導電性接着剤の市場動向

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導電性接着剤はエポキシ、シリコーン、ポリイミド、ポリウレタン系樹脂等をバインダとし、銀、ニッケル、カーボン等の導電性フィラーから構成される。近年ではバインダは液晶樹脂、フィラーでは銀が使い易いことから主流となっている。従来、当該製品はデバイスの小型化等の進展に伴い、はんだ接合では対応できない用途で使用されてきた。実装業界では鉛フリー化が進んでおり、導電性接着剤は鉛フリー製品としても注目されている。

ここでは、振動子、コンデンサ、パッシブLCD電極の接続やIC、LSIの2次実装用に使われる導電性接着剤を調査対象とし、ダイボンド材や異方導電性製品は含まないものとする。

■タイプ別構成比と材料特性(2002年世界市場ベース)

タイプ 販売数量ウェイト(%)
エポキシ系 52
ポリウレタン系 25
シリコーン系 17
ポリイミド系 6
合 計 100
出所:富士キメラ総研

導電性接着剤市場ではエポキシ系が50%を超え主流である。これはエポキシ樹脂の接着力が強く扱いやすいためである。また、研究開発の歴史が長く、情報の蓄積が豊富で、製品開発の対象になり易いことも大きな要因である。

ポリウレタン系は価格が安く柔軟性、接着力共に比較的高いが、耐熱性が低いことがネックとなり使用用途が限定される。シリコーン系は高価格と接着力の弱さがマイナス面である。しかし、柔軟性に富んでいる。ポリイミド系は耐熱性は高いが柔軟性が低く価格も高いため、特殊用途向けに採用されている。

硬化方法は熱硬化タイプと紫外線硬化タイプが中心である。1液タイプと2液タイプがあるが、1液タイプの方が多く採用されている。

■用途動向(2002年世界市場ベース)

用途名 販売数量ウェイト(%)
IC、LSIの2次実装 52
振動子 27
その他 21
合 計 100
出所:富士キメラ総研

導電性接着剤の需要量は、IC、LSIの2次実装(プリント配線板との接続)が最も多く全体の50%を超えている。1次実装(CSP、BGA等の実装)にはダイボンド材が使われている。ダイボンド用途は規格基準が厳しく現状では対応が難しい。

振動子は水晶振動子、セラミック振動子等である。振動子の小型化が進み、従来のはんだでは対応が難しくなったことや、接着剤の方がはんだより柔軟性があることが評価され、導電性接着剤が使われるようになった。

■導電性接着剤の市場規模推移(2002〜2007年世界市場)

●市場規模推移及び予測 (単位:t、%)
  2002年 2003年
見込
2004年
予測
2005年
予測
2006年
予測
2007年
予測
国内販売数量 35 37 40 42 44 45
前年比 105.7 108.1 105.0 104.8 102.3
海外販売数量 13 15 17 20 23 27
前年比 115.4 113.3 117.6 115.0 117.4
合 計 48 52 57 62 67 72
前年比 108.3 109.6 108.8 108.1 107.5
出所:富士キメラ総研

2002年の導電性接着剤市場(世界市場)は、数量ベースで48t、金額では約44億円の市場である。2007年は、約58億円と予測している。

当該製品は国内メーカー主体の市場であり、販売比率は73対27で国内のウェイトが多い。今後は海外需要の割合が伸びていくと見ている。製品の信頼性が確立し、環境対応製品としての認知度が上昇すれば大幅な伸びが期待される。

■研究開発・技術動向

企業名 技術開発 製品・技術概要
フジクラ 電気抵抗が低く、
高い接続信頼性のある
導電性接着剤を開発
従来の導電性接着剤には、接続抵抗が比較的大きく接続信頼性が低いという問題があった。その原因は、加熱硬化後の導電性接着剤の中にバインダ等の添加剤が残留し、フレーク状銀粒子同士の接触が阻害されるためである。そこで、同社は、電気抵抗が極めて低く、接続信頼性が得られる導電性接着剤を開発している。

【導電性接着剤の特徴】
導電性接着剤は、粒子状銀化合物(酸化第一銀、酸化第二銀、炭酸銀、酢酸銀、アセチルアセトン銀錯体から選択された1種又は2種以上の混合物を用いることが好ましい。)を含む導電性コンパウンドを用いて、導体回路上に電子部品を実装することができる。
導電性接着剤を用いて電子部品実装構造を形成することにより、接続抵抗が極めて低くなるように電子部品が実装できるので、接続信頼性が高くなる。特に、大電流を流す用途に適しており、発熱量が小さくなり高密度なプリント基板を製造することができる。

【導電性接着剤の適用プロセス】
電子部品を実装するには、従来の導電性接着剤と同様に、導体回路上に塗布し、その上に電子部品を乗せた後、加熱(加熱温度は140〜250℃程度)するだけでよく、実装が極めて容易かつ簡便である。
しかも、低温プロセスにて実装できるので、PET樹脂など可撓性の高い安価なプラスチックを使用することができ、可撓性が高く安価なFPCを製造することができる。


■参入企業とメーカーシェア(2002年世界市場ベース)

メーカー名 数量ウェイト(%)
藤倉化成 23
スリーボンド 19
福田金属箔粉工業 10
ナミックス 10
その他 38
合 計 100
出所:富士キメラ総研

藤倉化成、スリーボンドは積極的な技術開発でシェアの上位に来ている。藤倉化成では導電性樹脂材料である「ドータイト」ブランドの1シリーズとして、導電性接着剤が商品化している。スリーボンドでは「3300シリーズ」が該当する。水晶振動子用途にはこの上位2社が扱っている。

福田金属箔粉工業、ナミックスはコンデンサ向けが中心である。その他にはアサヒ化研、徳力化学研究所、田中貴金属、千住金属工業等が参入している。

■今後の動向

電子機器業界では鉛フリー製品の採用、製品開発等が盛んである。導電性接着剤は、環境対応の観点から、鉛フリー製品(はんだの代替製品)として注目されている。鉛フリーはんだは、従来のはんだよりも高価であるためコスト的には不利な面がある。

導電性接着剤は、リフロー温度の変更を必要とせずに、低温接合や微細部品等に適用範囲を広げており、今後、低温対応など新領域における需要開拓が見込まれる。

参考文献:「2003 エレクトロニクス実装ニューマテリアル便覧」
(2003年5月23日:富士キメラ総研)


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