エマルジョン塗料の市場動向

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エマルジョン塗料は水系塗料に属しており、従来の溶剤型と比較して環境適合性が高く、高固形分化やタレ、ハジキなどに対するレオロジー性(物質の流動性や変形特性)などに優れているが、耐水性や塗膜性能に劣るという側面を持っている。

エマルジョン塗料の種類は常温乾燥型と焼付型があり、前者は主に木材や外装部材に採用されている。また、1液型と2液型が販売されているが1液型が中心である。

エマルジョンは、液体中に混じりあわない他の液体が微細粒子の状態で均一に分散し、浮遊している混合物であり、乳濁液ともいわれている。主に水とアクリル系や酢酸ビニル系などの樹脂と混ぜ合わせて製造されている。

■エマルジョン塗料における材料特性
エマルジョン樹脂には、アクリル、アクリル・スチレン、酢酸ビニル、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)、フッ素、ウレタン系などの樹脂が使用されているが、需要の中心はアクリル系である。

エマルジョン塗料の材料構成は種類により様々であり、エマルジョン樹脂が半分のものや顔料が6〜7割の製品など構成比には幅がみられる。

■用途動向(2002年:国内販売ベース)

用途名 販売量
ウェイト(%)
具体的用途例
建築内・外装 64 モルタル、コンクリートなどアルカリ性表面を基材とする現場施工型建築塗料、各種無機板を基材とする建築用工場ライン型塗料
その他 36 自動車部品、鋼製家具、軽量型鋼、金属2次製品、容器、他
合 計 100  
出所:富士キメラ総研

エマルジョン塗料の需要先は建築分野が中心となっている。建築外装用途では現地塗装による人手不足や天候不順、周辺環境の汚染防止、品質の均一化などの観点から、サイディング材などによる直貼工法が増加傾向にあるため、需要量の減少をまねいている。

■エマルジョン塗料の市場規模推移(2002〜2006年:国内販売ベース)

●市場規模推移及び予測 (単位:t、%)
  2002年 2003年
見込
2004年
予測
2005年
予測
2006年
予測
販売数量 233,300 230,000 230,000 232,000 234,500
前年比 98.6 100.0 100.9 101.1
出所:富士キメラ総研

エマルジョン塗料市場は2003年以降、減少又は横這い傾向で推移している。2002年のエマルジョン塗料市場は23.33万tであり、金額では606億円である。2006年には615億円に拡大すると予測している。

エマルジョン塗料はエマルジョンペイントと厚膜型に大別できるが、厚膜型の減少幅が特に大きい。建築市場の低迷に加え、建築仕上げの際、湿式工法からALC(軽量気泡コンクリート)やカーテンウォール、サイディング材など乾式工法への移行が大きな要因と言える。

■研究開発・技術動向

企業名 技術開発 開発・技術概要
エスケー化研 コンクリート打放し面の塗装工法を開発 コンクリート打放し面の塗装工法は、水分等の浸入を防止するため種々の仕上塗装が施されている。例えば、シラン系吸水防止材を塗装後に、クリヤー塗料等で仕上塗装する方法が一般的である。
同社が開発した工法は、特定の樹脂ビーズ及びワックスを必須成分とする上塗材を使用することによって、艶ムラの発生が抑制され、打放し面の質感が保つことができる施工法である。
具体的には、コンクリート打放し面に対して下塗材を塗装後、合成樹脂エマルジョン、樹脂ビーズ、ワックスを含有する上塗材を塗装する。
上塗用合成樹脂エマルジョンの成分としては、フッ素樹脂エマルジョン又は、アクリルシリコン樹脂エマルジョンが適している。
クリヤー塗料では、打放し面の質感を保持するため、艶消しタイプの塗料がよく使用され、シリカ粉及びフッ素系樹脂パウダーを含む塗料が使用されている。
従来のクリヤー塗料の場合、仕上り面に艶ムラが発生してしまい、打放し面の質感が損われることがある。
そこで同社は、コンクリート打放し面において、艶ムラの発生が抑えられ質感に優れた仕上り面が製作できる塗装工法を開発した。

■参入企業とメーカーシェア(2002年:国内ベース)

メーカー名 販売量シェア(%)
関西ペイント 20
日本ペイント 20
エスケー化研 15
その他 45
合 計 100
出所:富士キメラ総研

関西ペイントと日本ペイントがそれぞれ2割のシェアを獲得して、上位に位置している。建築用仕上材大手メーカーのエスケー化研が3位につけている。

その他には大日本塗料やトウペ、建築用塗料に強い恒和化学、菊水化学工業、スズカファインなどが挙げられる。

■今後の動向

建築用塗料の水性化は大半がエマルジョン化する方法で進んでいる。脱溶剤化の進行に伴い、エマルジョン塗料市場はプラス成長で推移すると予測している。また環境意識の高まりから、抗菌性、防カビ性、室内空気汚染対策などの付加機能を備えた塗料が注目されており、徐々に需要を伸ばしている。

一方、建築着工件数の低迷が続いており、建築市場は改修市場以外の需要拡大は当面見込みにくいのが実状である。

参考文献:「2003年版 機能性塗料・コーティングの現状と将来展望」
(2003年1月24日:富士キメラ総研)


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