21世紀注目市場(2):日本のデバイス技術が活躍する次世代携帯電話


次世代携帯電話は、日本のNTTドコモの「FOMA」を皮切りに、KDDIの「2000 1x」が投入されました。そしてJフォンが2002年の末に参入し、国内三大キャリアの端末が出揃ったかたちで2002年の幕を閉じました。FOMA投入当初に指摘されていた待ち受け時間やアプリケーションの乏しさなど課題も徐々に解決されつつありますが、世界全体から見ると第3世代携帯電話は、決して市場のメインストリームとしての普及段階に至った訳ではありません。

むしろ、第2世代携帯電話端末の通信部分をそのままに、機能面での拡張としての、「カメラ機能」や「GPS機能」、「Java機能」などが広く市場に受け入れられています。第3世代携帯電話で想定されていた技術要素の一部を採用することによって、2002年の市場を大いに賑わしました。このことは、携帯電話業界が進む一つの方向だと言えるのではないでしょうか。ユーザは技術一辺倒な高機能化ではなく、多様化した上での高機能化を望んでいると思われます。

2003年には、日本および韓国市場でカメラの性能が低画素タイプからメガピクセルタイプへの拡大や、画像などデータを処理するプロセサとベースバンドとのデュアルプロセサ化、メモリの大容量化が進展すると予測されます。
また、海外市場でもカメラ搭載の機種が普及し、カラーLCDの需要を喚起するとも言われています。従来は音声通話とショートメール送受信しかできない単機能端末がメインであった海外市場でも、日本市場と同様にデータ通信などのサービスが「2.5G端末」として着実に普及する見通しです。このことは、キャリア、サービス、メーカ、デバイス、マテリアルともに全てのプレイヤーにおいて、日本市場で先行したノウハウを世界市場で活かせる可能性を見込むことができることを意味します。

■ 携帯電話市場の推移

図1.携帯電話市場の推移
携帯電話市場の推移

ワールドワイドでの携帯電話端末の生産は2001年では3億8,300万台と2000年実績と比較して減少となったものの、2002年では3億9,800万台と前年比で約4%増となっています。

過去、携帯電話は世界中での急速な普及を背景に尻上りの生産が続いていましたが、2001年では一時的な低下となりました。各社では当初より、計画値に見合う部品調達を行なっており、2001年のBBレシオは100を上回り、部品の供給過多という現象につながり、携帯電話メーカーの部品在庫も増加する傾向となりました。このため、2002年当初の部品メーカの販売量は前年比をかなり下回る現象をみせました。しかし、2002年後半には携帯電話メーカーの部品在庫調整にメドがつき、2002年末時点では適正な需給関係になったと言えます。

携帯電話の方式別推移では2001年に2億4,600万台であったGSMは2002年には2億5,390万台へと回復しています。GSMのうち高機能タイプとみなすGPRSでは、2001年に約600万台でありましたが、2002年は900万台程度と前年比150%と堅調な伸びをみせております。今後、GPRS方式は端末の高機能化、コンテンツおよびサービスの向上から、急速な展開が期待されており、 2006年には携帯電話全体の4割の以上に達するものと見ております。

またnCDMAは、狭帯域のCDMAとしてIS-95として捉えましたが、cdma2000へと移行しつつあります。CDMA全体では2001年の約6000万台から2002年では7590万台と伸長しています。WCDMAはサービスが開始されたものの、市場の本格的な拡大は2004年以降と予測しております。

ワールドワイド携帯電話市場規模の推移予測

第3世代携帯電話の普及は、通信キャリアの立場から見ると、依然として思わしくない状況にありますが、端末メーカの立場として、日本や韓国の2002年に出回った端末市場を眺めると、実質として第3世代携帯電話と大差の無いデバイスを採用していたかの様に見ることができます。2.5Gの端末で付加価値の高い部品が採用されたことで、携帯電話端末の母数市場が停滞しているにも関わらず、先端部品を取り扱うデバイスメーカの収益性は高いものとなってます。

第3図に挙げたようなキーデバイスに関しては、日系メーカの得意とするところであります。国内キャリアの先進的な取り組みや、メーカ端末の高機能デザインおよびパケットデータ通信インフラの導入、ゲームや着メロなどコンテンツ市場の盛り上がりと、日本市場特有の市場環境がもたらした相乗効果によって、端末の高機能化が進展したと見ることができます。
今後成長するデバイス


■ キーデバイスとしてのカメラモジュールの市場拡大

第4図は、カメラ付携帯電話市場の画素数別トレンドの推移です。日本市場でCIFサイズから立ち上がった市場は、2002年にはVGAサイズへのシフトが始まりました。2003年にはSXGA(100万画素クラス)の投入も計画されています。

カメラモジュールは、昨年から市場を牽引するキーデバイスとして急速な市場拡大が見込まれています。点線は、デジタルスチルカメラ(DSC)(トイカメラを含まない)の市場推移です。2002年にカメラ付携帯電話の数量がDSCの数量に迫るほどに市場が成長しています。CIFサイズはトイカメラ相当の性能であり、VGAでもDSCの黎明期の性能に過ぎませんが、潜在カメラユーザの需要を喚起したかのように見ることもできます。さらに、2003年以降は、従来のDSC市場を完全に凌駕する勢いでの市場成長が見込まれています。

日本市場では、カメラ付携帯電話の投入が早かったこともあり、使用方法に関しての周辺市場の立ち上がりも、成熟した環境に育っています。CIFサイズでは基本的にメールで送信したり、その場で楽しむという使い方が浸透していますが、キャリアでの画像用サーバの構築やサードパーティによるフレームなど「プリクラ」市場で培ったコンテンツの再活用など市場環境が整っていたことも普及要因の一つと考えられています。

また、VGAサイズ以上の端末から得られる画像は、写真として十分成立する画質を実現できることから、ローエンドDSCの市場への侵食が危惧されているほどです。日本市場では、すでに100万画素カメラ付携帯電話の普及を見込んで、マルチメディアキオスク端末(MMK)でのプリンティングサービス市場が立ち上がり始めています。PCでのダイレクト印刷と併せて、携帯電話の魅力を引き出す相乗効果を期待することができ大きな期待がかけられています。
カメラ付携帯の画素数トレンド


■ 地上波デジタルテレビ放送と携帯電話

地上波デジタル放送は、6MHzの帯域を、13セグメントに区分して、サービスごとに使い分けて使用することができます。HD(ハイビジョン)は、この内12セグメントを使って行われる放送です。セグメントの使い分けは、基本的にはNHK、民法キー局、地方局それぞれ自局のコンセプトに従って、自由に使い分けることができますが、公共性の高い情報インフラという性格上、結果的には放送業界全体に、統一した使い分けで実施に移される見込みであります。

携帯電話端末(移動体:車も含む)向けの放送は、この13セグメントの内の1セグメントを使って送信される新規のサービスです。第5図のように2004年末頃にはそれが実現しそうです。
テレビ放送は、その名の通りテレビ受像機に対し、放送されてきたものでありますが、今回の地上波デジタル放送によって、初めてテレビ以外の受像端末に向けて放送されることになるわけです。
携帯電話業界・TV放送業界の相互マップ

参考資料:「2003 次世代携帯電話とキーデバイス市場の将来展望」(2003年02月:富士キメラ総研)
「2003 テレビ放送市場総覧」(2003年02月:富士キメラ総研)
※本記事は富士経済グループ各社の独自調査により編集したものです。

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