小型垂直多関節ロボットの市場動向

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垂直多関節ロボットとは、垂直方向の動作に重点が置かれた関節構造を持つロボットである。人間の腕に近い構造を持っているため、柔軟な動きが可能である。また、座標変換処理が複雑であるため、高性能な制御装置が必要とされる。

ここでは、小型部品の生産組立ラインに供給され、可搬質量が5Kg前後のロボットを対象とする。

モデルチェンジを含め、新型ロボットの市場投入はあまりないが、カスタマイズ対応により、あらゆるアプリケーションへのライン組み込みが可能となっている。参入メーカーは、電機・電子分野、自動車分野に次ぐ、新たな分野への展開に注力している。

■応用分野別構成比(2002年度ベース)

応用分野 数量ウェイト(%)
電機・電子分野 57
自動車分野 29
化学・食品分野 6
その他 8
合 計 100
出所:富士経済

小型垂直多関節ロボットの用途は、携帯電話、PC向けを中心とした電機・電子分野が最大の供給先となっている。2002年度の応用分野は、電機・電子分野の販売比率が57%、自動車分野が29%となり、両分野は市場全体の86%を占めている。工程としては、ピックアンドプレース、ディスペンサ、はんだ付け等の作業に使用されている。

小型垂直多関節ロボットと他の組立ロボットより高速で、複雑なワークに対して240°/secで動作可能など、その高速性、応用性がユーザーから評価されている。

■小型垂直多関節ロボットの市場規模推移(2002〜2005年:国内生産ベース)

●市場規模推移及び予測 (単位:台、%)
年度 2002年 2003年
見込
2004年
予測
2005年
予測
国内数量 3,090 3,130 3,180 3,230
前年比 101.3 101.6 101.6
輸出数量 4,250 4,610 4,950 5,300
前年比 108.5 107.4 107.1
合計数量 7,340 7,740 8,130 8,530
前年比 105.4 105.0 104.9
出所:富士経済

2003年度の小型垂直多関節ロボット市場は、特に、携帯電話やPCなどの需要回復を背景として、前年比5%拡大した。また、自動車分野も実績を伸ばしており、目立った大口需要こそ無かったが、国内、欧州、アジア地域を中心に小口需要の積み重ねにより販売増となった。

2002年度の小型垂直多関節ロボットの国内生産台数は、7,340台であり、金額ベースでは約117億円である。2004年以降の伸長率(数量ベース)は、年率5%増前後のペースで推移すると見ている。2005年の国内生産金額は約134億円(2002年比1.15倍)と予測している。

■商品開発・製品特性

三菱電機は高速・高精度を実現した小型垂直多関節ロボット「MELFA」新機種2タイプを開発し2004年12月から、販売を開始した。MELFAは、巧緻作業や特殊環境下での作業や、人力に置き換えられない特殊用途において、生産効率の向上を追求するものである。

<新機種の概要>
製品名 型 名 動作軸数 標準価格
小型垂直多関節ロボット「MELFA」 RV-3S 6イ 240万円
RV-3SJ 5イ 210万円

<小型垂直多関節ロボット「MELFA」の特徴と概要>
メーカー名 特徴 小型垂直多関節ロボット「MELFA」の概要
三菱電機 高速、高可搬、
高精度を実現
新開発のフィードフォワード制御、最適軌跡制御などの機能を搭載し、アームの高剛性設計により、高精度を実現した。
RV-3S型は、最大合成速度が毎秒5.5m(従来機比157%)というクラス最高の高速動作を可能にしている。
また、最大可搬質量が最大3.5kgと向上し、ダブルハンド・複合機能ハンド等複雑なハンドを使用する連続した作業に対応できる。
旋回時の干渉範囲と設置場所の制約の最小化を実現 ロボットアームの耐環境性を向上させ、また天吊据付、壁掛据付に対応し設置環境を選ばず、幅広い用途に適用できる。

適用分野は、高生産性が求められている液晶基板、半導体ウェハ、自動車部品、電機・電子部品、食品・薬品等のマテリアルハンドリングや検査作業、工作機・成型機へのL/UL(ロード・アンロード)などの作業分野を挙げている。

■参入企業とメーカーシェア(2002年度:生産金額ベース)

メーカー名 金額ウェイト(%)
三菱電機 34
ファナック 21
デンソーウェーブ 17
川崎重工業 14
安川電機 10
その他 4
合 計 100
出所:富士経済

三菱電機は、携帯電話やPCなど電機・電子分野への販売比率が高く、外販はもとより、グループ企業を中心とする内販の納入比率が高いことが特徴となっている。

その中でも携帯電話組み立て生産ラインへの大口需要が奏功し、販売規模が拡大した。東アジア、とりわけ中国向けの需要が多く、今後もアジア圏を中心に海外市場向けの販売を強化していく。

ファナックは、エンジンやクランクシャフトなどの自動車部品の生産ラインに多く供給している。

■今後の動向

近年、ノックダウン生産は電機・電子分野において顕著である。その生産工場はアジア地域へシフトしており、アジア向けの輸出比率が高まりを見せている。

特に、その中核となる中国では、上海を中心とした華中地域で、日系電子部品メーカーの生産工場が次々と立ち上がっており、海外需要の拡大が今後も続くと予測される。

参考文献:「2004年版 FA・ロボット関連市場の全貌」
(2004年1月21日:富士経済)


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