボンナノチューブの電子準位
  • 7. CNTとナノ粒子との複合化
第2節 凝集メカニズムからみたCNT種に応じた分散法
  • 1. CNT間のファンデルワールス相互作用
  • 1.1 ファンデルワールス相互作用
  • 1.2 CNT間のファンデルワールス相互作用
  • 2. 塊をほぐす操作
  • 2.1 ほぐす条件
  • 2.2 ポリマーとの混錬
  • 2.3 超音波照射
  • 3. 再凝集を防ぎ安定化させる操作
  • 3.1 安定化の原理
  • 3.2 速度論的安定化
  • 3.3 斥力による安定化
  • 4. CNTの屈曲、欠陥と不純物の効果
第3節 CNTのカイラリティ分離の現状と展望
  • 1. はじめに-なぜ分離が必要か?-
  • 2. 半導体性・金属性SWNTの分離
  • 2.1 化学反応を利用した分離法
  • 2.2 クロマトグラフィーを利用した分離法
  • 2.3 密度勾配超遠心分離(DGU)を利用した分離法
  • 2.4 選択的可溶化法
  • 3. 固有のカイラル指数(n、m)をもつSWNTの分離
  • 3.1 クロマトグラフィーの利用
  • 3.2 密度勾配超遠心分離(DGU)法の利用
  • 3.3 選択的可溶化法
  • 4. 右巻きSWNTと左巻きSWNTの分離

第2章 CNT分散技術

第1節 スーパーグロースCNT分散における分散剤の選定と分散技術
  • 1. スーパーグロースカーボンナノチューブの概要
  • 2. SGCNTの分散とその評価に用いる装置
  • 3. 純溶媒へのSGCNTの分散性
  • 4. SGCNTを良好に分散させる分散剤の選定
  • 4.1 水への分散
  • 4.2 有機溶媒への分散
第2節 湿式ジェットミルによるCNTの分散処理とポリマーコンポジットの導電特性への効果
  • 1. 湿式ジェットミル(WJM)とは
  • 2. 湿式ジェットミルによるCNTの処理
  • 2.1 CNT分散液の調製
  • 2.2 フィラー用WJM処理CNTの調製
  • 3. ポリプロピレンとのコンポジット
  • 3.1 溶融混練によるコンポジットの調製
  • 3.2 iPP/CNTコンポジットの電気伝導特性とCNTの分散構造
第3節 CNTを用いた複合めっきにおけるCNTの分散性向上と特性向上
  • 1. 複合めっき
  • 2. CNTを用いた複合めっき(CNT複合めっき)
  • 3. めっき浴中のCNTの分散性評価
  • 4. めっき浴中のCNTのゼータ電位評価
  • 4.1 ゼータ電位とは
  • 4.2 電気泳動法によるゼータ電位評価
  • 4.3 超音波を用いたコロイド振動電流法によるゼータ電位評価
  • 5. CNT複合めっき浴の調製事例
  • 6. CNT複合めっき膜の各種特性
第4節 粉末冶金法を用いたCNT/金属基複合材料の特性
  • 1. 金属粉末へのCNT被覆プロセス
  • 2. CNT被覆金属粉末固化材の作製と特性
  • 2.1 CNT分散チタン基焼結材料
  • 2.2 CNT分散銅基焼結材料
  • 2.3 耐腐食性に及ぼすCNTの影響
第5節 CNT/セラミックス複合材料の研究・開発動向
  • 1. アルミナ母材中へのCNT分散技術の現状
  • 2. 複合材料の電気的ならびに機械的特性に及ぼすCNTの分散性の影響

第3章 グラフェン・酸化グラフェンの可溶・分散技術と応用展開

第1節 グラフェンの基礎ならびに可溶化と応用展開
  • 1. はじめに-グラフェンの構造と定義
  • 2. グラフェンの基本特性
  • 3. グラフェン研究の歴史
  • 4. グラフェンの層数の決定と分離精製
  • 5. グラフェンの合成(作製)
  • 5.1 機械的剥離法
  • 5.2 CVD法
  • 5.3 酸化グラフェン(Oxidized Graphene:GO)の還元
  • 6. グラフェンの修飾
  • 6.1 化学修飾
  • 6.2 物理修飾
  • 7. バンドギャップをもつグラフェンの合成
  • 7.1 グラフェンナノリボン(GNR)の合成
  • 7.2 二層グラフェンの利用
  • 7.3 ナノメッシュ化
  • 7.4 化学的手法
  • 8. グラフェンの応用
  • 8.1 フレキシブル透明電極
  • 8.2 トランジスタ
  • 8.3 スピン輸送デバイス
第2節 グラフェン複合材料の開発と応用展開
  • 1. 複合化素材としてのグラフェンの特質
  • 2. グラフェンの複合化方法(溶液中への分散、ポリマーとの混和)
  • 2.1 グラフェンを溶媒中に均一分散させる方法
  • 2.2 グラフェンとポリマーとの複合化
  • 3. グラフェンとポリマーの複合材料と応用
  • 3.1 ポリマーの高強度化
  • 3.2 ポリマーの導電性化
  • 3.3 ポリマーの熱伝導性化
  • 3.4 無機材料との複合材料
  • 4. グラフェンの積層及び階層構造化と応用
  • 4.1 グラフェンの積層構造化
  • 4.2 グラフェンの階層複合材料

第4章 CNTの水系・溶媒系における分散方法と応用展望

  • 1. 導電性目的の分散
  • 2. 熱伝導特性目的の分散
  • 3. 引張強度狙いの分散
  • 4. 光利用狙いの分散
  • 5. 分散状態の評価

第5章 実用化が迫るCNT、グラフェンのエネルギー・ディスプレイへの応用技術

第1節 CNTの燃料電池への応用
  • はじめに-研究の背景
  • 1. CNT分散技術に基づくCNT表面機能化
  • 2. CNTベースの燃料電池触媒作製手法
  • 3. CNT/PBI型触媒の基本特性評価
  • 4. PBI系燃料電池への展開
  • 5. 今後の展望
第2節 CNTのLiイオン電池への応用
  • 1. VGCF(R)の製造方法と代表的物性
  • 2. VGCF(R)のLIB電極用導電助剤としての添加効果代表例
  • 2.1 サイクル寿命の改善
  • 2.2 高電極密度での電解液浸透性改善
  • 3. VGCF(R)電池用途への最近の検討状況
  • 3.1 Feオリビン正極系への添加
  • 3.2 VGCF(R)の電池用材料としてのその他の展開
  • 3.3 新規VGCF(R)複合導電材の研究
第3節 グラフェンのリチウム電池、キャパシタへの応用
  • 1. グラフェンのエネルギーデバイス応用
  • 2. 電気二重層キャパシタへの応用
  • 2.1 グラフェン電気二重層キャパシタ
  • 2.2 ナノグラフェン電気二重層キャパシタ
  • 3. リチウムイオン電池への応用
第4節 2層カーボンナノチューブの透明導電フィルムへの応用展開について
  • 1. 2層CNT
  • 1.1 2層CNTの特徴
  • 1.2 2層CNTの製造
  • 1.3 2層CNTの分散
  • 2. 2層CNTの透明導電フィルムへの応用展開
  • 2.1 2層CNT透明導電フィルムの製造技術
  • 2.2 2層CNT透明導電フィルム
  • 3. 2層CNT透明導電フィルムの用途展開
  • 3.1 各種デバイスの要求特性
  • 3.2 電子ペーパー用途への展開
  • 3.3 タッチパネル用途への展開