中国電子機器市場:
北京オリンピックに向けて3億世帯がデジタルテレビへ買い替え


中国は2001年末にWTO加盟の承認を受け、2002年から本格的に世界市場への供給が始まりました。同時に中国国内市場も外資企業に対し徐々に市場緩和が進み中国電子機器は生産台数、国内需要台数ともに大きな伸びを示しました。

中でも大きな進展を見せたAV機器・映像情報機器・電化機器について中国市場を見てみましょう。生産台数で見ますと2002年
     DVDプレーヤー 前年比77%増 2,680万台
デジタルスチルカメラ 前年比51%増 960万台
と目立って伸びました。また国内需要台数も
     DVDプレーヤー 前年比159%増 1,060万台
デジタルスチルカメラ 前年比141%増 65万台
と急増しています。
第1図に2000年から2004年までの生産台数の推移をグラフ化しております。2004年に向けてVTR、ビデオCD以外の生産は全て右肩上がりとなっており、中でもDVDプレーヤーは垂直に近い立ち上がりとなっております。生産台数も2004年には殆どが年間1千万台以上の生産規模と予測しています。(VTRとビデオCDはDVDに置き換わる。)

第1図 中国電子機器生産台数推移予測


第2図は2002年の電子機器の国内販売と輸出とのウエイトを表したものです。上から国内ウエイトの高いものを並べました。

既に輸出中心の製品が多くなっていますが、2002年の輸出ウエイトは、     VTRが98.9%
    デジタルスチルカメラが96.2%
    ビデオCDプレーヤーが85.0%
と輸出比率が高くなっております。このほかに、DVDプレーヤー、オーディオ、データプロジェクタ、電子レンジなども輸出の方が国内出荷より多くなっています。そのほか、カラーTV、エアコン、冷蔵庫なども世界市場での中国生産のシェアが高まっており、2002年は既に中国で生産し世界市場へ供給する流れに大きく傾いてきております。

第2図 2002年電子機器輸出ウエイト


これらの電子機器のなかで、北京オリンピックの準備に向けてインフラを含め大きく変わろうとするカラーテレビの状況にスポットを当ててみましょう。

2002年に中国カラーTV業界は近年の低迷を経て、生産量、販売量、輸出量はいずれも最高水準に好転しました。
    生産台数 5,100万台
    国内販売 3,400万台
    輸出台数 1,800万台
を記録し、各メーカーともに近年来最高の業績を実現しまた。

第3図、2002年カラーTV生産台数メーカ別構成のグラフをご覧下さい。年間5100万台の生産がなされましたが、社名をご覧頂くとお分かりのように中国系企業が大半占め、特に長虹の生産と販売は全国でも最大規模となり、全世界最大クラスのプロジェクションTV生産拠点を確立しました。また、一般のカラーTVと液晶TVの生産能力の拡大を図っている最中であり、広東科技園に拠点を完全に確立すれば、こちらも世界最大級メーカーとなります。



第3図 2002年カラーTV生産メーカ別構成

PDPTV、プロジェクションTV、液晶TVという新技術製品は、価格の低下傾向、新製品の充実によって、2002年度はいずれも著く成長しました。製品規格面では、大画面TVの発展が顕著で、技術面では、ハイビジョン、プログレッシブスキャン等の技術が主流でした。
この他、各社共に海外市場の開拓を一貫して進めてきており、2002年にはEUへの輸出ライセンスも再度獲得しました。

巨大な市場潜在力、低コスト、徐々に整備されつつある経済環境によって、外資企業は中国への投資に力を入れてきました。形式としては独資、合弁方式であり、一部R&Dセンターも中国へ移管させてきました。 Sony、Toshiba、GE、Panasonic、Hitachi、Thomson、Sanyo、Sharp、Samsung、LG等、大手外資カラーTVメーカーはいずれも中国内に生産拠点を確立していますが、2002年に入ってから各外資企業はローエンド商品市場より撤退をし、液晶TV、PDPTV、プロダクションTVなどの付加価値の高い製品の経営に重点を置くようになってきております。

中国系企業もすでに中核技術を開発しており、価格競争が更に進展していくという状況下において、2003年はPDPTVやプロダクションTVといった新型製品においても大きな発展を実現させることが可能と思われます。農村部の大画面カラーTV市場とハイエンド製品市場は徐々に大きくなってきており、2003年は国内カラーTV業界は大きな発展が見込まれます。

次に、新製品の研究開発と応用に関して見てみましょう、 現在、世界のカラーTVの先進技術は主に日本と韓国企業に集中しています。そのうちPDP技術は、松下電器、パイオニア、NEC、富士通、SAMSUNG、LGの 6社に集中しています。

中国においてもPDPカラーTVは急速な成長段階にあり、主要メーカーは全てPDPTVの生産を開始していますが、このうち、ディスプレイ、ドライバICなどコア部品は全て上述した6社が提供しており、OEMなどの生産方式を採用しています。

03年、TCLは率先してPDP関連技術の研究開発に成功し、18項目の特許技術を持ち、大部分の部品の国産化を実現し始めました。このため2003年には中国のPDPTVの価格は大幅に引き下げられる可能性が大きいと予測されます。また他のメーカも、2003年には全面的にPDP TV技術の研究開発に取り組んでいくものと思われます。

次世代ディスプレイ技術と言われる有機EL(OLED−Organic Light-Emitting Diodes)については新材料としてAlq3を採用する方向です。この技術の長所は、各々の画素の独立開閉が可能であり自然で鮮明な画像の表示が可能であること、光度が高く自然光であること、170度を超える視角、コントラストが液晶モニターよりも高い、反応速度が液晶の1,000倍、エネルギー消耗が低い、などまた安全性にも優れており、低温下でも安定した使用が可能、軽い、薄い、生産コストが液晶よりも20%低い等たくさんのメリットがあります。しかし、有機ELテレビの最大の欠点は寿命の短さであると言われています。

各社しのぎを削って、課題解決に取り組んでおりますが、パイオニアはすでに一部の製品にこのディスプレイを使用し、三洋と米・イーストマンコダック社は共同で有機ELの試作品を開発した後、鳥取三洋電機と合作して、2003年に有機ELディスプレイメインボードを量産する計画であります。中国でも海爾等も2002年にすでに類似製品を発売しております。

また創維集団と中国華源集団はそれぞれ反射液晶表示(LCOS−Liquid Crystal On Silicon)技術を用いたLCOSプロジェクションTVを発売しました。同テレビの解像度、明るさ、彩色飽和度、反応速度等のスペックは従来の液晶プロジェクションTVより優れていると言われ、また、デジタル信号入力端子とビデオ入力端子(BNC)装備し、デジタルTVとDVD及びパソコンとの接続が可能となっています。
また、2003年3月、彩虹集団は有機EL研究製造のキーポイントであるOLED金属マスクを開発しました。OLED表示技術は現在全世界で最新の技術であり、この研究は世界でもまだ始まったばかりです。特徴は自然光、反応速度が速く、視角が広く、輝度が高く、色彩も豊富、また厚さがLCDの1/3、バックライトがELランプによるものです。携帯電話、自動車、ノート型パソコン、テレビ等にて使用される事が期待されます。

2008年に開催予定されている北京オリンピックに向けて、デジタルテレビ地上放送規格は年内にも公布される予定です。3億世帯のユーザーがアナログTVからデジタルTVに買い換える見込であり、テレビ産業の市場発展を促すことになります。

国家広播電影電視総局が発布した計画によると、2005年にはアナログ受信・中継設備を全面的にデジタル信号受信・中継設備に切り換えるとの事。デジタルTVの推進は4兆元の市場をもたらし、また関連部品及びチップ業界の発展を動かすものとみられています。

中国市場は短期的にみると、2003年はイラク攻撃の影響や、SARSが4月以降目に見えて影響を与え、感染が下火になってきましたが、夏場ぐらいまでは市場が落ち着かないであろうと予測されます。これらの要因を加味しますと、中国で急増している輸出も中国国内市場も2003年は2002年と比べてあまり大きな伸びは期待できないと見るべきでしょう。しかし、長期的には中国は北京オリンピックを控えて国を挙げてインフラを含め、エレクトロニクスを中心とした環境が大きく変わることが予測されます。


※本記事は富士経済グループ各社の独自調査資料を再編集したものです。

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