中国情報通信機器生産:世界の量産工場化さらに鮮明


2002年の中国電子産業は前年に引き続き急成長を致しました。全業界の工業総生産額は17,800億元であり、前年に比べて20.9%増加しました。内訳は、通信及びコンピュータ製品が13.8%、部品が28.1%、コンシューマ電子製品が26.6%の増加でした。通信及びコンピュータ製品の経済規模は大きく、業界全体に対する生産増加の貢献率は31.2%であり、全業界の生産を6.5%押し上げたことになります。

中国電子機器市場の規模が拡大した主な要因としては、近年来の国民経済の情報化の促進及びデジタル技術とネットワーク技術の急成長が電子機器をアップグレードさせ、電子機器市場需要を増加させたからであります。従来までの家電と情報技術が融合し、家電市場は新たな成長ポイントとなりました。通信とコンピュータネットワークがともに発展し、通信とネットワーク技術を急速に進歩させました。電子産業は国民経済の発展にますます重要な作用を及ぼすようになり、国は電子産業を積極的にサポートし、産業発展により良好な環境とビジネスチャンスの創造、西部大開発、中国各地にシリコンバレーやソフトウェア園等のIT地域を作るなど、電子産業の発展に大きな支えとなりました。

第1図 情報通信主要機器の中国国内生産トレンド


第1図に主要商品の生産台数トレンドを、第2図には品目別の国内出荷と輸出の構成比をグラフ化しております。

第2図 生産品目別、輸出・国内出荷ウエイト(2002年)


二つのグラフより、特に注目すべきものとして、約半数が国内に出荷される携帯電話と、輸出を背景に生産台数が爆発的に伸びるノートブックPCについて取り上げてみたいと思います。

■ 世界最大の携帯電話市場
第3図 携帯電話生産シェア(2002年)
中国の携帯電話は、2002年末、加入者総数が2億人を突破し、世界第一位の規模となりました。市場需要の急速な増加は、生産を大幅に促進させました。中国には現在約40社のメーカーが生産活動を行なっており、2002年の総生産台数は1億2,700万台でありました。外資系は中国を生産拠点と捉え世界各国へ輸出をし一方国内メーカーは国内出荷に重点を置いているという構図であります。

第3図は中国における2002年度の携帯電話の生産台数シェアを表しております。生産規模が最大であったのは依然としてモトローラやノキアに代表される外資系企業であり、輸出比率も非常に高くなっております。一方中国企業の生産増加も目覚しく、特に寧波波導の生産台数は4位ですが、国内販売台数では第3位にまで成長しました。また、国産ブランドの市場シェアも急速に上がり、2002年度市場シェアは31%に達したましたが、輸出量は依然として少なく、輸入量は中国のWTO加盟により、2002年度は1,150万台にまで増加しました。

■ 中国で脚光を浴びるPHS、しかし先行き不透明

日本が開発したPHSは日本市場では、現在の契約数が日本は545万台(6月時点)と月を追って減少しいる状況ですが、中国においてはその簡便性、利用料金の安さなどが認識され、急成長を遂げています。2002年末までの加入者数総数は1,150万人となり(うち、02年度新規加入者数は645万人)PHS端末機の生産台数は963万台に達しました。生産された製品は国内販売だけでなく、台湾、タイ、ベトナム、インドなどへも輸出されております。

PHS技術は日本で開発されたため、中国の主要設備やキイコンポーネントは日本の京セラ、三菱電機、三洋電機などが提供しております。PHS端末機を生産していたのは、UT−スターコム、深セン中興、ルーセントテクノロジー、南京普天、京セラなどごく限られたメーカーであります。一部には自社研究開発をしたものもありますが、相当数の製品で採用されている技術と部品は日本のメーカーによるものでありました。

PHSは携帯電話機以上の優位性を多く備えており、周波数は3G標準の一つであるTD−SCDMAと同じであることから、中国政府は携帯電話の発展を阻害するとして、一貫して制限政策を採用していました。しかし、2002年より、中国国内での需要は一貫して旺盛であり、中国政府も北京、上海、広州などの大都市市場でのPHSサービス開通を徐々に開放していきました。しかし、3Gの発展の状況によっては、2004年以降にPHSサービスは停止させられる可能性もありますが、PHSがここまで発展したため生き残らせる可能性もあります。
技術面では、携帯電話と同程度水準のショートメッセージ、MiMiインターネット等の新機能を既に備えています。

2003年、市場需要の増加にともなって、新規参入する企業が出てくるものと思われますが、やはり将来は制限を受けるものとして、各社のR&D投資比重は極度に増加することはなく、生産もおもにOEM方式が採用されると思われます。UT−スターコムは国内トップシェアを維持すると同時に、その他の製品領域を開拓し、南京普天はPHS端末機の生産を継続しますが少量生産に留めるものと見ております。

■ 台湾メーカー中心のノートブックPC
第4図 ノートブックPC生産シェア( 2002年)
ノートブックPCの生産が驚異的に伸びております。台湾政府は、技術流出の観点から、中国本土でのPCの生産を禁止しておりましたが、2001年に解禁になった事で、なだれを打ったように生産が始まった事によるものです。それまでは、IBMと提携関係にある長城国際信息産品有限公司が生産していた程度ですが、解禁とともに台湾メーカーが一斉に生産を開始し、一気に10倍の440万台へと膨れあがりました。2002年には世界の15%程度の構成比ですが、2004年には世界の40%へと生産台数が劇的に拡大すると予測されます。

第4図はノートブックPCのメーカ別生産シェアです。殆ど台湾系企業で占めており、上位、6番目にIBMと提携関係にある長城国際信息産品有限公司が位置しますが、その他台湾系以外では今後東芝が顔を出す程度です。この構図はまだ暫く続くものと見られます。

2003年3月から猛威を振るったSARSの流行によって、中国におけるもの作りの見直し論が起こりましたが、基本的な流れに変化は無く、量産される電気製品、電子機器はまだまだ世界の量産工場として中国は世界に貢献しつづけると思われます。特に今回取り上げました、携帯電話とノートブックPCは、欧米や台湾企業から、中国の地場企業の生産へとウエイトが高まると共に、世界を席捲して行くものと想像されます。


※本記事は富士経済グループ各社の独自調査資料を再編集したものです。

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