大型二次電池市場:
ハイブリッド自動車の普及とともに急拡大する大型二次電池市場

1990年代に開発・商用化されたニッケル水素電池及びリチウムイオン電池に代表される二次電池は、携帯電話やノートパソコン等の携帯型電子機器の普及に伴い、急速に市場を拡大させてきました。現在、このような新型二次電池を中心に大容量化・長寿命化の研究が進められ、大型二次電池の商用化が始まりつつあります。

大型二次電池の普及が想定されるマーケットは、自動車分野、農業・建設機械分野、産業機械分野、二輪・電車等の移動体機器分野、エネルギー分野と計り知れないマーケットポテンシャルを保有しています。

また、1990年代後半に商用化段階に達した燃料電池は、コージェネレーション、自動車用電源、携帯電子機器用電源等の多様な市場展開が想定され、大型二次電池と同様に多くの企業・研究団体が開発に参画しています。

大型電池及び燃料電池は、100年以上に亘って普及している内燃機関の代替システムとして普及が期待されており、「環境保全」「国内産業の強化」等、技術立国として非常に大きなインパクトを持つ市場であります。

ここでは、自動車を基軸として今後、市場拡大が期待される大型二次電池の市場展望をしてみましょう。

まず、第1図をご覧下さい。このグラフは大型二次電池応用自動車の販売台数予測即ち、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車が長期的視野で見て今後どのような販売推移を辿るのかを予測したものです。

第1図 大型二次電池搭載自動車の販売台数予測

■ 現状(〜2003年)
ハイブリッド自動車(普通車)は、97年のプリウスの販売に伴い市場が形成されました。97年度以降、販売車種の増加により堅調に市場を拡大しています。トヨタのハイブリッド車は市場の牽引役として累計販売台数12万台に達しています。03年度は、プリウスのモデルチェンジ等、市場拡大傾向にあり、03年度の販売見込台数は5万台弱と推定されています。
また、02年度には、トヨタ及びホンダから世界初の燃料電池普通車がリース販売されました。現状では、実証実験的な要素が高く、普及段階には達していません。大型車両分野では、都バスで試験運用されている燃料電池バスが03年度に1台リース販売されています。

電池の分野では、現状パナソニックEVエナジーが販売するニッケル水素電池が主流であり、ハイブリッド普通車市場では90%以上のシェアを保有しています。リチウムイオン電池やキャパシタ等も有力デバイスと挙げられていますが、低コスト化が課題であり、普及段階にはまだ達していません。 また、鉛電池はコスト性が評価され、軽自動車分野や小型電気自動車分野で、根強い需要を有しています。

■ 2004〜2005年
04〜05年度にかけては、ハイブリッド車市場が緩やかに拡大すると推定されます。同市場のトップシェアを誇るトヨタでは、05年度ハイブリッドの販売台数を30万台と目標を設定しています。
大型車両では、05年度より「排出ガス新長期規制」が設定され、同分野への追い風となることが予想されます。電気自動車市場では、チョロQ型電気自動車(タカラ)等の試みもあり、1,000台程度の市場にて推移するものと推定されます。

燃料電池車に関しては、製品レベル・燃料インフラ等の課題点が多く、実証試験の枠を越えることは困難と予想さえ、現状に比べ市場は拡大傾向にあるものの、大幅な伸びはまだ期待できません。

電池分野では04〜05年の段階で、ハイブリッド分野にてリチウムイオン電池の市場投入が予想されます。性能特性はニッケル水素に比べ優れているものの、経済性・信頼性が十分なレベルに達することは難しく、現状に引続きニッケル水素電池が市場の中心であると予想されます。

大型車分野では、キャパシタの採用が過半数程度を占めると予想され、低コスト化への期待がかかります。

■ 2005〜2008年
05〜08年度にかけて、ハイブリッド車市場は、本格普及段階に達し大幅な市場拡大が進むことが予想されます。05年度では10数万台程度ですが、08年度には50万台に達するものと推定されます。

この段階では、主要企業であるトヨタ・ホンダ・日産の3社にてハイブリッドシステム採用車種の増加が予想され、購入者層が大幅に広がると想定されます。

大型車に関しては、「排出ガス新長期規制」により継続生産車においても、07年度にて規制対象車となるため、ハイブリッド車のラインナップ増加要因となるでしょう。

一方、燃料電池車においては、企業・環境庁等にて、需要増加が期待されるものの、一般ユーザーへの販売はまだ限定的であると推定されます。

電池分野では05〜10年度には、リチウムイオン電池の低コスト化・信頼性向上が予想され、ニッケル水素電池のシェアを奪う形で普及拡大するでしょう。あわせてハイブリッド車市場の大幅拡大に伴い、二次電池市場の市場競争激化が想定され、電池単価の低減化が進展するものと予想されます。

また、キャパシタ市場においては、ハイブリッド大型車両の他に、燃料電池車への搭載も進展も見込まれます。

■ 2010年以降
2010年度以降には、リチウムイオン及びキャパシタが主要システムとなる一方、ニッケル水素市場は、減退するものと推定されます。また、リチウムイオン・キャパシタも市場拡大時期から成熟市場への移行段階となります。

また、2015年以降には、プロトンポリマ等の上記電池に変わる新型二次電池の商用化も予想されます。但し、この段階では、リチウムイオン電池やニッケル水素電池に比べ、市場規模は極めて小さく、現状の二次電池市場に与える影響はまだ限定的であるでしょう。

以上、自動車の動向から二次電池の市場を見てまいりましたが、それを電気2重層キャパシタも含めた二次電池マーケットに置き換えトレンドをイメージ化したものが、第2図です。既に携帯電話やノートパソコンに主に使われている小型のリチウムイオンや小型のニッケル水素電池も含めてグラフ化しております。

現状では、携帯電話等に採用されている小容量向けリチウムイオン電池の市場が最大であるが、2010年度以降のマーケットでは、小型電子機器用バッテリー等小容量分野から、自動車用途等の大容量分野が市場を席捲する見通しです。

特に2005〜2010年にかけては、ハイブリッド車の本格市場拡大や電力負荷平準化システムの低コスト化が予想され、二次電池市場の大きな変化の波が予想されます。現状の大型二次電池市場は、形成初期段階にあり、マーケット戦略を検討するうえで、極めて重要な段階にあると言えます。

第2図 2次電池のマーケットトレンド

また、自動車分野以外の用途においても、環境対応策として、汎用エンジン代替や脱鉛電池化の流れにあり、大型二次電池への期待は大きく、電力貯蔵分野においても、NAS電池・レドックスフロー電池等の大型電池が商用化初期段階にあり、自家発電設備との競合、電源高品質化システムとして新たな市場が期待されています。

※本記事は富士経済グループ各社の独自調査資料を再編集したものです。

マーケット情報TOPへ


戻る