高機能熱可塑性エラストマー市場:
自動車分野は2002年市場規模53,010t、2008年には67,070tの予測


高機能熱可塑性エラストマー市場は、物質改善に伴い、着実に既存素材からの代替によりダイナミックに変化している市場である。

■ 対象の熱可塑性エラストマー

●スチレンブロックコポリマー
 (SBS、SIS、水添SBC)
●オレフィン系エラストマー
 (非架橋型/架橋型)
●SBCコンパウンド
 (SBS、水添SBC、[非架橋型/架橋型])
●塩ビ系エラストマー
 (TPVC)
●塩素化ポリエチレン系エラストマー(CPE) ●ウレタン系エラストマー(TPU)
●ポリエステル系エラストマー(TPEE) ●ポリアミド系エラストマー(TPAE)
●フッ素系エラストマー ●塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイ
●シリコーン系エラストマー ●シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン
●エステルハロゲン系ポリマーアロイ    


■ 熱可塑性エラストマーの特徴

(1)マテリアルリサイクルに優れている
(2)ゴムと樹脂の中間の特性を有する
(3)ゴムと比較して加硫工程が不要
(4)樹脂と同様の成形性を有する
(5)様々な配合剤と共に使用可能


■ 熱可塑性エラストマーの現状の使用方法

使用方法
熱可塑性エラストマー単独使用 水添SBCコンパウンド、TPV、TPVC、Syn-1,2-BR、TPU、TPEE、TPAE
相異なる樹脂の相溶化剤
としての使用
 
相手樹脂の物性改質(配合剤)
としての使用
SBS、エポキシ化スチレン系エラストマー、水添SBC、CPE、シリコーン系
ベースポリマーとしての使用 SBS、SIS、水添SBC、CPE、Syn-1,2-BR、TPU、TPEE
硬質樹脂との二色形成 水添SBCコンパウンド、TPU、TPV、Alcryn

■ 熱可塑性エラストマーの国内需要推移予測

■ 熱可塑性エラストマー(TPE)トータルの需要推移

●2003年見込み ・・・952億円(対2000年比111.1%)  2008年予測1,118億円(対2000年比130.5%)
TPEは、既存素材からの代替、すなわちゴム並びに樹脂代替で市場が拡大している。TPE市場は一部の品目(ex.SBS、SIS)を除くと高機能・高価格な素材が多い。全般的な市場の動きとしてはTPEの品目の大半で、今後も市場拡大が見込まれる。TPEの機能自体で採用されているというよりも、ゴム代替ならば「加硫工程不要」、樹脂代替ならば「リサイクル」「軽量」「脱PVC」といった点からTPE化が進んでいる。しかし、さほど、市場規模がある訳ではなく、低価格化は起こりにくい傾向にある。そのため、既存素材と比較して高価格であり、TPE化のスピードは遅い。SBCを除いたTPEの中で市場変動が激しく、注目を集めている品目は、環境性に優れた「TPO(TPV)」や「水添SBCコンパウンド(水添TPS)」であり、PVC代替素材として需要が拡大している。これらのTPEの最終用途の多くは、SBCを除くと、シール材や表皮材向けが主体である。

■ 熱可塑性エラストマー(TPE)の種類別需要推移

2001年にIT不況の影響をうけて、減少したTPEもあるが、基本的には上昇傾向にある。従来から市場を形成するSBSが25%以上と最も高い数量ウェイトを占めている。SBSは道路舗装材の高機能化に伴い需要は伸長しており、更に数量は上昇すると考えられる。TPVC、非架橋TPO、TPO、TPVは2000年時点では殆ど同レベルの需要量であった。その後、非PVC化・軽量化・リサイクルなどが進行しTPVや非架橋TPOは上昇傾向にあるが、TPVCは低下傾向で推移している。TPU、TPEE、TPAEは数量ウェイトが上昇しているものの、TPE平均伸長率と比較すると、新規用途開拓が進んでおらず、伸びは鈍化している。

■ 用途分野別のTPE化の現状と将来予測

  2002年実績 2008年(予測)




自動車分野
53,010t
67,070t
工業分野
88,540t
111,860t
雑貨分野
44,050t
52,720t
樹脂改質分野
37,750t
41,490t


「自動車」「工業(非自動車)」「雑貨」「樹脂改質」のうち、TPEは「自動車」「工業(非自動車)」「雑貨」用途では、「シール材」「各製品の表皮材」「靴底材料」として主に使用されている。特にシール材に関しては各分野に亘って様々な用途で需要がある。以下、上記の4分野ごとにTPE化の動向分析結果を記す。

●自動車分野 ・・・2002年市場規模 53,010t  2008年市場規模予測 67,070t
自動車分野で現在TPE化が進んでいる用途はPVC代替の「内装表皮材」とCR代替の「ブーツ類」である。需要拡大が見込める有望なTPEはTPO(TPV)とTPEEである。自動車メーカー各社は軽量化や脱PVC化を推進する代替素材の1つとしてTPO化を進めるため更なる需要が見込める。
今後本格的な需要が見込まれる用途としてはシール材(ウェザーストリップ)といったものである。

●工業分野 ・・・2002年市場規模 88,540t 2008年市場規模予測 111,860t
工業分野に関してはTPEでは物性面に限界がある事から、アスファルト改質向けのSBSを除いては、顕著なTPE化は見られなかった。この分野のTPE化の特徴としては、ある特定の条件に限定した使われ方が多く、既に既存素材と棲み分けがなされている場合が多い。そのような中で、建築用や家電用のガスケット・パッキンではPVC代替でTPE化の検討や採用が徐々に進んでいる。今後は、医療用チューブでPVC代替によるTPE化が進行する事が予想される。

●雑貨分野 ・・・2002年市場規模 44,050t 2008年市場規模予測 52,720t
雑貨関係は低価格の消費財が多く、高価な素材であるTPEの採用ウェイトが低い分野である。スポーツ用品などでは、一部のハイエンドユーザーに需要が限定されているのが現状である。しかし、ユーザーによっては環境配慮や商品及び企業イメージの向上を狙って、玩具・グリップ・シューズ類で徐々にTPE化が進む傾向にある。雑貨分野は1個あたりのTPE使用量は微々たるものであるが、裾野が広く潜在ユーザーも多い事から、今後もグリップや玩具類を中心に徐々にTPE化が進むと予想される。

●樹脂改質分野 ・・・2002年市場規模 37,750t 2008年市場規模予測 41,490t
樹脂改質分野のTPEは相手樹脂や最終用途の市況に左右される。特に用途が事実上限定されているSBS、CPE、Syn-1,2-BRでは国内市場が成熟しており、今後も横ばい若しくは縮小で推移する可能性が高い。

■ 参入企業のグローバル展開

TPEの場合、SBCを除いては市場規模が世界トータルでも10万トン以下の品目が多い。日本、アメリカ、ヨーロッパ、アジアとグローバルに事業展開を行っているメーカーは資金力のある一部の大手メーカーに限定されている。参入メーカーの大半は本国、及び周辺地域の展開が主体となっている。 TPEは近年世界的に市場規模が拡大傾向にある為、参入メーカーによるグローバル展開が活発化している。そのため、近年では、販売面のみならず、生産面でも生産設備の能力増強や海外での新設が顕著である。特に、SBS水添SBC、TPV、TPUは、成長性が高く参入メーカー数も多いことから、メーカー間の競争が激化する方向にある。しばらくは、日本、アメリカ、ヨーロッパ市場での需要が牽引してTPE市場は拡大する傾向にある。しかし、日本、アメリカ、ヨーロッパでTPE化が進んだ後は、製造拠点が増加している中国を主体としたアジアへの事業展開が本格化すると予想される。

参考資料:「2003年 高機能熱可塑性エラストマー&コンパウンドの用途展開とグローバル戦略」
※本記事は富士経済グループ各社の独自調査資料を再編集したものです。

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