光導波路の研究開発とポリマー材料


 光導波路とは、電気回路中を電子が流れるように、基板上に形成した回路に屈折率の違いなどを利用して光信号を導くことができるようにした光の配線板である。原理的には光ファイバと同じである。光ファイバが繊維状であるのに対し、光導波路は平面構造になっている。
 光導波路の研究開発において、最も高速・大容量化に適したFTTHを普及させるためには、現在使用されている石英、シリコンから、更に低コスト化が可能なポリマーへの切り替えが重要となっている。

■ ポリマー光導波路の注目要因

 通信波長帯における光導波路は、石英ガラス光導波路が実用化され、FTTHを構築する上で欠かせないデバイスとして使用されている。ポリマー光導波路はFTTHの普及において、低価格化を実現する部品として注目されている。

■ 世界中で行われているポリマー光導波路の研究開発

 日本では通信波長の使用を想定した、ポリマー光導波路の研究開発が展開されている。参入企業は、日立化成工業、三菱ガス化学、オムロン、豊田中央研究所、NTT-AT等が挙げられる。
 米国では、ベンチャー企業が通信波長を使用した高速光スイッチ機能を有する光導波路、フッ素高分子を用いた低損失光導波路の開発を進めている。
 欧州ではドイツを中心に、産学官連携による車載用光導波路や通信波長帯光導波路が開発されている。
 アジアでは韓国のベンチャー企業や電気通信研究所において、種々なポリマー光導波路の研究開発が行われている。

■ 光導波路の材料特性

 光導波路の材料には、石英ガラスや半導体材料等の無機材料が知られている。
 一方、ポリマーで光導波路を製造する場合、成膜工程において、塗布及び加熱処理を大気圧中で行うことができるため、装置及び製造工程を簡素化できるという利点がある。
 光導波路に求められる材料特性は、光透明性が最も重要な物性である。可視域で使用されるポリマー光導波路材料としては、PMMA(ポリメチルメタクリレート)が一般的である。
 但し、通信波長が1.3又は1.55µmの波長帯でPMMAを使用する場合、透明性を確保するためには、重水素化やフッ素化が必要である。

■ 光導波路用ポリマー材料の種類

 光導波路(コア及びクラッド)を作成するポリマーは、PMMA以外には種々な材料が知られている。例えば、ポリイミド系樹脂(ポリイミド樹脂、ポリ(イミド・イソインドロキナゾリンジオンイミド)樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエステルイミド樹脂等)、シリコーン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリキノリン系樹脂、ポリキノキサリン系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリベンゾチアゾール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、等が挙げられる。

■ ポリイミドの優位性

 光導波路のポリマー材料は、ガラス転移温度(Tg)が高く、耐熱性に優れるポリイミド系樹脂が特に期待されている。
 光導波路のコア層及びクラッド層をポリイミドで形成した場合、長期信頼性が期待でき、半田付けにも耐えることができる。
 特にフッ素を含むポリイミド系樹脂は、フッ素を含まないものに比べ、光の透過性が高く、屈折率が低いなどの特徴があるために、光学素子としての適性がある。
 光導波路のクラッド及びコアの材料としては、フッ素を含むポリイミド系樹脂が好まし く、例えば、フッ素を有するポリイミド樹脂、フッ素を有するポリ(イミド・イソインドロキナゾリンジオンイミド)樹脂、フッ素を有するポリエーテルイミド樹脂、フッ素を有するポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。

■ ポリイミドの競合ポリマー材料

 オムロンが研究開発している重水素化PMMAは、実用化において一歩先行している。(重水素化PMMAは、PMMAの炭素-水素結合の水素原子を重水素で置換することによって、光損失の低減が施されている。)オムロンは2003年に「スピカ技術」を活用してポリマー導波路光スイッチを発表した。

■ 市場規模と主な用途

 2002年の光導波路用ポリマー市場(世界市場ベース)は、300kg(前年比25%減)、3億円(同25%減)である。主な用途は光導波路デバイスメーカーの研究開発・試験評価用の需要がメインである。
 光伝送装置市場のような大幅減少のトレンドにはなっていないが、2001年以降の同ポリマー市場は減少傾向にある。
 2005年頃までは同ポリマーユーザーの研究開発期間となっており、2006年以降に商用ベースにのるものと予測されている。

■ 研究課題

 パソコン等の情報端末やインターネットの普及に伴い、情報伝送需要が急激に増大している。そのため、伝送速度の速い光伝送をパソコンをはじめ、末端の情報処理装置まで普及させることが望まれている。
 ポリマー光導波路は、光の分岐・結合・選択及び、光の振幅・位相・波長を活用したデバイスの開発が検討されている。
 パッシブ型ポリマー光導波路では、特に、高い透明性を有するポリマー材料が求められている。

参考資料 :「2003 光産業予測便覧」(2003年9月5日:富士キメラ総研)
  :特許情報等
※本記事は富士経済グループ各社の独自調査により編集したものです。

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