PCM用塗料の市場動向

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プレコートメタル(PCM) 用塗料は、主に金属屋根・壁などの金属製建材、家電製品の鋼板類(ボディーパネル材など)等に採用され、汎用製品からカスタマイズ製品まで幅広い品揃えで販売されている。

鋼板類等に塗装する場合、「ポストコート法(成型加工後、鋼板類に塗装する方法)」と「プレコート法」がある。プレコート法は、鋼板が成型加工される前の段階(コイルなどの状態でカラー鋼板が工場から出荷される時点)で塗装する方法である。

プレコート鋼板ユーザーにとって、カラー鋼板の利用やアッセンブルに関してはメリットが大きい。また、ユーザーの生産現場で塗装工程が不要となるため「環境対策」の面から注目されている。しかし、プレコート鋼板であるため切断面の耐食性や加工性の点で限界がある。

■PCM用塗料における材料特性

PCM用塗料はポリエステル系塗料の使用が中心である。その他にはフッ素樹脂、アクリル樹脂が採用されている。同じポリエステル系でも家電製品用途には、高鮮映性などが求められるため高分子系樹脂が使用されている。

PCM用塗料の業界では、塗装装置とのからみからVOC対策が進んでおらず、樹脂等固形分の重量構成比は50%、有機溶剤が50%の比率となっている。

■用途動向(2002年ベース)

用途名 販売量ウェイト(%) 具体的用途例
建築用 81 屋根材、壁材、雨戸、シャッター、他
家電、その他 19 電気製品、産業用、その他
合 計 100  
出所:富士キメラ総研

PCM用塗料の用途は建材分野が8割を占めている。建築向けの国内需要が中心であり、屋根材や壁材(内外装用)で使用量が多くなっている。その他の用途では家電製品などに供給されている。

■PCM用塗料の市場規模推移(2002〜2006年:国内ベース)

●市場規模推移及び予測 (単位:t、%)
  2002年 2003年
見込
2004年
予測
2005年
予測
2006年
予測
販売数量 40,000 39,500 40,000 40,000 40,000
前年比 98.8 101.3 100.0 100.0
出所:富士キメラ総研

PCM用塗料の需要は1991年がピークで、それ以降減少傾向をたどってきた。2002年は塗装鋼板製品の旺盛な輸出需要に支えられ4万t(前年比102.6%)となり、305億円の販売規模となった。2004年以降は4万t規模の需要を維持しながら推移すると予測している。

但し、首都圏の都市再開発事業等による景気回復や建築需要が再び活発化してくれば、上記の伸長率(前年比)よりもさらに高い伸び率に転じると分析している。

■研究開発・技術動向

企業名 技術開発 開発・技術概要
ダイセル
化学工業
プレコートメタル防錆塗料用・水分散性樹脂組成物を開発  従来より、建物の内外装用下塗り塗料や、家具、家電製品の筐体、自動車の車体、シャーシ、エンジン周囲部及び缶等の金属成形品の前塗装鋼板(プレコートメタル)用下塗り塗料には、有機溶剤系のフタル酸アルキド塗料、ウレタン系塗料やエポキシ樹脂塗料等が用いられてきた。
 しかし、近年、有機溶剤による地球環境問題や火災の危険性等から、従来の有機溶剤系塗料に替わって、水性樹脂塗料の利用が求められている。
 ところが、従来の水分散性樹脂塗料は、防錆性、金属への付着性、上塗り塗料への付着性、耐沸騰水性、及び耐アルカリ性等が劣り、有機溶剤系塗料の代替には不十分であった。
 また、従来の水分散性樹脂塗料として水性ウレタンディスパージョンは非常に好適であるが、耐侯性が弱く高価格であるという難点がある。従って、上記要望を満たす水性樹脂塗料はほとんどなかった。
 そこで同社は、酸基及び水酸基のいずれも含有しない重合性不飽和モノマーと、酸基含有重合性不飽和モノマーと、グリシジル基含有重合性不飽和モノマー、更に環状ウレイド基含有重合性不飽和モノマーを、それぞれ適正な割合で乳化共重合することにより水分散性樹脂組成物を開発した。
 さらに、防錆性、金属に対する付着性、アルキド塗料等の上塗り塗料との付着性、耐水性及び耐沸騰水性に優れ、鋼板の表面処理用に適する防錆塗料用水分散性樹脂組成物を開発している。(特に、上塗り塗料塗装前のアルカリ洗浄による脱脂工程で耐アルカリ性を有し、クロム酸塩系顔料は含んでいない。)
 この防錆塗料用水分散性樹脂組成物は、クリヤー皮膜を形成するために、そのままコーティング剤として使用することも可能である。
 通常は樹脂組成物に着色顔料、体質顔料、分散剤、硬化剤、湿潤剤、及び消泡剤等の各種添加剤を配合して塗料として用いる。同樹脂組成物を用いた塗料は、特にプレコートメタルの下塗り塗料として適性がある。

■参入企業とメーカーシェア(2002年:国内ベース)

メーカー名 販売量シェア(%)
日本ファインコーティングス 56
関西ペイント 25
その他 19
合 計 100
出所:富士キメラ総研

日本ペイントと大日本インキ化学工業の国内PCM事業の合弁会社である日本ファインコーティングスが首位となり2位以下のメーカーを引き離している(合併前は日本ペイントがトップ、大日本インキ化学工業がシェア3位という位置関係にあった)。

■今後の動向

近年、各鋼板メーカーは「プレコート鋼板の高付加価値戦略」を展開し、様々な機能鋼板(抗菌・抗カビ性、遮熱性、帯電防止性など)を開発し、需要家に対する新しい商品機能の提案が注目される。今後、PCM塗料の需要回復にとってキーとなるのは、基本的には建築需要の拡大である。

参考文献:「2003年版 機能性塗料・コーティングの現状と将来展望」
(2003年1月24日:富士キメラ総研)


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