プラスチックス系微粉体の市場動向(総論)
                〜高機能化が求められているプラスチックス系微粉体材料〜

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微粉体製品は、そのサブミクロンサイズのメリットを活かした応用開発が進められており、エレクトロニクス、自動車、医薬品、食品、化粧品等の様々な分野において不可欠なキーマテリアルになっている。微粉体の需要業界における技術の進展に伴って、近年では微粉体製品に対して高機能化が求められている。また、コストよりも機能性が重視される傾向が見られる。

微粉体事業は、汎用大量生産型からスペシャリティ化を進めている国内化学メーカーにとって、その進むべき方向性が合致しているビジネスであり、重点事業の一つとして位置付けている。

ベースとなる粉体材料の種類はセラミック、金属、プラスチック等が挙げられるが、ここではプラスチックス系微粉体に焦点を当てて市場規模推移、伸長率等のトレンドをレポートした。

■プラスチックス系微粉体の市場規模推移(国内販売+輸出+輸入)

下表は、プラスチックス系微粉体製品を汎用熱可塑性樹脂、エンプラ系熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、特殊樹脂の4カテゴリーに分類し、その販売量と伸長率を一覧にしたものである。

●樹脂カテゴリー別販売数量と伸長率 (単位:t、%)
樹脂カテゴリー 2002年 2003年
2004年
見込
2005年
予測
2006年
予測
2007年
予測
1.汎用熱可塑性樹脂(3品目) 2,444 2,840 3,236 3,634 4,033 4,432
前年比 116.2 113.9 112.3 111 109.9
2.エンプラ系熱可塑性樹脂(3品目) 1,410 1,430 1,450 1,470 1,500 1,520
前年比 101.4 101.4 101.4 102 101.3
3.熱硬化性樹脂(3品目) 2,480 3,405 3,915 4,305 4,585 4,845
前年比 137.3 115 110 106.5 105.7
4.特殊樹脂(高吸水性樹脂) 281,500 302,500 330,000 350,000 370,000 389,000
前年比 107.5 109.1 106.1 105.7 105.1
10品目合計 287,834 310,175 338,601 359,409 380,118 399,797
前年比 107.8 109.2 106.1 105.8 105.2
出所:富士キメラ総研

◆樹脂カテゴリーの品目内訳は以下の通りである。
1.汎用熱可塑性樹脂 ポリエチレン、ポリスチレン、アクリル
2.エンプラ系熱可塑性樹脂 ナイロン、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、フッ素樹脂
3.熱硬化性樹脂 ポリウレタン、フェノール、ベンゾグアナミン・メラミン
4.特殊樹脂 高吸水性樹脂

2002年におけるプラスチックス系微粉体(10品目)の販売数量は28.8万tであり、金額ベースでは778億円である。2007年には40万t(2002年比1.39倍)に拡大すると予測している。

2003年のプラスチックス系微粉体市場(10品目)の中で、販売量の大きいカテゴリーは、特殊樹脂(高吸水性樹脂)である。高吸水性樹脂の販売数量が大きいのは、国内需要以外に輸出需要が極めて多いためである。

2003年市場では熱硬化性樹脂(3品目)の伸長率(前年比37.3%増)が最も大きく、次いで汎用熱可塑性樹脂(3品目)が続いている(同16.2%増)。

熱硬化性樹脂3品目の中で伸長率が最も大きい微粉体はポリウレタンである。

■プラスチックス系微粉体の市場規模比較(国内販売+輸出+輸入)

微粉体の種類別販売金額、伸長率及び用途先 (単位:百万円、%)
微粉体の種類 販売額
2003年
販売額
2007年
伸長率
2007/03
主な用途
ポリエチレン 285 295 103.5 化粧品、塗料
ポリスチレン 335 315 94.0 FRP低収縮剤、化粧品、
アクリル 6,600 11,100 168.2 樹脂添加剤、塗料・インク
ナイロン 1,420 1,420 100.0 化粧品
超高分子量ポリエチレン 270 310 114.8 樹脂・ゴム改質用、摺動材料
フッ素樹脂 3,500 3,630 103.7 樹脂添加剤、塗料・インク
ポリウレタン 2,800 3,700 132.1 ※スラッシュ成形、塗料・インク
ベンゾグアナミン・メラミン 1,420 1,600 112.7 樹脂添加剤、フィルム用
フェノール 1,870 2,250 120.3 成形材料用、樹脂・ゴム改質用
高吸水性樹脂 65,000 81,500 125.4 衛生材料
10品目合計 83,500 106,120 127.1  
出所:富士キメラ総研
スラッシュ成形とは、加熱した金型に微粒子状の樹脂をそのまま流し込み、金型の持つ熱で樹脂を溶融させ均一な薄膜表皮を作る成形法である。

2003年のプラスチックス系微粉体市場は835億円であり、前年比7.3%増で市場拡大している。また、2007市場では、特に、アクリル(2003年比68.2%増)、ポリウレタン(同32.1%増)、高吸水性樹脂(同25.4%増)、フェノール(同20.3%増)等の高い伸長率が注目される。

プラスチックス系微粉体の需要分野において、国内需要100%の品目はポリエチレン、ポリスチレン、フッ素樹脂(PTFE)である。また海外需要に対応して輸出している品目は、ポリスチレン(液晶パネルのスペーサー向け)、アクリル、ポリウレタン、ベンゾグアナミン・メラミン、ナイロン、フェノール、超高分子量ポリエチレン、高吸水性樹脂が挙げられる。

特に、高吸水性樹脂(主にアクリル酸から合成される架橋重合ポリマー)を使用した樹脂パウダーは、紙おむつに代表される衛生材料に使用されており、輸出需要が内需を上回っている。逆に、輸入している微粉体はフッ素樹脂である。

アクリル系の伸長率が高いのは、参入企業が多いことと、用途が樹脂添加剤から液晶スペーサーまで多岐に応用されていることが成長要因になっている。

ポリウレタンは、PVC樹脂代替用としてポリウレタンパウダー需要が開拓され、自動車インパネ、ドアトリム等がスラッシュ成形法で加工され実績を上げている。

高吸水性樹脂は、国内よりも海外需要が旺盛であり輸出ウェイトが60%を超えている。

フェノールは、成形材料、樹脂・ゴム用添加剤として販売実績を拡大している。

■プラスチックス系微粉体の粒子径一覧

カテゴリー 微粉体の種類 2003年販売量
(t)
粒径の範囲
m)
汎用熱可塑性樹脂 ポリエチレン 90 6〜850
ポリスチレン 350 5〜10、数10
アクリル 2,400 0.1〜130
エンプラ系熱可塑性樹脂 ナイロン 120 5〜7
超高分子量ポリエチレン 260 25〜30
フッ素樹脂 1,050 0.5〜30
熱硬化性樹脂 ポリウレタン 1,500 5〜145
ベンゾグアナミン・メラミン 305 0.1〜15
フェノール 1,600 7〜200
特殊樹脂 高吸水性樹脂 302,500 数10〜数100
出所:富士キメラ総研

プラスチックス系微粉体の粒子径の範囲は、最小0.1mのアクリル、ベンゾグアナミン・メラミンから、最大では、ポリエチレンの850mの範囲となっている。

プラスチックス系微粉体においては、上記の粒径よりも必要以上に微細化する要望は求められていない。これは、微粉体の粒子径は、各々の用途に応じて最適な粒径が必要とされているためである。

■2003年プラスチックス系微粉体の販売額と構成比(高吸水性樹脂を除く)(国内販売+輸出+輸入)

微粉体の種類 販売額 構成比
アクリル 6,600 35.7
フッ素樹脂 3,500 18.9
ポリウレタン 2,800 15.1
フェノール 1,870 10.1
ナイロン 1,420 7.7
ベンゾグアナミン・メラミン 1,420 7.7
ポリスチレン 335 1.8
ポリエチレン 285 1.5
超高分子量ポリエチレン 270 1.5
9品目合計 18,500 100.0
出所:富士キメラ総研

<プラスチックス系微粉体の需要傾向>
2003年の高吸水性樹脂を除くプラスチック微粉体9品目の販売金額は185億円である。金額ベースでは、アクリル、フッ素樹脂、ポリウレタン、フェノールの上位4アイテムで全体の約8割を占有している。

同9品目の中で、3エンプラ(フッ素樹脂、ナイロン、超高分子量ポリエチレン)の合計金額は、51.9億円となり全体の28.1%を占める。特に、フッ素樹脂の販売実績が35億円でありエンプラの中では需要の多い微粉体となっている。

ナイロン(シェア7.7%)と超高分子量ポリエチレン(同1.5%)の市場規模は2003年時点では小さいが、今後の材料開発及び用途開発、ナノテクノロジーの応用等によりさらなる需要拡大が期待される。

参考文献:「2004年 微粉体市場の現状と将来展望」
(2004年8月5日:富士キメラ総研)


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