液晶配向膜の市場動向

マーケット情報TOP
エレクトロニクス高分子市場(素材別)
エレクトロニクス高分子市場(総論)
[PC]
液晶バックライト用導光板
液晶ディスプレイ用位相差フィルム
携帯電話用プラスチックレンズ
[PI]
液晶ディスプレイ用カラーフィルタ
FPC用フィルム
パッシベーション膜
液晶配向膜
[PET]
ドライフィルムレジスト(DFR)
液晶ディスプレイ用プリズムシート
エンボスキャリアテープ
反射防止(AR/LR)フィルム
液晶ディスプレイ用拡散フィルム
透明導電性フィルム
バックグラインド(BG)テープ
ダイシング(DC)テープ
液晶ディスプレイ用反射フィルム
[PVDF]
リチウムイオンポリマー電池
リチウムイオン電池用セパレータ
[フッ素]
プラスチック光ファイバー
液晶配向膜は、液晶分子を一定方向に配列するため使用され、ガラス基板表面にスピンコート法で製膜し、その塗膜を配向処理することによって得られる。

■液晶配向膜における高分子部品・材料の特徴

液晶ディスプレイの配向プロセスでは、ガラス基板上に有機分子膜(ポリイミド)を塗布した後、ラビング(Rubbing)処理という液晶配向のための表面処理を施してから液晶を封入する。

配向処理は、配向膜に配向性を与えるため、布を用いて一方向にこすり、筋を付ける処理を行なうことによって、配向膜ポリマー表面にナノサイズの機械的溝が生成され、表面のポリマー鎖をラビング方向に揃えることができる。配向膜は一般にポリイミド膜が用いられる。

■用途動向(2002年世界需要ベース)

用途名 販売量ウェイト(%) 具体的用途例
TFT-LCD 70 カラー携帯電話、ノートPC、デスクトップPC、
STN-LCD 17 カラー・モノクロ携帯電話、
TN-LCD 13 電卓、デジタル時計、家電製品の表示部
合 計 100  
出所:富士キメラ総研

TFT用途は、カラー携帯電話、ノートパソコン需要の伸びで液晶配向膜市場を牽引している。その他STN用途では、一部のカラー携帯電話、モノクロ携帯電話で使用されている。

TN用途はパネルサイズが小さくそのウェイトは少ないが、電卓、腕時計、洗濯機等の家電製品等、非常に幅広い分野で使用されている。これらは中国市場における需要比率が高い。

■世界市場規模推移(2002〜2006年)

●市場規模推移及び予測 世界需要ベース (単位:t、%)
  2002年 2003年
見込
2004年
予測
2005年
予測
2006年
予測
販売数量 138 165 185 210 240
前年比 119.6 112.1 113.5 114.3
出所:富士キメラ総研

2002年の販売量は138t、販売金額は約91億円と推定され、2006年では153億円(2002年比1.68倍)に上昇すると予測している。

日本メーカーがほぼ市場の大半を占めており、2004年以降も販売量ベースで年率12〜14%の成長が見込まれる。ただし、販売金額では、需要量の高いTFT向けの価格が低下しているため、同12〜13%の伸長率になると推定している。

■採用素材動向(2002年世界需要ベース)

構成部材名 使用樹脂 使用量(t) 構成比(%) 採用理由
配向膜 ポリイミド 135 97.8 薄膜や耐薬品性に加え、260℃の高い耐熱特性が評価されている。
可溶性ポリイミド 低温焼成可能、電圧保持率の高さ等が有利
PVA 3 2.2 TN向けが低コスト
合 計 138 100.0  
出所:富士キメラ総研

薄膜、耐薬品性、耐熱性に優れている等の点が評価され、ポリイミドが中心材料として使用されている。

ポリビニルアルコール(PVA)は、TN用途で中国のローカル企業が一部採用している。

■研究開発・技術動向

企業名 技術開発 開発・技術概要
大日本インキ
化学工業
配向能が優れた光配向膜を開発 液晶表示素子は、液晶の分子配列の状態を電場等の作用で変化させ、これに伴う光学特性の変化を表示に利用している。
通常、液晶は、2枚の基板の間隙に挟んだ状態で用いられ、ここで液晶分子を特定の方向に配列させるために、基板の内側に配向処理が施される。
通常、配向処理は、ガラス等の基板にポリイミド等の高分子の膜を設け、これを、ラビング(高分子膜を一方向に布等で摩擦する)という方法が用いられる。これにより、基板に接する液晶分子はその長軸(ダイレクタ)がラビング方向に平行に配列する。
近年、ラビングを行わない液晶配向制御技術が注目されている。
特に、偏光された光を基板上に設けられた塗膜に照射して、液晶配向性を生じさせる光配向法は、簡便であり大いに研究が行われている。
この光配向法は、有機分子中の光配向機能を発現させる光配向性基、例えばシンナモイル基、クマリン基、カルコン基、ベンゾフェノン基等の光二量化によるもの、アゾ基等の光異性化によるもの、ポリイミド樹脂等の光分解によるもの等が報告されている。
同社は、光配向膜用材料を使用し、光配向性基を配向させる光を保持し、配向を固定化しながら重合反応を行うので、光配向操作と重合操作とを別々に行う場合に比べ、液晶配向能と配向秩序の優れた光配向膜を得ることができる。
同光配向膜を使用することで、明/暗比に優れ、プレチルト角の大きい液晶素子を得ることができる。

■参入企業とメーカーシェア(2002年世界需要ベース)

メーカー名 販売量シェア(%)
日産化学工業 68
JSR 23
チッソ 7
その他 2
合 計 100
出所:富士キメラ総研

日産化学工業がトップを維持し、さらにシェアを伸ばす勢いである。次いで、JSR、チッソと続く。

従来は、TFT用途でシェアが大きいのはJSR、STN用途では日産化学であったが、近年、日産化学がTFT向け配向膜のシェアを伸ばしている

日産化学工業は、「サンエバー」(製品名)の生産能力を現状の1.5倍に引き上げている。

■今後の動向

液晶配向膜は、その応用製品の需要拡大に比例して成長していくと推定している。今後、薄型液晶テレビやモニタ等、大型パネルの需要増が予測されるため、当該製品の販売量も拡大していくと見ている。

配向処理方法はラビング方式からラビングレス方式へと徐々にシフトしていくと予想している。

参考文献:「2003年 エレクトロニクス高分子材料の現状と将来展望」
(2003年8月21日:富士キメラ総研)


戻る