接触式ICカードの市場動向

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ICカードは、データを読み書きする通信方式の違いによって「接触式」と「非接触式」に分類される。接触式ICカードは、ICチップ内のCPU搭載有無によりさらに分かれる。現在の主流はCPU内臓型である。

ここでは、(1)接触式(ISO7816、CPU 内臓/CPU 無し)ICカード、(2)ハイブリッドカード、(3)デュアルインターフェースカードを対象に市場動向を整理した。

■接触式ICカードの種類と特徴

種類 特 徴
接触式ICカード CPU内臓型のICカードは、0.76mm厚のPVC製カード基材にICモジュールが埋め込まれており、金メッキされた接触端子は電気的に接続される。一般に、ICカード内のICチップは、CPU+ROM+RAM+EEPROMから構成されている。ICカードのサイズは、クレジットカードやキャッシュカードと同じ。
接触/非接触式ICカード ハイブリッドカード 接触・非接触式各々のICチップが1枚のICカードに加工されている。
デュアルインターフェースカード ワンチップで、接触・非接触両方のインターフェースを持つICカード。

接触式ICカードは、主にICクレジットカードの発行で市場が形成し拡大している。クレジットカードのIC化は2001年頃から開始され、三井住友カード、トヨタファイナンス、ポケットカード(旧マイカルカード)、DCカード及びJCB等が積極的にIC化を進めた。

接触式ICカード市場において、クレジットカードに次ぐアプリケーションはETCカードである。ETC(Electronic Toll Collection)システムは、インフラ整備が進んでいる割にはユーザーへの普及が遅れている。しかし、国土交通省による高額ハイカの廃止や高速道路料金割引サービス、端末購入補助金制度の導入等、普及促進対策が徐々に効果を上げ始めている。

その他には、衛星放送CASカード、3G携帯電話用UIMカード、PKI(Public Key Infrastructure)及びIDカード等が挙げられる。接触式ICカード市場におけるその他のウェイトは僅かに留まっている。

接触式ICカードのプラスチック基材はPVC樹脂が中心である。他には、PET-G樹脂がETCカード等に採用されている。

■接触式ICカードの用途別販売動向(2002年)

需要分野 販売数量(千枚) 構成比(%)
金融 26,300 80.9
通信・放送 3,700 11.4
その他 2,500 7.7
合 計 32,500 100.0
出所:富士キメラ総研

接触式ICカードは、銀行系を中心としたクレジットカードのIC化によって市場が形成された。JCB、三井住友カード、トヨタファイナンス、OMCカード、UCカード、DCカード、UFJカード等が発行されている。その他には、武富士「TAKE BIG SEVEN MasterCard」、高島屋「タカシマヤカード」等が挙げられる。2002年はクレジットカードの用途が約2,600万枚と推定され、接触式ICカードの80%を占める。

金融分野の接触式ICカードには、ETCカードが含まれており、その販売数量は100万枚程度と見られる。他には、クレジット機能付社員証、一部のキャッシュカード等も含まれる。通信・放送系の用途では、主に衛星放送用CASカード等が挙げられる。その他には、3G携帯電話UIMカード、ガソリンスタンド電子プリカ等がある。

■接触式ICカードの市場規模推移(2002〜2007年)

●市場規模推移及び予測 (単位:千枚、%)
  2002年 2003年
見込
2004年
予測
2005年
予測
2006年
予測
2007年
予測
国内販売数量 32,500 47,000 65,000 90,000 130,000 180,000
前年比 144.6 138.3 138.5 144.4 138.5
出所:富士キメラ総研
2002年の接触式ICカードの国内販売数量は3,250万枚であり、主にICクレジットカードの発行によるものである。2002〜2003年は主に銀行系クレジットカード会社がIC化を積極的に進めてきた。当該市場は2004年以降もICクレジットカードの成長が中心となり、拡大基調で推移すると見ている。

クレジットカード以外には、ETCカードが挙げられるが、年々発行枚数は増加しているものの、本格的な普及には至っていない。しかし、政府による積極的な普及策が講じられていることから、今後の普及が期待される。

2002年の接触式ICカードの販売金額は205億円であり、2007年は900億円(2002年比4.39倍)に急上昇すると推定している。

■研究開発・技術動向

企業名 技術開発 製品・技術概要
東芝 有料道路等のETCシステムを開発 同社は、ICカード化されたハイウェイカードを用い、利用料金の支払い処理において、ハイウェイカードの残額が不足している場合であっても、利用料金の支払い処理が円滑化できるICカードを用いた料金収受システムを開発している。
有料道路等の自動料金収受システム(ETC:Electronic Toll Collection System)において、ETCカードは車載器にセットされ、料金所との間で無線通信を行うことにより料金の決済を行うシステムである。
ETCカードは、ICチップ(CPU、データメモリ、ワーキングメモリ、プログラムメモリ)とコンタクト部等から構成されている。
このICチップとコンタクト部はICモジュール化され、プラスチック製のカード基体内に埋設されている。
従来のハイウェイカードを用いたシステムでは、高速道路等の出口に設けられている料金所で、利用料金分の金額を引き去ることにより利用料金の清算が行われていた。このようなハイウェイカードをICカード化した場合、データメモリに金額(残額)情報を保持し、その残額情報により利用料金を支払うことができる。
また、利用者は、サービスエリア等でハイウェイカードに対して残額の積み増しを行なうことが可能となり、利便性を向上させることができる。

■参入企業とメーカーシェア(2002年)

企業名 数量ウェイト(%)
大日本印刷 47
凸版印刷 45
その他 8
合 計 100
出所:富士キメラ総研

ICクレジットカードの発行で拡大した接触式ICカード市場は、大日本印刷と凸版印刷2社による寡占状況が年々強まっている。金融分野が需要の中心とする接触式ICカード市場は、2社による激しいシェア競争が続くと思われる。その他には東芝、トッパン・フォームズ、共同印刷等が参入している。

■今後の動向

接触式ICカードは、銀行系クレジットカードに続いて、信販系、流通系クレジットカードのIC化が予定されている。キャッシュカードのIC化が進んでいけば大きな需要拡大が期待される。

今後、ICクレジットカード発行枚数の増加、インフラ整備の進展とETC、3G携帯電話及び衛星放送の普及等の要因から、市場の伸びが予測されている。

しかしながら金融分野において技術的な課題(高度なセキュリティの確保等)が解決されていくならば、長期的には、「非接触式ICカード」への移行が予想される。

参考文献:「2003 カード市場マーケティング要覧<市場編>」
(2003年8月8日:富士キメラ総研)


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