PET-Gフィルム・シートと応用製品(サーマルリライトカード)の市場動向

マーケット情報TOP
PET-Gフィルム・シートは、焼却時に有毒ガスを発生させるPVC樹脂の代替品として注目されており、厚手のカードに加工されている。ここでは、PET-G製フィルム・シートの材料動向とその応用製品であるサーマルリライトカードの需要動向をレポートした。

■PET-Gフィルム・シートの材料特性と用途動向

PET-G樹脂は、環境負荷問題で懸念されているPVC樹脂の代替品として開発され、「Suica(登録商標:Super Urban Intelligent Card)」や「ICOCA」、ETCカードの他、住民基本台帳カード等にも採用されている。使用頻度の高い交通系カードや高温状態が予測される車載機器用途に導入され、品質的にも優れている素材である。

PVCと比較して高価格であり、カード単価の高いICカード等への導入に限定されている。金融系カードやIC社員証等で一時PET-Gの導入が進んだが、ユーザーのよってはコスト削減策からPVC系カードを導入する傾向もある。

■PET-Gフィルム・シートの市場規模推移(2002〜2007年)とメーカーシェア

●市場規模推移及び予測 (単位:t、%)
  2002年 2003年
見込
2004年
予測
2005年
予測
2006年
予測
2007年
予測
販売数量 360 400 500 600 700 800
前年比 111.1 125.0 120.0 116.7 114.3
出所:富士キメラ総研

2002年のPET-Gフィルム・シートの販売数量は360t、販売金額は4億円であり、2007年は6.5億円(2002年比1.63倍)に上昇すると推定している。

JR東日本の「Suica」は2001年11月に利用が開始され、2003年6月時点で利用者数が650万人に達している。JR西日本「ICOCA」にもPET-Gが採用され、両鉄道系のICカードに対する需要増が期待されている。また、ETCカードは高速道路における専用レーンの増加や車載器の低価格化によって需要が拡大している。

PET-G使用の金融系カードや各種IDカードはいづれも需要が増加している。一方で、低価格なPVCフィルム・シートを導入する企業もみられる。

●参入企業とメーカーシェア(2002年)
メーカー名 数量ウェイト(%)
三菱樹脂 56
太平化学製品 39
筒中プラスチック工業 4
その他 1
合 計 100
出所:富士キメラ総研

PET-Gフィルム・シートのコア材とオーバー材を供給する上位2社が高いシェアを握っている。オーバー材でシェアの大きい三菱樹脂は、リコーと共同でリライト可能なPET-G樹脂を開発している。

2位の太平化学製品は、昇華印刷対応や全面ロイコ仕様等、多様なカードの製造を行っている。

筒中プラスチック工業はコア材の供給を行っており、他には東レ合成フィルムがオーバー材を扱っている。

■PET-Gフィルム・シートの応用製品と販売動向

PET-G樹脂は焼却しても有害物質が発生せず、ダイオキシン問題で需要が低下したPVC樹脂の代替品として注目されている。PET-Gフィルム・シートはPVCに比べ加工が困難な面もあるが、耐熱性に優れたサーマルリライトカード用の材料である。

●サーマルリライトカード(PET-G製)の販売予測
  2002年 2007年
予測
伸長率
(2007/2002年)
国内販売数量 1,500千枚 6,000千枚 400.0%
国内販売金額 700百万円 2,200百万円 314.3%

サーマルリライト
カードの特徴
PET-Gを使用したサーマルリライトカードはJR東日本の「Suica」が代表的である。リライト表示があるのは「Suica定期券」のみであり、リライトカードのプラスチック基材はPET-G樹脂であるがリライト部分の表層はPET樹脂を使用している。

<PET-G製サーマルリライトカードに対する取組みと評価>
リコーと三菱樹脂が共同開発した「黒発色リライタブル表示機能付きPET-Gフィルム」の販売を、2003年9月に発表した。視認性に優れた黒色ロイコ型(鮮明印字タイプ)であり、全面印字が可能なため印刷デザインの自由度が向上する。また、エンボス加工が可能なためクレジットカード等様々な用途への展開が可能である。

また、カードを発行する企業の方針として、環境問題に対する取り組みの一環から、PET-Gを採用するケースが増えていくと予測しており、会員カードやポイントカードにおいてもPVCからの代替が徐々に進んでいくと見ている。

■PET-G製サーマルリライトカードの用途とメーカーシェア

●PET-G製サーマルリライトカードの用途(2002年)
  発行数量(千枚) 構成比(%)
交通定期券 1,000 66.7
ポイント機能 500 33.3
合 計 1,500 100.0
出所:富士キメラ総研

JR東日本の乗車券「Suica」に代表される交通分野のカード基材にPET-G樹脂が採用されている。非接触方式の「Suica」等は非接触ICカード市場を牽引している。

イオングループの自然派化粧品店ザ・ボディショップが発行する会員カード「ザ・ボディショップクラブカード」は、1999年10月よりリライトカードの発行を開始し、2000年からイオンクレジットサービスとの提携カードとしてクレジット一体型のカードを発行している。店舗の環境方針を反映してカード素材にPET-Gを採用した。

●参入企業とメーカーシェア(2002年)
メーカー名 数量ウェイト(%)
ソニー 67
その他 33
合 計 100
出所:富士キメラ総研

PET-G製サーマルリライトカード市場は、ソニーがトップである。「FeliCa」の納入分として「Suica」の追加発行の中で定期券の分と「FeliCa」採用のバス定期券等の納入分の合計(推定)である。

これら定期券等はソニーが受注しているため、シェアに関しては全てソニーとしているが、「Suica」の発行はソニー以外に共同印刷や凸版印刷が行っている。

■今後の動向

  カード材料 カード材料の応用製品
市場区分 PET-Gフィルム・シート市場 PET-G製サーマルリライトカード市場
今後の
方向性
PVCの代替品として今後も交通分野、公共分野を中心に導入が増加するものと予測される。
PVCよりも高価格であるため、単価の高いICカード関係の需要が中心と見ている。(この場合アプリケーションの増加により使用頻度が高まるため、耐熱性等、更なる品質向上が求められる。)
カード全面に印刷が可能でエンボス加工ができるPET-Gフィルム・シートの販売が開始したことで、環境面以外のメリットが付加され、利用範囲が広がる余地がある。今後は交通系以外での利用拡大が見込まれている。

参考文献:「2003 カード市場マーケティング要覧<市場編>」
(2003年8月8日:富士キメラ総研)


戻る