非粘着塗料の市場動向

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非粘着塗料は、塗装面にものが付着しにくいという性質を利用して、調理器具等の家庭用品及び複写機やプリンター用ロール、各種金型、工業製品などに使用されている。

デュポンの商標である“テフロン”は一般消費者に広く浸透しており、フッ素樹脂よりもポピュラーな名称となっている。

■非粘着塗料における材料特性

非粘着塗料に用いられている樹脂はフッ素系が一般的であり、塗膜形成用樹脂には、PTFE、PFA、FEPなどのフッ素樹脂が利用されている。非粘着塗料は非粘着性のほか、耐熱性、すべり性、耐食性などの優れた特性を備えている。フッ素樹脂の中で最も汎用的に利用されているのはPTFEで、70%内外のウェイトを占めている。

代表的な非粘着特性以外には高耐熱性、低摩擦係数、高耐食性などの優れた特性を有しており、これらの特性を活かした用途にも利用されている。

■用途動向(2002年ベース)

用途名 販売量ウェイト(%) 具体的用途例
家電・家庭用品 29 家庭用厨房機器・器具(フライパン、鍋、電子レンジ、ホットプレート、炊飯器内釜、包丁等)、ブラインド、等
OA機器 26 コピー機、プリンター等の給・排紙用各種ロール、剥離爪等
自動車用 19 リードバルブシート、スロットルシャフト、ピストン、ピストンリング、キャブレターシャフト、自動車ナット、等
その他工業用 16 食パン・菓子類・チーズ等の食型、食品製造機械(キャンディ等)、業務用調理機器、化学工業用タンク、カメラ部品、自動販売機用部品、プラスチック・ゴム成形機及び金型、等
合 計 100  
出所:富士キメラ総研

非粘着塗料は、家庭用厨房機器・器具類において、料理がこげ付かない、汚れ落しが容易等のメリットから広く利用されており、これら家庭用機器・器具向けの供給比率が多い。

工業用途では、OA機器、自動車用の利用が大きなウェイトを占めている。OA機器では、コピー機等の給・排紙用ロール、自動車用では、リードバルブシート、キャブレター部品等が代表的である。

■非粘着塗料の市場規模推移(2002〜2006年:国内販売ベース)

●市場規模推移及び予測 (単位:t、%)
年次 2002年 2003年
見込
2004年
予測
2005年
予測
2006年
予測
販売数量 2,450 2,420 2,400 2,500 2,450
前年比 98.8 99.2 104.2 98.0
出所:富士キメラ総研

2002年の非粘着塗料市場は2,450t、金額では80億円の規模となっており、2003年以降は微減又は微増推移が予測されている。2006年の販売数量は2002年と同様の規模であるが、金額的には78億円に減少すると予測している。

一般家庭用から工業製品まで幅広い用途に普及しており、根強い需要を持っている反面、新規需要開拓の余地が限られている。当面、一定の需要を維持していくとみられる。

■研究開発・技術動向

企業名 技術開発 開発・技術概要
日新製鋼 耐熱非粘着性を発現するプレコート金属板を開発 同社は、短時間の焼付け処理でもフッ素樹脂の表面濃化(粘度上昇)を促進させ、良好な耐熱非粘着性を発現するプレコート金属板を開発した。
開発した耐熱非粘着プレコート金属板は、下地となる金属板の表面にプライマ塗膜、トップ塗膜を順次積層している。
プライマ塗膜の形成には、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニルスルフィド樹脂、ポリアミドイミド樹脂から選ばれ、分子鎖の両末端に水酸基が付加された耐熱樹脂をベースとするプライマ塗料が使用される。
トップ塗膜は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、クロロトリフルオロエチレンの重合体又は共重合体から選択されたフッ素樹脂を配合したトップ塗料から成膜される。
耐熱樹脂(分子鎖の両末端が水酸基になっている)をベースとする塗料から成膜されたプライマ塗膜は、トップ塗料の乾燥・焼付け時にトップ塗料の溶剤に溶けないので、トップ塗膜が形成できる。
そのため、トップ塗料に配合されているフッ素樹脂が、トップ塗膜のマトリックスから表面に円滑に移行し、短時間の焼付け処理でもフッ素樹脂特有の耐熱非粘着性が発現する。
耐熱非粘着塗膜で形成されたプレコート金属板は生産性が良好で、優れた加工性、耐熱性、非粘着性を活用し、パン、ケーキの焼き型、フライパン等の食品調理器具、電子レンジ内板、電子制御ジャーの内釜、ガステーブル用天板等の加熱調理器具をはじめ、家電製品、厨房機器や耐熱性、非粘着性、潤滑性が要求される摺動部材に使用できる。

■参入企業とメーカーシェア(2002年:国内ベース)

メーカー名 販売量シェア(%)
ダイキン工業 40
デュポン・グループ 40
オキツモ 10
その他 10
合 計 100
出所:富士キメラ総研

ダイキン工業とデュポン・グループは、世界を代表するフッ素樹脂メーカーであり、非粘着塗料市場をほぼ二分しており、3位以下のメーカーを大きく引き離している。

デュポンの“テフロン”は家庭用品で強力なブランド力を持ち、高い競争力を保持している。国内のテフロン事業は、デュポンと三井・デュポンフロロケミカル(デュポンと三井化学の合弁企業)の2社で展開している。

■今後の動向

非粘着塗料は、非粘着等の機能を付与する機能性塗料として定着しており、その特性により家庭用から工業用まで幅広く利用されている。また、個々の用途における利用率も高い。

そのため、用途分野の景気動向による影響は受けるものの、今後も、一定量の需要は確保できるものとみられ、市場推移は比較的安定している。

参考文献:「2003年版 機能性塗料・コーティングの現状と将来展望」
(2003年1月24日:富士キメラ総研)


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