樹脂系建材/ポリカーボネート(PC)板の市場動向

建材用ポリカーボネート(PC)板は、耐衝撃性に優れ(強化ガラスの150倍以上)、一般に0.5mm以上の厚みを持つ製品である。用途はカーポート、アーケード、スカイドーム等の屋根材等が主体で、他には、道路用途にも使用され、環境・安全性の面からPMMA、PVCの代替によりここ数年需要を伸ばしている。

■建材分野における高分子材料の市場概要

PC樹脂は、ビスフェノールAとホスゲンを原料として、縮合重合によって生産される樹脂である。強靱で透明性、耐熱性、寸法安定性、難燃性等に優れ、特に衝撃強度は熱可塑性樹脂の中ではハイグレードの値を示す。反面、耐化学薬品性、耐ストレスクラッキング特性が劣っている。
PC板は、透明性が良好で、耐衝撃性、耐熱・耐寒性、寸法安定性、加工性、自己消火性が優れていることから、建材分野では主に採光材料、大面積の屋根に使用されている。
ここでは、建材用ポリカーボネート板(平板と波板)を調査対象としてレポートした。

■用途動向(2003年)

平板と波板を合計したポリカーボネート板の販売量
用途名 販売量
ウェイト(%)
具体的用途例
屋根材 87 公共施設等の屋根、バルコニー、カーポート、アーケード
壁材 8 トンネル内装材、道路透光板、遮音板
その他 5 その他の採光板、等
出所:富士キメラ総研
PC板の需要先は、公共施設等の建築分野がメインであり、他には、道路・トンネル等の土木資材用途が挙げられる。
その他、三菱エンジニアリングプラスチックスのユーピロン・サンガード「波板 施設園芸用」タイプ(厚さ0.7mm、幅910〜1,050†、長さ5m)は、透光性、耐衝撃性、耐候性が優れており、栽培センター、園芸ハウスの妻面、窓、出入口に適している。

■国内市場規模推移(2003〜2007年)

平板と波板を合計したポリカーボネート板の販売量 (単位:t、%)
  2003年 2004年
見込
2005年
予測
2006年
予測
2007年
予測
販売数量 41,700 43,800 46,800 47,700 48,300
前年比 105.0 106.8 101.9 101.3
出所:富士キメラ総研
<ポリカーボネート平板>
2003年の平板販売量(樹脂使用量換算)は2.6万t、販売金額は324億円である。
平板市場はバス停シェルター、小中学校の屋内プールの屋根材、トンネル出入り口付近の壁材等、多様な領域で使用されており、2004〜2005年は堅調な伸びが期待される。
2005年に開催の愛知万博、中部国際空港の開港等が控えており、大型受注が期待される。

<ポリカーボネート波板>
2003年の波板販売量(樹脂使用量換算)は約1.6万t、販売金額は130億円である。
波板は取り扱い施工が容易であり、温室、農業施設への使用比率が高い。
波板市場は新規用途が見当たらないこともあり、今後ほぼ横這い推移の状況にある。

■製品開発動向

企業名 新製品 製品・技術概要
タキロン 防汚耐候透明板
「クリーンカーボ」
を製品化
同社は、PC樹脂板に酸化チタン光触媒表面処理を施した、防汚耐候透明板「クリーンカーボ」を開発し、2004年11月より販売を開始した。

従来、酸化チタン光触媒表面処理は、ガラス、タイル等の無機系材料への適用が中心で、プラスチック等の有機系材料では、基材自体の物性への影響や光触媒機能の持続性の問題等で、実用化が困難であった。

同社は、PC樹脂板が持つ耐熱性、耐衝撃性、透明性を活かしつつ、光触媒機能を発現させることに成功した。また、その耐候性は通常の屋外使用の場合、10年間に相当する。(サンシャインウェザオメーターによる耐候促進試験では、約4000時間を保有している。)

【クリーンカーボの用途】
清掃の難しい渡り廊下やバス停の屋根、歩道橋の腰板等の建築・景観用途、屋外使用の特殊車両部材等の産業用途。


■参入企業とメーカーシェア(2003年)

ポリカーボネート平板
メーカー名 販売量ウェイト(%)
三菱エンジニアリングプラスチックス 23
タキロン 22
筒中プラスチック工業 18
三菱樹脂 15
その他 22
合 計 100
出所:富士キメラ総研
三菱エンジニアリングプラスチックスは、PC板の総合メーカーとして機能付与型高付加価値製品の展開を図っており、熱線吸収グレード、防犯用合わせガラス向けPC板等を投入している。


ポリカーボネート波板
メーカー名 販売量ウェイト(%)
タキロン 24
大日本プラスチックス 23
筒中プラスチック工業 17
三菱エンジニアリングプラスチックス 10
その他 26
合 計 100
出所:富士キメラ総研
上位3社で、ポリカーボネート波板市場の64%を占めている。
参入メーカー上位2社のシェアは、僅差で市場を分け合っている。
その他の企業には、日本ポリエステル等が挙げられる。

■今後の動向

PMMA、PVCからの代替が進み、耐熱性、耐衝撃性に優れたPC板の需要が増加している。タキロンは高速道路用大型透光板の生産能力を拡充するため、PC板製造設備の増設を行っている。
今後は、既存の用途に加え熱線吸収用(夏場は、大型商業・公共施設において赤外線カットニーズが強い)PC板等、新たな機能を持った製品の需要増が見込まれている。

参考資料:「2004年 プラスチック建材の現状と将来展望」
(2004年1月23日:富士キメラ総研)


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