ダイボンドフィルムの市場動向

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ダイボンドフィルムは半導体素子と基板を接続する材料であり、フィルム状ダイアタッチフィルム市場を調査対象とした。半導体素子の接続には、主にペースト状のダイボンド材が用いられているが、CSP、BGA、LOC等の小型先端パッケージでは、ダイボンドフィルムを使用することにより生産性を高めている。

ダイシングテープとダイボンドフィルムを一体化した製品は、製造プロセス(ダイシング工程とダイボンイディング工程)の簡略化が注目される。各々の工程でフィルムを貼り付ける手間を、一工程に省略できるようになり、製造コストの削減が可能である。

■タイプ別構成比と製品特性(2002年ベース)

タイプ 数量ウェイト(%)
ポリイミド系 92
エポキシ系 8
合 計 100
出所:富士キメラ総研

ダイボンドフィルムに対する要求特性は、「耐はんだリフロー性」の高いことが最も重要な条件の一つであり、耐はんだリフロー性が優れているポリイミド系の需要が極めて多くなっている。

エポキシ系はチップ/チップ間の接続等、比較的容易な用途(部位)で採用される。


<代表的な製品の特徴>
企業名 日立化成工業
製品概要
同社はダイボンド用フィルム「HIATTCH(ハイアタッチ)」を上市している。ダイボンドペーストに比べて、チップとリードフレーム及び基板との均一接着性や作業性が優れており、半導体パッケージの耐はんだリフロー性が優れている。
製品展開とその特徴
4タイプの製品がシリーズ化されラインナップされている。
  (1) DFシリーズはスタックドCSP用途で数多くの実績がある。吸収率が低く、耐はんだリフロー性に優れているのが特徴。
  (2) HSシリーズはフィルムが低弾性のため、熱応力の緩和に優れている。
  (3) UFシリーズは加熱圧着タイプでフリップチップ実装で用いられ、アンダーフィル材が不要であることが利点である。
  (4) FHシリーズはダイシングテープとダイボンディングフィルムの機能を併せ持つ一体型フィルムである。ウェーハ裏面にフィルム貼付けが一度にできるため、製造工程の短縮に貢献する。同シリーズは古河電気工業との共同開発製品である。

■用途動向(2002年ベース)

用途名 数量ウェイト(%)
チップ/基板間 77
チップ/チップ間 23
合 計 100
出所:富士キメラ総研

チップと基板との接続パターンが圧倒的に多い。半導体パッケージ製品の場合、基板とチップの接続が基本でありCSP、BGA等のパッケージ製品を問わず、ダイボンドフィルムが使用されている。

チップ/チップ間はスタック用途であるが、2002年では日系メーカーによる採用に留まっている。今後は、外資系半導体メーカーによるダイボンドフィルムへの切替えが期待されている。

近年、電子機器に使用されるCSP、BGA、MCP等のパッケージ製品は、小型・低背化、高機能化要求に対応し、ダイボンド材にはペーストタイプよりも、ダイボンドフィルムが採用されている。その理由は絶縁信頼性、ボイドレス、接着層の厚みが均一でチップに傾きが生じない等の点で優位性があるためである。

■ダイボンドフィルムの市場規模推移(2002〜2007年)

●市場規模推移及び予測(世界市場) (単位:m2、%)
  2002年 2003年
見込
2004年
予測
2005年
予測
2006年
予測
2007年
予測
販売数量 130 160 190 220 250 280
前年比 123.1 118.8 115.8 113.6 112.0
出所:富士キメラ総研

2002年のダイボンドフィルム市場は、数量ベースで130m2、金額では35億円である。ダイボンドフィルムのアプリケーションは、携帯電話等の小型電子機器であり今後、高い成長性が予想されている。2007年は60億円(2002年比1.71倍)に上昇すると予測している。

2002年ではスタックドパッケージの製造に、ダイボンドフィルムを使用するのは日系メーカーが大半である。一方、外資系半導体メーカーは、スタック実装にもペーストを使用するケースが多く見られる。今後、高積層化が本格化し、外資系メーカーによるダイボンドフィルムの本格的な需要開拓によっては、さらなる市場の活性化が期待される。

■技術・開発動向

企業名 技術開発 製品・技術概要
日立化成工業 CSP、BGA、MCP用
ダイボンドフィルム
の開発
CSP、BGAパッケージの製造において、半導体チップとワイヤボンド端子は極めて近接しているため、ダイボンドペーストがはみ出すことがある。MCPではチップの厚さが薄くなるため、ダイボンドペーストがチップ上面まで這い上がるという問題が発生する。
また、小型先端パッケージの有機基板とチップを接続するためのダイボンド材は、接着力が低いという問題点があった。
同社が開発したCSP・BGA、MCP用ダイボンドフィルム(DFシリーズ)は、耐はんだリフロー性に優れており、接着温度が200℃以下で、50kPa以下の低圧環境で、低吸湿、高接着性を有する製品である。
ダイボンドフィルムの耐はんだリフロー性を向上させるには、ベース樹脂の吸湿率を低減する必要がある。
また、200℃以下で低圧のダイボンディングを実現するには、ガラス転移温度が低いことが条件であり、ベースフィルムにはポリイミド樹脂が適している。

■参入企業とメーカーシェア(2002年ベース)

メーカー名 数量ウェイト(%)
日立化成工業 84
リンテック 8
その他 8
合 計 100
出所:富士キメラ総研

日立化成工業が8割以上のシェアを占める圧倒的トップメーカーである。チップと基板間の接着に関して、平坦性を確保できることが評価され固定ユーザーを獲得している。

リンテックでは、ダイシングテープと一体型のダイボンドフィルムを提案している。その他のメーカーは、ダイボンドペースト大手のエイブルスティックや住友ベークライト、ゴアテックス、日東電工、ソニーケミカル等が参入している。

■今後の動向

ダイボンディング業界において、半導体パッケージ製品の高積層化が本格化しており、ダイボンドペーストからフィルムへの移行が追い風として期待されている。現状では日立化成工業の独壇場の市場であるが、下位メーカーではダイシングテープ市場のプレイヤー(同一企業の社内部門間も含む)と連携することにより、巻き返しを図っている。

参考文献:「2003 エレクトロニクス実装ニューマテリアル便覧」
(2003年5月23日:富士キメラ総研)


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