中国携帯電話市場:超高成長(年率60%)が期待される中国系企業


中国の携帯電話加入者総数は2002年末には2億人を超え、既に世界一の市場となりました。一方、携帯電話機生産は既に2001年は90百万台、2002年は127百万台へと急拡大しました。外資系企業を中心に世界の生産基地化が進んでおりますが、中国国内販売も2001年は47百万台、2002年は69百万台と急成長しております。

2002年には中国国内市場でGPRSとCDMAのサービスが始まりました。また2003年春にはCDMA 1Xのサービスが始まり、第3世代携帯電話のサービスも2003年末を目指して活発化してきています。

中国で携帯電話機生産が急増している主な要因は、外資系企業が中国で生産をして輸出をする台数が増えていることによるもですが、それと併せて、国内企業のシェアも高まっており、2002年は既に国内企業のシェアが30%程度まで上がってきています。

2003年も中国携帯電話市場は引き続き拡大をし、携帯電話機の生産台数は170百万台、国内販売台数は83百万台と見込でいます。

第1図に2005年までの中国国内における携帯電話機の生産台数推移予測をグラフに示しています。これによりますと2005年には2億2千万台が中国国内で生産され、全世界の45%が中国国内で生産されると予測されています。



また、2002年度の企業別生産シェアーを見ますと、全体で国内企業が30%の生産ウエイトを占めていますが、上位5社の中に中国企業が2社含まれており、中国企業の生産トレンドは2005年に向けては年率60%と予測されておりますので、さらに中国企業の生産ウエイトが高まるものと思われます。




次に主要メーカーの生産状況を見てみましょう。

まず、外資系メーカー動向ですが、2002年以降、ノキア、モトローラ、シーメンスなどの外資系携帯電話機メーカーは中国での生産規模を拡大してきました。これら外資系メーカーが新たに確立した生産能力は4,000?5,000万台で、2003年には中国国内の携帯電話機の生産能力は2.5億台に達すると思われ、国内需要規模の約4倍になります。国内携帯電話機市場における競争は更に激しくなり、一部の競争力の弱いメーカーは経営危機に陥る可能性もあります。

また、NECと松下通信工業は、華為技術有限公司と共同で2002年6月に3G標準(WCDMA)の中国における普及を目指し、“上海宇梦通信科技有限公司”(COSMOBIC Technology)を設立致しました。新会社は上海市に設立、資本金は800万米ドルで、NECと松下通工が47%ずつ、華為が6%を出資しました。設立当初は100名のエンジニアによって構成されますが、3年以内には300?500名体制へと拡大する計画です。NEC、松下はNTTDoCoMoへWCDMA携帯電話を供給している日本メーカへ、新会社に対する協力を望んでおります。これにより、WCDMAを中国市場における標準規格にしたいと考えてます。

次に国内企業ですが、国産のブランドは大きく以下の3タイプに分けられます。

 ・家電メーカー(TCL、海爾、海信、厦新、厦華)
 ・通信メーカー(波導、首信、南方高科、中電通訊)
 ・ITメーカー(聯想、托普)

現在、多くの国産メーカーが携帯電話機を生産していますが、いずれも生産規模は小さく、ほとんどが年間生産台数200万台以下です。その中で、TCL、波導、首信、厦新などのように生産規模を拡大してきているメーカーも出現しています。
波導は既に生産能力が2,000万台/年です。TCLは1,000万米ドルを投資して生産能力を1,500万台/年にまで拡大する予定です。南方高科の生産基地二期工程は2003年上半期に竣工する予定で、竣工後の生産能力は1,000万台/年に達する見込みです。
また、熊猫の2002年度販売台数は60万台でありましたが、フィンランドのMACROCELL社との合作後3年以内に1,000万台の生産台数を目指しています。

現在、波導、TCL、科健は国産携帯電話機市場で高いシェアを握っていますが、多かれ少なかれ国産メーカーの共通点として余分な生産能力を抱えており、大幅な生産規模拡大を実現することができない現在の状況下において、今後、市場競争激化により撤退を余儀なくされる国産メーカーも出てくる懸念があります。

次に中国の技術開発についてですが、既に世界最先端レベルとの距離を縮小しつつあります。国産メーカーは既にローエンド製品、低利潤製品の生産を中心には考えていません。国産メーカー全体のシェアも1998年の0から2002年には30%までに達し、ようやく海外ブランド製品との競争力が出てきたところであります。一部の国産メーカーはGSMのシステム設計、開発、生産技術、2G携帯電話のデザイン、アプリケーション・ソフトウェア、RFモジュールの設計などといった技術から量産化技術までマスターしています。また、コアチップなどの開発面でも成果をあげてきており、国産携帯電話機メーカーにとって厳しい競争を勝ち抜く為、研究開発の強化を主要戦略として選択しています。例えば、中興通訊は毎年販売収入の10%を研究開発に投入しており、TCLも毎年約3億元を投入しています。海爾は欧州、アメリカ、香港に研究開発センターの設立に着手しており、波導は南京に研究所を設立させ、CDMA携帯電話のコア技術面の研究に注力しています。

外資系メーカーは国産メーカーと同様にチップメーカーからチップセットを購入しています。外資系メーカーの携帯電話の生産量は大きいため、購入価格の引き下げ交渉は優位でありました。しかし、国産携帯電話機メーカーの販売量が増加するにつれて、外資系メーカーの利点は徐々になくなりつつあります。例えば、TCLは自社による知的財産権を持つ各種通信技術の開発を重視し、クアルコム、マイクロソフト、インテルなどの海外通信企業と合作を進めてきています(クアルコムとはCDMA、マイクロソフトとはOMIT、インテルとはチップ技術開発の合作契約を結んだ)。GSMだけでなく、今後はGPRS、ブルートゥースなどの関連技術の開発と応用へも参入していくことになります。

最後にキーコンポーネントの供給動向であります。世界の大部分の携帯電話機メーカーが中国へ投資をしており、また国産携帯電話機メーカーの急速な発展によって、関連部品(IC、チップデバイス、LCD、リチウムイオン電池等)の発展をも促してきています。関連部品の産業規模と技術レベルも向上してきており、外資系メーカーも中国国内での現地調達率を高めてきています。

モトローラはデバイスの現地調達率を高めるため、部品メーカーの中国への投資を促すこととなりました。また、17億米ドルを投資して天津にIC生産工場を設立しました。ノキアは100億元を投資して設立した北京星網工業園へ多くの部品メーカーの入園を促進させました。シーメンスは今後2?3年でアジア移動通信業務に15億米ドルを投資する予定であり、その2/3が中国での投資となります。

太陽誘電は6月より広東省東莞市において“1005”と呼ばれる小型チップコンデンサの生産を開始しました。KOAも10月より江蘇省太倉市の新工場にて1005サイズの抵抗器の生産を開始しました。

このように多くの部品メーカーが中国に投資を行なって、生産を開始していますが、やはり最先端のハイテクコンポーネントの中国生産には慎重となっています。これは、中国の知的財産権の措置が未整備で、技術や経験が流出するのを恐れているためと思われます。

2002年4月、ノキア星網工業園1期工程が完了しました。敷地面積は50ヘクタールで、約15社のメーカーが入園しています(台湾富士康公司、イビデン、三洋電機等)。投資総額は6億米ドルでした。星網工業園二期では更に50ヘクタール増加させる計画で、更に15?20社のメーカーの入園を望んでいます。星網モデルは“携帯電話の組み立てから出荷まで必要な時間はわずか1日”です。

国内外の携帯電話機メーカーは上海及び上海近郊都市で生産拠点を確立しています。これにより、緑点、美律、毅嘉、統振などの多くの台湾部品メーカーを蘇州へ投資させることとなりました。これは製造、輸送を考慮し、また上海以外の華南や華北への配送も便利であるためです。同地区に携帯電話機生産工場を設立しているのはモトローラ、蘇州明基(AcerグループのBenq)、DBTEL、仁宝(Compal)、耀華電子(Unitech)などがあります。

美律や毅嘉は2002年に蘇州での工場設立計画を制定しました。携帯電話用音響製品を生産する美律は国産携帯電話機メーカー(中電、海信、首信、TCL、波導などの新規顧客)の認証を終了し、700万元を投資して蘇州相城に工場設立を決めました。キーパッドを生産する毅嘉科技の蘇州新工場は現在建設中であります。モトローラへ通信製品用ケースを供給する緑点公司はモトローラ向けの天津工場の他に、蘇州にも生産工場を確立しています。

以上のように、製品開発から部品調達まで一貫生産体制がますます充実する中国携帯電話機の生産はここ暫く目を離せない状況となりそうです。


参考資料:「2003年 中国携帯電話機・部品産業の展望」
加入者総数2億人を超えた中国携帯電話のGPRS、CDMA、及び3Gの方向性



※本記事は富士経済グループ各社の独自調査資料を再編集したものです。

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