FA・産業用ロボットの市場動向(総括)
〜自動車向けロボットと液晶関連ロボットの販売が好調 海外生産シフトが新規需要を掘り起こす〜

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■産業用ロボット市場の概況
産業用ロボット市場では、今後、労働コストが安い中国などとの国際競争に打ち勝つために、更なる生産性向上が、直面する重要な課題となっている。自動車産業、電子産業の一部では、熟練工によるセル生産方式や混流生産方式による組立工程を含め、生産工程においてロボット導入を指向した試みが進捗している。

今後は、人間による作業を主体とする組立工程に対応した新しい産業用ロボットの開発が、市場拡大の鍵を握っていると考えられている(経済産業省は、人間との協働を実現する次世代産業用ロボットの需要拡大施策を推進)。

FA(ファクトリーオートメーション)・産業用ロボット業界は、団塊世代が労働市場から退出する製造業などの需要分野において、潜在市場の創出を見込んでおり、さらに、10年後の市場拡大を目指し、次世代ロボット向け要素部品などの技術開発が進んでいる。

■FA・産業用ロボットの市場規模推移(2002〜2005年:度生産金額ベース)

下記の数表は、FA・産業用ロボットを、産業用ロボット、電子部品実装機、周辺機器の3事業分野に分類し、その販売金額と伸長率を一覧にしたものである。

●事業分野別市場規模推移(国内販売+輸出) (単位:百万円、%)
事業分野 2002年 2003年
見込
2004年
予測
2005年
予測
A.産業用ロボット 176,580 207,540 235,000 264,240
前年比 117.5 113.2 112.4
B.電子部品実装機 228,100 297,900 309,850 329,750
前年比 130.6 104.0 106.4
C.周辺機器 91,510 102,370 109,810 115,130
前年比 111.9 107.3 104.8
合 計 496,190 607,810 654,660 709,120
前年比 122.5 107.7 108.3
出所:富士経済

FA・産業用ロボット全体(3事業分野)の市場規模は2002年4,962億円に成長している。特に、2003年は急激な成長(前年比22.5%増)が見られ、その後、2004年以降は前年比8%前後の伸長率で推移している。2005年は7,091億円に拡大すると予測している。

2003年以降、前年比2桁の成長が期待されている事業分野は、産業用ロボットである。同ロボット事業の拡大は、自動車業界、電機・電子業界の堅調な需要に支えられている側面がある。具体的には、国内生産ラインの海外シフト(柔軟性のある半自動化ラインが主体)による新規需要が目立っている。特に中国を中心とするアジア圏での生産拠点の増設傾向が市場の拡大に貢献している。

一方、2005年の全体市場(A+B+C)は7,091億円でその内訳は、国内販売金額が2,916億円、輸出金額が4,175億円であり、輸出が1,259億円上回っている。国内販売金額と輸出金額との比率は41対59の関係にあり、18ポイント輸出が多くなっている。

2005年においても伸長率の大きい事業は産業用ロボットであり、次いで電子部品実装機、周辺機器と続いている。

■各事業分野の対象は以下の29品目である。
事業分野 対象のFA・産業用ロボット
A. 産業用ロボット(16品目) アーク溶接ロボット、スポット溶接ロボット、直交型組立ロボット、スカラ型組立ロボット、単軸ロボット、塗装ロボット、シーリングロボット、パレタイジングロボット、バリ取りロボット、研磨仕上げロボット、取り出しロボット、卓上型ロボット、単軸スライダ、小型垂直多関節ロボット、ウエハ搬送ロボット、液晶ガラス搬送ロボット
B. 電子部品実装機(8品目) ロータリチップマウンタ、XY系超高速マウンタ、大型多機能マウンタ、中型多機能マウンタ、フリップチップボンダ、ダイボンダ、ワイヤボンダ、バンプボンダ
C. 周辺機器(5品目) FAケーブル、産業用リニアモータ、ロボット用減速機、リニアガイド、XYテーブル

■国内輸出別FA・産業用ロボットの市場規模推移(2002〜2005年度:生産金額ベース)

以下の数表は、国内販売向けFA・産業用ロボット市場を、3事業分野(産業用ロボット、電子部品実装機、周辺機器)に区分したものである。

●国内市場規模推移 (単位:百万円、%)
事業分野 2002年 2003年
2004年
予測
2005年
予測
A. 産業用ロボット 89,820 103,515 114,340 125,420
前年比 115.2 110.5 109.7
B. 電子部品実装機 39,800 60,600 67,900 75,800
前年比 152.3 112.0 111.6
C. 周辺機器 67,655 78,715 85,600 90,400
前年比 116.3 108.7 105.6
合 計 197,275 242,830 267,840 291,615
前年比 123.1 110.3 108.9
出所:富士経済
2002年のFA・産業用ロボット全体(3事業分野)の国内販売市場は1,973億円である。2005年は2,916億円(2002年比1.48倍)に拡大すると推定している。3事業の中では、電子部品実装機分野が最も販売金額が小さいが、2003年に急成長(前年比52.3%増)をしている。

●輸出市場規模推移 (単位:百万円、%)
事業分野 2002年 2003年
見込
2004年
予測
2005年
予測
A. 産業用ロボット 86,760 104,025 120,660 138,820
前年比 119.9 116.0 115.1
B. 電子部品実装機 188,300 237,300 241,950 253,950
前年比 126.0 102.0 105.0
C. 周辺機器 23,855 23,655 24,210 24,730
前年比 99.2 102.3 102.1
合 計 298,915 364,980 386,820 417,500
前年比 122.1 106.0 107.9
出所:富士経済
2002年のFA・産業用ロボット全体(3事業分野)の輸出市場規模は2,989億円である。2005年は4,175億円(2002年比1.40倍)に拡大すると推定している。3事業の中では、電子部品実装機の輸出金額が最も大きい。

中でも、2003年の電子部品実装機の伸び率(前年比26.0%増)が大きいのは、東アジア向け(特に中国)の輸出が大きく影響している。

■販売金額が大きいFA・産業用ロボットの上位ランキング

2005年において販売金額が大きいFA・産業用ロボット(上位5品目)は以下の通りである。
事業分野 FA・産業用ロボット 金額ベース(百万円) 伸長率
2002年 2005年
予測
2005/02
B.電子部品実装機 XY系超高速マウンタ 40,000 77,000 192.5%
A.産業用ロボット スポット溶接ロボット 37,530 51,400 137.0%
液晶ガラス搬送ロボット 17,540 40,900 233.2%
アーク溶接ロボット 27,060 38,200 141.2%
ウエハ搬送ロボット 20,630 36,000 174.5%
出所:富士経済

電子部品実装機のXY系超高速マウンタが、2005年において最も大きな市場を形成している。

2〜5位は全て産業用ロボットが続いており、特に伸長率の観点から見ると、液晶ガラス搬送ロボット(2002年比2.33倍)とウエハ搬送ロボット(同1.75倍)の伸びが注目される。

また、この2品目は、共にエンプラをはじめとした、プラスチック材料・成形加工製品と極めて関連のあるFA・産業用ロボットである。

■伸長率が大きいFA・産業用ロボットの上位ランキング

2005年において伸長率が大きいFA・産業用ロボット(上位8品目)は以下の通りである。
事業分野 FA・産業用ロボット 金額ベース(百万円) 伸長率
2002年 2005年
予測
2005/02
A.産業用ロボット 研磨仕上げロボット 85 580 682.4%
液晶ガラス搬送ロボット 17,540 40,900 233.2%
B.電子部品実装機 中型多機能マウンタ 36,000 77,000 213.9%
XY系超高速マウンタ 40,000 77,000 192.5%
バンプボンダ 900 1,650 183.3%
フリップチップボンダ 6,800 12,300 180.9%
A.産業用ロボット 単軸スライダ 7,510 13,500 179.8%
ウエハ搬送ロボット 20,630 36,000 174.5%
出所:富士経済
伸長率の大きさから見た場合、研磨仕上げロボット(産業用ロボット)は、販売金額規模は小さいが、伸長率が極めて大きく(2002年比6.82倍)、急激な成長が見込まれている。次に、液晶ガラス搬送ロボット(液晶関連の産業用ロボット)が、3年間で2.33倍の成長が予測されている。

3〜6位には、電子部品実装機(マウンタ、ボンダ)の4品目がランキングされており、半導体関連の装置が上位となっている。

参考文献:「2004年版 FA・ロボット関連市場の全貌」
(2004年1月21日:富士経済)


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