液晶ディスプレイ用位相差フィルムの市場動向

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位相差フィルムは、液晶ディスプレイの光学補償用に用いられる材料であり、複屈折性による光学的な歪みや視角方向による変調が原因で起こる表示の着色等、視角依存性の発生を防止する目的で利用される。

■液晶ディスプレイ用位相差フィルムにおける高分子部品・材料の概要

位相差フィルムは、延伸等により透明フィルムに所定の歪みを付与したものであり、PC樹脂、シクロオレフィン樹脂、LCP等の材料が利用されている。

位相差フィルムの用途は、STN−LCDの無彩色化やTFT−LCDの視野角補償用、反射型TFT-LCDのλ/4板等に使用され、STN用には1軸延伸品、TFT用には2軸延伸品が主に用いられている。

■用途動向(2002年世界需要ベース)

用途名 販売量ウェイト(%) 具体的用途例
高コントラスト用 29 携帯電話、PDA、ゲーム機他
STNカラー用 25 携帯電話、PDA、パチンコ他
白黒表示用 24 携帯電話、PDA他
高視野角用 22 液晶テレビ、デスクトップPC用モニタ、ノートパソコン他
合 計 100  
出所:富士キメラ総研

位相差フィルムは、STN-LCD用を中心に利用されてきたが、近年、TFT-LCDへ需要が移行している。

特に、ノートパソコン用途はTFT-LCDの採用が多く、STN-LCDの需要先は、携帯電話、PDAが中心である。

将来的には、PDA、携帯電話用LCDにおいて、STN-LCDへの使用量減少が予想されるため、位相差フィルムの利用は、反射型カラーLCDやTFT-LCDが中心になると見ている。

■世界市場規模推移(2002〜2006年)

●市場規模推移及び予測 世界需要ベース (単位:千m2、%)
  2002年 2003年
見込
2004年
予測
2005年
予測
2006年
予測
販売数量 8,500 9,300 10,000 111,000 118,000
前年比 109.4 107.5 111.0 106.3
出所:富士キメラ総研

2002年の位相差フィルム市場は850万m2(125億円)であり、2006年には159億円に拡大すると推定している。近年、STNからTFT方式の分野に需要がシフトしている中、位相差フィルムはSTN-LCD分野で主な市場を形成しており、今後も安定成長が見込まれている。

また、TFT-LCDの高視野角タイプの製品で、位相差フィルムの採用が期待されている。

■採用素材動向(2002年世界需要ベース)

構成部材名 使用樹脂 使用量(t) 構成比(%) 採用理由
基材 PC樹脂  55 68.7 光学特性(光学異方性他)
シクロオレフィン樹脂他 15 18.8 光学特性、面内均一性、寸法安定性他
LCP 10 12.5 光学特性、配勾性
合 計 80 100.0  
出所:富士キメラ総研

位相差フィルムの基材にはPC樹脂が主に使用され、ポリカーボネートの1軸延伸フィルム(STN用)又は2軸延伸フィルム(TFT用)が用いられてきた。

近年、LCPやシクロオレフィン樹脂製の位相差フィルムの登場により、PC樹脂から新材料へのシフトが進んでいる。

■研究開発・技術動向

企業名 技術開発 製品・技術概要
日東電工 位相差層の配向が制御され、安価な位相差フィルムを開発 同社は、位相差層の配向方向が高精度に制御され、製造コストが低い位相差フィルムを開発した。
位相差フィルムの製造工程では、配向膜、配向基板、接着剤等を使用せず、光学的異方性層上に位相差層を形成できるため、材料コストの低減が可能である。さらには、配向膜や接着剤等が無い分、位相差フィルムの光学的機能の向上、薄型化が図れる。
また、配向膜の形成工程や位相差層の転写工程が不必要なので、その分製造工程数が少なく、製造効率の向上並びにコスト低減につながる。

位相差フィルムの製作は、まず、透明基材の上に光学的異方性層が積層された基材付異方性層を用意する。次に、光学的異方性層上に、偏光紫外線光に反応するポリマーと液晶性化合物を含む溶液を塗工して乾燥させる。その後、偏光紫外線光を照射して液晶性化合物を配向させる。必要に応じて非偏光紫外線光を照射して、液晶性化合物を架橋させることにより、光学的異方性層上に位相差層が直接形成された位相差フィルムを成形することができる。

■参入企業とメーカーシェア(2002年世界需要ベース)

メーカー名 販売量ウェイト(%)
日東電工 34
ポラテクノ 31
住友化学 14
新日本石油 13
その他 8
合 計 100
出所:富士キメラ総研

位相差フィルムメーカーは、偏光フィルムと複合化した楕円偏光フィルムとして取り扱われるケースが多く、偏光フィルムの大手企業が上位を占めている。

上位2社(日東電工、ポラテクノ)で65%を占め、住友化学、新日本石油が続いている。4位の新日本石油は、液晶ポリマー(LCP)を利用した位相差フィルム事業を展開している。

■今後の動向

位相差フィルムは、主にSTN-LCD用途で使用されているが、将来的には情報量の拡大、画像・動画情報の増加等によって、高精度ディスプレイ(TFT-LCD)への代替が見込まれている。

TFT-LCDは視野角向上用途で市場開拓が期待されているが、今後、STN-LCDの需要を上回るほどの需要獲得は難しいと見ている。

参考文献:「2003年 エレクトロニクス高分子材料の現状と将来展望」
(2003年8月21日:富士キメラ総研)


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