アラミドフィルムの市場動向 2004年版

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2004年
プラスチックフィルム・シート市場
2004年 プラスチックフィルムの市場概要(総論)
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アラミドフィルム
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PCシート
フッ素樹脂フィルム/シート
アラミドフィルムは樹脂原料、生産技術等、日本国内で開発されたスーパーエンプラ製品である。

「アラミド」は、全芳香族ポリアミドの総称であり、これはパラ系とメタ系に分類される。

東レのアラミドフィルム「ミクトロン」は、高剛性(ヤング率、強度に優れる)、高耐熱性(熱収縮が小さく、長期耐熱に優れる)、低吸湿性(湿度膨張係数が低い)を特徴とし、高容量バックアップメモリー用途に適した物性を持っている。

帝人アドバンストフィルムのアラミドフィルム「アラミカ」は、一方向に極端に配向(整列)しやすい液晶溶液を原料として、溶液製膜技術によって縦横にバランスよく配向したフィルムである。大きなヤング率を持ち、約355という高いガラス転移点、有機素材として最も低い熱膨張係数を併せ持っている。

■用途動向

用途名 販売量
ウェイト(%)
具体的用途例
磁気テープ用 84 DDS(デジタルデータストレージ)向けデータ保存用磁気テープ
工業用途 16 離型フィルム、粘着テープ、絶縁材料、複合材料
出所:富士キメラ総研

アラミドフィルムの需要分野は、磁気テープ用途が中心である。

磁気テープの高記録容量化のために、磁気特性の向上、カセット当たりのテープ長さの増大等の改良が進められてきた。テープ長さの改良において、ベースフィルムの厚みを薄くできる利点から、高強度、高弾性率のアラミドフィルムが採用されている。

例えば、日立マクセルの「データテープカートリッジ(DATテープ)」は、ベースフィルムにアラミドフィルムを採用し、高剛性、安定した記録再生特性、長期保存におけるデータの信頼性を実現している。(テープの厚さが5.3μm、テープ長が170m、1巻き当たりの記憶容量は、非圧縮時で36GBである。)

磁気テープ用途は東レ、工業用途は帝人アドバンストフィルムがアラミドフィルムを主に供給している。


■国内市場規模推移(2002〜2007年)と世界の地域別販売量(2003年)

●市場規模推移及び予測 (単位:t、%)
  2002年 2003年 2004年
見込
2005年
予測
2006年
予測
2007年
予測
販売数量 390 430 440 450 470 470
前年比 110.3 102.3 102.3 104.4 100.0
出所:富士キメラ総研
2003年は430tの実績があり、2007年には470tに拡大すると予測されている。

金額ベースでは、2003年は約270億円の実績があり、2007年は290億円と推定している。

東レと帝人アドバンストフィルムが、世界の2大アラミドフィルムメーカーである。

アラミドフィルムを使用して、複合材料等の開発を手がけている企業もあり、アラミドフィルムの用途開発が今後、当該市場を拡大していくと考えられる。


●世界の地域別販売量(2003年)
国・エリア 販売量ウェイト(%)
日 本 70
中国・東南アジア、他 30
合 計 100
出所:富士キメラ総研

2003年における世界の販売量は610tである。

販売エリアのメインは日本国内である。海外の販売量は、中国、東南アジア市場が中心であり、欧米の需要は極めて少ない状況にある。


■研究開発・技術動向

企業名 技術 製品・技術概要
ソニー 応用製品
「高密度記録型
磁気テープ」
ソニーは、アラミドフィルムを用い、電磁変換特性、長期保存性、走行耐久性、保存安定性に優れた磁気テープを開発している。非磁性支持体上に、スパッタ法でコバルト含有マグヘマイト薄膜の磁性層が製作されている。

【非磁性支持体の特徴】
非磁性支持体は、耐熱性が高く長尺状のアラミドフィルムが採用され、その厚さは3〜10μm、磁性層形成面の十点平均粗さが5〜30nm、25〜300の温度範囲で熱収縮率が1%以下である。磁性層は、膜厚が10〜50nm、表面の中心面平均粗さが0.1〜3.0nm、保磁力Hcが2000〜4000 Oe(158〜316kA/m)の性能を有している。
東レ 応用製品
「高性能・ハイバリア性の複合膜」
【技術の特徴】
アラミドフィルムを用い、軽量・高強度で、低温域から高温域までの耐熱性を有し、かつガスバリア性に優れ、長期間の使用に耐える複合膜を開発している。

【複合膜の用途】
この複合膜は、大型飛行船または気球等の宇宙・航空機器の外皮膜として製作し、成層圏等に打上げて使用することが可能である。2層以上の繊維布帛(ふはく)で、ガスバリア性フィルムを挟み込むことによって、複合膜の破損が防止できる。

■参入企業とメーカーシェア (2003年)

メーカー名 販売量シェア(%)
東レ 88
帝人アドバンストフィルム 12
合 計 100
出所:富士キメラ総研

東レがアミドフィルムの先発企業である。1992年にソニーが発売した切手サイズのデジタルマイクロテープのベースフィルムにアラミドフィルム「ミクトロン」(パラ系芳香族ポリアミドフィルム)が採用された。これを機に東レがアミドフィルム事業を開始している。

帝人と旭化成は、2003年4月にアラミドフィルム事業を行う合弁会社「帝人アドバンストフィルム」を設立。(旭化成は1999年からアラミドフィルムの用途開拓を進めてきたが、帝人が持つアラミドの原料・繊維・不織布などの事業ノウハウと、PETフィルムの市場展開力を背景として合弁会社を設立した。)


■今後の動向

磁気テープ以外には、絶縁材料(ハイブリットカー等の自動車分野)等における需要増が期待されている。

当該フィルムの特性(高剛性、耐熱性等)を活かした応用先の市場開拓が注目される。

参考文献:「2004年 プラスチックフィルム・シートの現状と将来展望」」
(2004年6月4日:富士キメラ総研)


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