PPSフィルムの市場動向 2004年版

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2004年
プラスチックフィルム・シート市場
2004年 プラスチックフィルムの市場概要(総論)
[エンプラフィルム]
PETフィルム
PENフィルム
α-POフィルム
PCフィルム
[スーパー
エンプラフィルム]
PIフィルム
PPSフィルム
LCPフィルム
アラミドフィルム
[プラスチックシート]
PCシート
フッ素樹脂フィルム/シート
PPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルムは、耐熱性についてはPETフィルムとPIフィルムとの中間に位置しており、電気特性、耐薬品性、難燃性などに優れたスーパーエンプラフィルムである。

従来まで、PIフィルムと競合関係があり、電子部品用途では、耐熱温度(PPSフィルムは160、PIフィルムは200)とコスト面から使い分けられてきた。

高耐熱性が求められるFPC、COF用途では、近年PIフィルムが使用されているのに対して、離型シート等の工業用途では、PPSフィルムが使用される等、一部棲み分けが進んでいる。

PPS樹脂は耐熱性、耐薬品性、寸法安定性、高温時の機械的強度に優れた結晶性樹脂である。

■用途動向

用途名 販売量ウェイト(%) 具体的用途例
電気絶縁用途 45 モーター・トランス用電気絶縁、リチウムイオン2次電池用絶縁
工業用途 40 離型テープ、粘着テープ、等
コンデンサ用途 15 チップ形フィルムコンデンサ、高耐熱用、高周波用
出所:富士キメラ総研

PPSフィルムは耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、機械物性等の点で極めて優れた性能を有しており、電気絶縁材料、離型材料などの用途に用いられている。また高周波領域で誘電特性の安定性などから、コンデンサの誘電体に採用されている。

特に、フィルムコンデンサの誘電体はPPS以外に、PET、PET+PP、PP、PEN等のフィルムが使用されている。

メタライズドPPSフィルムチップコンデンサは、使用温度帯が-40〜125であり、また高耐熱で、高周波特性が優れているので、液晶TV、カーナビゲーションシステム等のバックライトや、インバータ電源回路(50Hz〜100kHz)、高周波回路(共振用)等に使用されている。

PPSフィルムは、化学的安定性が良好であることから、固体高分子型燃料電池の高分子電解質膜に使用されている。


■国内市場規模推移(2002〜2007年)と世界の地域別販売量(2003年)

●市場規模推移及び予測 (単位:t、%)
  2002年 2003年 2004年
見込
2005年
予測
2006年
予測
2007年
予測
販売数量 210 240 280 300 310 330
前年比 - 114.3 116.7 107.1 103.3 106.5
出所:富士キメラ総研
2003年は240tの実績があり、2007年に330tに拡大(2003年比1.38倍)すると予測している。

金額ベースでは、2003年は約25億円の実績があり、2007年には32億円に拡大すると予測している。


●世界の地域別販売量(2003年)
国・エリア 販売量ウェイト(%)
日   本 44
その他(欧米、アジア) 56
合 計 100
出所:富士キメラ総研

2003年の世界販売量は540tである。


■研究開発・技術動向

企業名 PPSフィルム
応用製品
新製品・技術概要
松下電器産業 「チップ形積層フィルムコンデンサ」 【製品の特徴:ECHU(X)タイプの場合】
最小形状(L×W)は1.6mm×0.8mm、使用温度範囲は
-55〜125、チップ形コンデンサの構造は、誘電体にメタライズドPPSフィルムを用い、これを積層して製造されている。

【主な用途】
時定数回路、フィルター回路、発振回路

カネカ 「燃料電池用高分子電解質膜」 【技術の特徴】
PPSフィルムには優れた化学的安定性があり、固体高分子型燃料電池の高分子電解質膜として使用することを提案している。
燃料電池の高分子電解質膜は、高いプロトン伝導性、機械的特性、メタノール遮断性が求められる。
カネカは、結晶化度が25%以上のPPSフィルムをスルホン化して、燃料電池(固体高分子型及び直接メタノール型)用の高分子電解質膜を開発した。


■参入企業とメーカーシェア (2003年)

メーカー名 販売量シェア(%)
東レ 100
合 計 100
出所:富士キメラ総研

PPSフィルム市場は東レ1社のみの参入である。東レの「トレリナ」(PPSフィルムのブランド)は、1988(昭和63)年から本格生産を開始している。PPSフィルムの基本特許は同社が持っている。

米国フィリップ社と提携し、二軸延伸PPSフィルムを開発した。PPS樹脂の生産からフィルム加工まで一貫して東レが対応している。


■今後の動向

PPSフィルムの需要分野は、電子部品、電気絶縁材料等のエレクトロニクス業界と工業製品・産業機器の業界が主体となっており、2004年以降も成長が予測される。

新規参入企業は見られず、今後の市場動向は東レの製品開発力及び販売展開に帰するところが大きい。

当該市場が縮小するマイナス要因としては、FPC、COF分野においてPPS からPIフィルムへの需要シフトが挙げられる。

参考文献:「2004年 プラスチックフィルム・シートの現状と将来展望」」
(2004年6月4日:富士キメラ総研)


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