自動車塗料(新車用)の市場動向

マーケット情報TOP
自動車用塗料には防錆と意匠性が要求され、乗用車では下塗り、中塗り、上塗り(及びクリアコート)塗料で構成されている。下塗りの目的は防錆、中塗りは耐チッピング性(チッピングとは塗膜が小剥片となり被塗面からはがれる現象をいう。)や肉持ち感と平滑性の保持、上塗りは意匠性、耐候性の付与を目的としている。

国内では、下塗りはカチオン電着により水性化がほぼ100%となっている。中塗りはポリエステル系やアルキド系、上塗りはポリエステルメラミン系やアクリルメラミン系樹脂が主に使用されてきた。近年、VOC対策の必要性などから中塗り、トップコートにもミドルソリッド(低溶剤化)化や水系化の波が押し寄せている。

■新車用自動車塗料における材料特性

中塗り、上塗り塗料はまだ溶剤系が中心であり、水性化、低溶剤化が着実に進展している。上塗り塗料では溶剤系塗料のほぼ50%近くが、既にミドルソリッドに移行している。

代表的な塗料(ミドルソリッドタイプ)の成分比率は、樹脂材料が約40〜45%、顔料・添加剤等が5〜10%、溶剤が約50%という構成になっている。

■用途動向(2002年ベース)

自動車塗料は新車向けの下塗り、中塗り、上塗り用に使用され、その用途(部位的には)は、新車のボディ、アルミホイール、金属部品(エンジン廻り、ガソリンタンク等)、内板材(ドア回り、バックドア、フード裏等)、プラスチック部品(バンパー、ラジエーターグリル、スポイラー等)などが挙げられる。

■新車用自動車塗料の市場規模推移(2002〜2006年:国内ベース)

●市場規模推移及び予測 (単位:t、%)
  2002年 2003年
見込
2004年
予測
2005年
予測
2006年
予測
販売数量 285,000 288,000 290,000 287,000 285,000
前年比 101.1 100.7 99.0 99.3
出所:富士キメラ総研

自動車の国内販売台数が低迷を続ける中、2002年の自動車塗料(新車用)市場は28.5万t、約1,375億円の規模となった。2003年以降、長期的には緩やかに減少傾向で推移すると予測している。2006年市場は1,371億円と推定しており、やや衰退傾向を見せている。

■研究開発・技術動向

企業名 技術開発 開発・技術概要
関西ペイント 水性塗料の
塗膜形成方法
を開発
 近年、地球環境保全への関心の高まりから、自動車用塗料も水性化の傾向が強まり、自動車メーカーなどでは水性中塗り塗料の材質承認を受け、塗装ラインにおいて水性塗料が使用されてきている。
 しかし自動車ボディのような複雑形状の被塗物に、水性塗料を塗装する場合、塗膜の仕上り性は塗装条件(塗料の固形分、粘度、ブース温度・湿度、塗着粘度)によって大きく変動し、例えば、自動車ボディの内板(フード裏、ドア回り、バックドア、ガソリン投入口の蓋など)においては、塗膜欠陥(ワキやタレなどの発生)が問題となっていた。
 またシーラー(素地の吸い込みを止める下塗り)上に塗装する場合、隠蔽性の不良などが生じることなく、耐チッピング性、耐水性が良好な水性塗料の塗膜形成技術が求められている。
 そこで同社は、自動車ボディのライン塗装(内板塗装)において、タレ・ワキなどの塗膜欠陥がなく、水性塗料をシーラー上に塗装した場合、ハジキ等がなく隠蔽性に優れた塗膜形成方法を開発した。
 同社が開発した水性塗料を被塗物(特に、自動車ボディの内板)に塗装する際の塗膜形成条件は次の通りである。
 塗装時の固形分は45〜70重量%とし、20の塗料粘度をフォードカップ#4にて50〜90秒となるように同水性塗料を調整し、塗装ブース温度15〜40、塗装ブース湿度を60〜90%という塗装条件を設定した。
 この水性塗料には水酸基含有樹脂、ブロックポリイソシアネート化合物、硬化剤(メラミン樹脂)、偏平状顔料が含まれている。

■参入企業とメーカーシェア(2002年:国内ベース)

メーカー名 販売量シェア(%)
関西ペイント 40
日本ペイント 39
日本油脂BASFコーティングス 15
その他 6
合 計 100
出所:富士キメラ総研

関西ペイントと日本ペイントの2社が当該市場の約80%近くを占めている。3位の日本油脂BASFコーティングスは2005年4月1日に、「BASFコーティングスジャパン」に社名を変更(BASFが日本油脂BASFコーティングスの全株式を取得することを日本油脂と合意した)している。

■今後の動向

自動車業界では単なる塗料の改良、変更に留まらず、塗装工程や塗装方法の改良、塗着効率の改善などの面から、技術開発を盛んに進めている。

将来的には、国内自動車メーカーの海外生産台数の増加に伴って、輸出需要の減少、国内市場の低迷長期化、更には塗装・塗着効率の改善などにより、国内自動車塗料(新車用)市場は縮小が予測される。

参考文献:「2003年版 機能性塗料・コーティングの現状と将来展望」
(2003年1月24日:富士キメラ総研)


戻る