電磁誘導方式13.56MHz帯RFIDタグの市場動向

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RFID(Radio Frequency Identification)タグは、非接触式のICラベル(荷札)であり、「無線ICタグ」、「非接触IC」等と表現することがある。RFIDタグはデータ伝送方式により電磁誘導方式と電波方式に分類される。ここでは、電磁誘導方式のうち、使用周波数13.56MHz(短波)のRFIDタグを対象とした。

13.56MHz帯は既に非接触ICカードの規格として、国際標準化機構のISO10536/14443/15693で国際的に標準化されている。新たに「物品」に対する管理用RFIDタグの規格は、エアインターフェース(タグとリーダ/ライタ間の通信仕様を規定している)の規格番号「ISO18000-3」に明確化されている。

周波数に対応するエアインターフェースの規格番号
周波数 エアインターフェース
の規格番号
備 考
135KHz未満(中波) 18000-2 電磁誘導方式
13.56MHz(短波) 18000-3 電磁誘導方式、「物品」に対する管理用
2.45GHz(マイクロ波) 18000-4 マイクロ波方式、無線LANや電子レンジと同じ周波数帯

■電磁誘導方式13.56MHz帯RFIDタグの特徴

13.56MHz帯
RFIDタグの特徴
13.56MHz帯は2002年9月の電波法(高周波利用設備)が改正により、欧州並みの最大60cmの通信距離に飛ばせることが可能となったことで、従来にない新たな用途が多く開発されており、今後、アプリケーションの拡大により需要拡大が見込まれている市場である。
13.56MHz帯RFIDタグは、非接触ICカードISO14443及び15693系の技術を用いることで、長距離交信や高速通信が求められる用途で使用できるため、従来のRFIDタグが使われていなかった用途に使用されるようになってきている。
導入分野 この方式の主な導入分野は、図書館蔵書管理、SCM(サプライチェーンマネジメント)、アミューズメント施設(ID管理)、自動車生産ライン、工事現場出入り管理、博物館所蔵品管理、航空手荷物タグ管理等が挙げられる。
使用材料動向 RFIDタグの基材に用いられている材料は、紙やPET樹脂が使用されている。他には、工場の組立ライン向けに開発されたRFIDタグの本体部(上皿/プリント基板/下皿)において、上皿と下皿にPPS樹脂(耐熱性が必要とされる場合)が採用されている。

■電磁誘導方式13.56MHz帯RFIDタグの市場規模推移(2002〜2007年)

●市場規模推移及び予測 (単位:千枚、%)
  2002年 2003年
見込
2004年
予測
2005年
予測
2006年
予測
2007年
予測
国内販売数量 6,000 15,000 35,000 70,000 150,000 250,000
前年比 250.0 233.3 200.0 214.3 166.7
出所:富士キメラ総研
当該市場は2001年から本格的に立ち上がった市場であり、2002年9月に電波法改正による規制緩和を受けて、新たなアプリケーションや新規参入企業の増加が目立ち始め、市場はにわかに活発化している。

13.56MHz帯RFIDタグの販売金額は、2002年が5.5億円の規模であるが、2007年は150億円(2002年比27.3倍)と推定しており、急激な成長を予測している。

13.56MHz帯RFIDタグのアプリケーションのうち、図書館蔵書管理・貸出し登録/返却受付システムは、国内だけでなく世界的にも有望視されているアプリケーションの一つである。

■研究開発・技術動向

企業名 技術開発 製品・技術概要
大日本印刷 非接触ICタグを利用した図書管理システムの開発

「図書館利用カード向け非接触ICタグ」
当社は、図書館の在庫図書に貼付される非接触ICタグと利用者が携帯する図書館利用カードに、同種のICチップを使用した非接触ICタグを装着して、図書の貸出・返却の際に図書も利用カードも一緒に非接触ICタグリーダで読み取ることにより、複数の図書や利用カードの識別を一括管理できる図書管理システムを開発した。
下図は、図書館利用カードにおける非接触ICタグの平面図である。反対側の表面には、図書館の名称や利用者の氏名が表示される。
図書館利用カードの場合、プラスチック等の基材に、非接触ICタグラベルをプレスラミネートした構成にすることが一般的である。「ICチップラベル」の場合は、モトローラ社の「BiStatix(製品名:バイスタティクス)」が使用できる。

<図書館利用カードにおける非接触ICタグの平面図>

図の出典:特許電子図書館

コイルパターンの非接触ICタグラベル(大日本印刷製の「ACCUWAVE」)を、紙やプラスチック基材間に貼着してカード形状に打ち抜き、図書館利用カードとした。
一方、図書用非接触ICタグラベルは、図書館利用カードと同一仕様の粘着剤付きの非接触ICタグラベルを、カードサイズに半抜き加工してセパレート紙に連続帯状に保持した形態にしている。
なお、非接触ICタグの通信周波数は、13.56MHz(ISO15693準拠)とし、メモリ容量は512bitである。英数字半角文字が最大48文字記録できる。
また、非接触ICタグは、本来的には盗難防止用ラベルとしての機能を持つため、図書館の出入口に貸出フラグ(貸出識別等)の記録がされていないような図書が搬出される場合には、検出装置(リーダ/ライタ)を設けておけば盗難の検出も可能であり、盗難防止としても有用である。

■参入企業とメーカーシェア(2002年)

企業名 数量ウェイト(%)
オムロン 67
その他 33
合 計 100
出所:富士キメラ総研

2001年から13.56MHz帯RFIDタグの量産体制を展開しているオムロンがトップである。同社は2002年に400万枚の販売実績があり、そのシェアは67%である。主力商品は「形V720シリーズ」であり、ユーザーニーズに合わせた様々なサイズ・形状の「タグインレット」(RFIDタグ部品の製品名)を品揃えしている。

オムロンはタグインレット以外に、リードライトアンテナ、IDコントローラ、リーダライタモジュール、及び開発キット等のシステム販売が得意である。

その他のメーカーには、日本テキサス・インスツルメンツ、大日本印刷、凸版印刷、日立化成工業、デンソーウェーブ、東京磁気印刷、トッパン・フォームズ、NECトーキン、松下電器産業、等多数の参入企業が挙げられる。


■今後の動向

13.56MHz帯RFIDタグは、「物品」に対する管理用の通信規格としてISO18000-3に標準化されている。13.56MHz帯は世界中で使用できる周波数帯であるため、汎用性の高さが評価されている。

わが国では電波法の規制緩和以降、図書館蔵書管理や物品管理、FA生産ライン等、13.56MHz帯の特徴を生かした用途開発が進められており、今後当該方式のRFIDタグは大幅な市場拡大が予測される。

参考文献:「2003 カード市場マーケティング要覧<市場編>」
(2003年8月8日:富士キメラ総研)


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