耐熱塗料の市場動向

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耐熱塗料とは、一般の塗料では使用できない高温領域で使用できる塗料である。鉄、アルミ、ステンレス等に塗布することによって、100〜600℃程度の耐熱性のある膜を形成し、熱環境の厳しい用途で基材を腐食等から保護する効果がある。

塗布作業はハケ塗り及びスプレー塗装が可能であり、製品グレード、塗布方法に応じて、シンナー等で希釈して利用される。

■耐熱塗料における材料特性

耐熱塗料は、主として耐熱性樹脂及び耐熱性顔料(主に無機顔料)で構成されており、耐熱性樹脂としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂をベース材料とした製品が一般的である。変色、減量の幅が少なく、100〜600℃の耐熱性の膜を形成できる樹脂特性を備えている。使用部位、耐熱温度等により、各種グレードがラインアップされている。

シリコーン系樹脂以外には、フッ素樹脂が耐熱目的で使用される場合があるが、シリコーン樹脂に比べコストが高く、塗装(コーティング)作業に手間がかかることから、非粘着性、耐食性等の特性を必要とする場合に利用されている。

■用途動向(2002年ベース)

用途名 販売量ウェイト(%) 具体的用途例
輸送機器 46 オートバイ用マフラー、自動車エンジンカバー等のエンジン周辺部材
家電・厨房機器 26 ストーブ、ファンヒーター、オーブン、電子レンジ、ガステーブル、天板、フライパン、湯沸し器、鍋、ジャーポット、アイロン、ヘアカーラーなど
プラント 18 化学プラント、石油精製プラント、発電プラント、ボイラー、熱交換器、焼却炉、遮熱板、ダクト、タンクなど
その他 10 集熱板、電子機器部品など
合 計 100  
出所:富士キメラ総研

耐熱塗料は、自動車、オートバイ等輸送機器関連での需要が最も多く、主にマフラーやエンジン回りなどの高温環境で使用される部材に用いられている。さらには、家電製品や厨房機器関連用途で実績があり、暖房機器や調理用機器向けに供給されている。

■耐熱塗料の市場規模推移(2002〜2006年:国内販売ベース)

●市場規模推移及び予測 (単位:t、%)
  2002年 2003年
見込
2004年
予測
2005年
予測
2006年
予測
販売数量 7,700 7,600 7,400 7,350 7,200
前年比 98.7 97.4 99.3 98.0
出所:富士キメラ総研

耐熱塗料の国内市場は2002年で 7,700t、48億円の規模である。2003年以降右肩下がりのトレンドと予測している。民間設備投資の低迷、顧客の海外進出等により、主要顧客の国内需要が縮小傾向にあるためと見ている。

耐熱塗料事業もグローバル化の進展に伴い、オキツモは2003年から中国での生産開始を予定している。国内市場は今後も減少傾向で推移すると考えられており、内需以外に海外市場の開拓や新規用途の開発が求められる。一方、海外需要は旺盛であり、海外生産・販売を含めた市場規模は、今後の拡大が期待されている。

■商品開発・製品特性

オキツモはPEEK樹脂を主原料として、金属基材表面に耐熱性、耐薬品性、耐磨耗性、絶縁性等の特性を付与できる高機能塗料「PEEK-COAT」を、ビクトレックス・エムシー(VICTREX PEEK樹脂の供給元)と共同開発し、2005年9月から販売を開始する。

VICTREX PEEK樹脂は、耐熱性、耐薬品性、摺動性など複数の物性を併せ持つ高機能樹脂として注目されており、厳しい使用条件が要求される部品や金属代替として採用されている。新製品の特徴や概要は以下の通りである。

商品名 製品概要
「PEEK-COAT」 特徴 300℃の高温環境下において、常温環境下と同様の塗膜強度を保持する。
PEEK樹脂微粒子を水に分散させたディスパーション塗料
金属基材に耐薬品性、耐磨耗性、絶縁性を付与
焼成時に有害ガスが発生しない。
フッ素樹脂と組合せて摺動特性の付与も可能
用途 摺動部品
高い機械強度を必要とする機構部品
コンプレッサー部品
半導体製造装置部品(シリコンウエハー洗浄治具等)
減菌器具、等
塗料形態 1液型水系ディスパージョン塗料
色調 淡褐色クリアー
荷姿 1kg、10kg

■参入企業とメーカーシェア(2002年:国内ベース)

メーカー名 販売量シェア(%)
オキツモ 42
大島工業 36
その他 22
合 計 100
出所:富士キメラ総研

耐熱塗料は、オキツモ 、大島工業が高い実績をあげており、この2社で国内需要量の約8割をカバーしている。オキツモは特殊塗料メーカーの大手であり、耐熱塗料を主力とした事業展開を進めている。用途別・使用目的に応じて幅広い製品のラインアップを行なっている。

その他には日本ペイント、関西ペイントの大手塗料メーカーや、熱研化学工業、東京熱化学工業などの耐熱塗料専業メーカーが参入している。

■今後の動向

耐熱塗料は、耐熱性を必要とする幅広い用途で採用が進んでおり、確固とした需要基盤を持っていることから、市場は安定推移が続いてきた。

しかし国内市場は景気低迷の影響、ユーザーの海外生産比率の増加等から、国内需要の伸びは期待することは難しい状況にある。従って、需要拡大のためには新規需要の獲得が不可欠である。

参考文献:「2003年版 機能性塗料・コーティングの現状と将来展望」
(2003年1月24日:富士キメラ総研)


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